大陸浪人は何をしているの?
大学4年の夏、思い立って海外を旅した。ロンドン、パリを経て北欧。南下してイタリア、ギリシャ……。資金が乏しかったので1日の予算は宿泊費込みで「3000円以内」にした。7カ月間の旅行で幸せを感じたのは南の国々だ。いざとなれば野宿できる。特にギリシャは晴天続きで、食べ物が安くてうまい。ナスを使った名物料理ムサカには感動で涙が出た。
26年前の思い出。今も鮮やかによみがえる。
貧乏旅行は、流行でもあった。小田実著「何でも見てやろう」は当時の若者の間でもバイブルだった(69年初版の同書のサブタイトルは「世界一日一ドル旅行」!)。
だが私の旅は、実は就職モラトリアム。「もう少しだけ学生でいたい」というわがままだった。だから、私には、ニート(無業)の若者を批判する資格はない。
でも、一つ言わせてもらいたい。ニートもいいが、いつかは将来を見据えた仕事に就いた方がいい、と。
海外を旅していると、“大陸浪人”と呼ばれる日本人旅行者によく出会った。大きな声では言えないが、旅行者にもちょっとした小遣い稼ぎの口がある。多くは違法。その稼ぎで旅を続ける。私も一時あこがれた。
しかし、旅行者は旅行者。社会の中に役割はない。長く滞在しても結局は異邦人。気楽さが似合う若いうちはいいが、老いた時にどうなるのか。
旅の後半、少々疲れが出てきたころにそんな考えが頭を駆け巡った。
“大陸浪人”は、ニートに似ていると思う。日本か海外かの違いはあるが、どちらも無業者。
「将来のことなんて分からない」と思う若者には、ぜひ海外で1人旅をお勧めしたい。知り合いのいない孤独な土地に身を置いて、それでもニートを続ける自信があるのかどうか。試す価値は十分にある。
次回は男子バレーボール「新潟教員」チームについて。(新潟支局長、柴田朗)=毎週月曜に掲載2006年07月17日
ttp://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2208999/detail?rd
放浪の旅をしている人は、大陸でどんな仕事をしているのだろう。
大きな声では言えないことって何なのだろう。