バリ ティルタ・ガンガの一日 | 日本のお姉さん

バリ ティルタ・ガンガの一日

バリでは、友達と結婚したバリの王様の親戚がいろいろ案内してくれる


ことになっていた。今回のバリ旅行はA子のアイデアだ。


A子はバリに行きたくなるとわたしを誘う。誘ったら絶対行く相手だと


思われている。わたしは、インドネシア語も少しはできるし友達も


多いので、わたしと行けばガイドを頼まなくても現地の友達が案内して


くれるからだ。


もちろん、現地の友達にはレンタカー代やらガソリン代やら実費はちゃん


と払う。でも、知らないガイドより、友達に案内してもらう方がずっと


安心だ。お別れの時に、3000円ぐらいは感謝の気持ちとして無理やり


渡して帰るのであるが、いつも快く一日中案内してくれるし、普通の


バリ人の家でも行けるし、バリの普通のレストランでバリ人と一緒に


ご飯が食べられるのだ。その普通のご飯が、ホテルの豪華なご飯より


おいしかったりする。


友達が結婚したバリの王様は、一族のいろんな行事を行わねばなら


ないので、日本とバリをしょっちゅう行き来している。


友達は一人でも世界中を旅行できるタイプの人なので、王様がバリに


帰っている間も別にさびしがる様子でもない。自立している二人が


たまたまバリで出会って、お互いに好きになって、一緒に暮らせる時間は


一緒に楽しく暮らしているという雰囲気だ。


友達は、何だか日本人というより、アメリカ人みたいで、感動すると


ハグしてくるし、とにかく明るく元気だ。バリの王様はよくしゃべる友達とは


違って、おとなしくていつもニコニコ笑っている。


二人ともまだ若いんだけど、バリのお父さんが亡くなったので一人息子の


彼が、若いのに王様になってしまったのだ。


お葬式は、彼が喪主になって、伝統に従って絢爛豪華なやぐらを組んで


賑やかに行われたのだそうだ。


王様の親戚は、ドライバーと一緒にわたしとA子を迎えにホテルの前まで


来てくれた。王様の親戚は、背の高~い困った顔をした「魚クン」みたいな


顔をした人だった。バリの観光は、クタビーチの夕日かタナロットか、


キンタマーニ高原とティルタ エンブルとウブッドの段々畑を見たらいい


と言う。だけど、わたしは、そういう有名な所より、みんなが行かない


ような場所がいい。水と建物がある広い場所に連れて行ってくれと


頼んだ。そのあとウブッドに行って昼ごはんを食べようと言ってみた。


王様の親戚はちょっと困った顔で、ティルタ ガンガがぴったりだが、


ウブッドは遠いので、難しいが行ってみると言ってくれた。


A子は、観光よりも現地のスーパーマーケットに行くのが好きなので、


スーパーとマタハリとバリエステに連れて行けと言う。


マタハリというのは、以前バリに行った時、かわいいお土産がたくさん


見つかったデパートで、ワコールも入っていて最新のモデルの上下


セットが2000円ぐらいで買えたという思い出深いデパートだ。


よくもそんな名前を覚えていたもんだ。(マタハリとは太陽という意味。)


エステならどこでもいいけど安いところがいいといって、空港でもらった


バリの案内のチラシを持って「ここに行こう!」と言う。


クタのエステだった。王様の親戚にチラシを見せたら、ちょっと困った顔


で、全部は無理かもしれないが頑張ってみると言ってくれた。


結局ホテルからティルタ・ガンガまでは車で4時間もかかったのだが、


ドライブしながらバリの田舎の町や大きな河で地元の人が水浴びをして


いる様子も見れたし、いかにもバリらしいジャングルのような山道を


どんどん進むのは楽しかった。途中で椰子の実のジュースを飲みたいと


言うと道端のスタンドで止まってくれた。


「椰子の実を一個丸ごと飲んだら?」と、王様の親戚が勧めてくれたのに、


「どうせ飲みきれないからいい。コップで飲む。」と言って、スタンドのお姉


さんについでもらったコップで椰子の実ジュースを飲んだのが間違い


だった。現地の水でできた氷が入っていたのだ。冷たくておいしかったが、


氷のせいで、A子も次の日からずっとお腹を壊した状態で苦しむことに


なった。わたしはその日の昼すぎからお腹を壊していた。


椰子の実は、丸ごと切ってもらって、そのままストローを入れて飲む方が


いい。その方が衛生的。


ティルタ・ガンガにつくとまずトイレに入る。トイレも料金がいるらしく


トイレの入り口でお金を渡すとトイレットペーパーを渡された。


トイレットペーパーの芯を抜いてカバンに入れて出ると、トイレの料金を


渡した女性が「トイレットペーパーが無い!」と叫んでいる。


ペーパーは、持って帰ってはいけなかったようだ。「ごめん。ペーパーを


売ってくれたのかと思った。」と謝って、返品する。A子とわたしは


ティルタ・ガンガの入場料を払い、専属のガイドに案内されて中に入った。


空が広くて水が一杯の人工のプールがあってバリの伝統的な雰囲気の


古い彫刻が並んでいて、なかなかいい場所ではないか。王様の親戚と


ドライバーも呼んでくることにした。入場料がもったいないから、外で


待っておくといっていたのだが、こんなにきれいな場所があるのに


車の中で荷物の番をしてるのはもったいないしかわいそう。


入場料は払うから、一緒に観光をしたらいいじゃん。


専属のガイドがガイド代として15,000ルピアくださいねと上品に言うので、


そんなに高くないので払った。ところが後で、王様の親戚とドライバーは


ガイド代として10,000ルピア払わせられたと言っていた。


二人の現地の人の分はいらないと言ったはずのにちゃっかりガイドは、


彼らからもお金を取っていた。


なんでわたしのガイドからもお金を取るのかな。


「あれ!?4人分で15,000ルピアのはずなのに!」と言うと、


ドライバーが「ガイドのおじさんは、王様の親戚に、まるで4人分で


10,000ルピアであるかのように払えと言ったのです。ぼくら、あなたが


ガイド代を払ったと聞いていなかったので4人分と思って払いました。」と、


いう。「なんだ~。しゃーないな。その10,000ルピアも払うわ。」と言うと、


「いや、それはもういいよ。」とのこと。王様の親戚は、ランブタンという毛が


はえたような形の赤い果物や丸っこくて皮が薄くてむいたらぶどうのように


すっぱい果物を買ってくれた。他にも真っ赤な色の、人工着色料やら


人工甘味料だらけの異常に甘いジュースも買ってくれた。気持ちは


嬉しいんだけど、これどうみても毒だよね。


A子は、「ごめん。わたし、これ飲む勇気ない。」と言って辞退。わたしは、


せっかく現地の人が買ってくれたのに飲まないと非常にまずいと思って


全部飲んだ。A子の分も飲もうとしたが、ドライバーが「要らなかったら


地面に捨てたらいいよ。」と言ってくれたので、こっそり王様の親戚が


アラックを買いに行った時に捨てた。アラックは地元のお酒で、A子が


飲んでみたいというので、王様の親戚が友達に午前中に電話して、


購入してもらっていたのだ。朝にしか買えないと言っていた。


「Aランクのヤツを買いました。」と、言っていた。A子は椰子の実の酒も


飲んでみたいと言いだした。王様の親戚はそれも山の中の別の場所


で購入してくれた。こんな山奥で作っているのか~と思うような辺鄙な


場所だった。白くにごった酒だった。「どぶろく」みたいなものかな?


ティルタ・ガンガは、バリのその地方の最後の王様の沐浴の場所で、


インドネシアが独立した時に、政府に譲ったのだそうだ。


昔は王様しか使えないプールだったのだそうだ。王様の子孫は今でも


プールの横の家に住んでいて、ホテルとレストランを経営している。


「今度来る時は、ここのホテルに泊まるわ。」とA子に宣言しておいた。


大きなプールが二つあって、ヨーロッパ人が水着を着て泳いでいた。


プール料金さえ払えば泳げるのだ。水着など持ってきていないし、水着が


あっても、自信を持って人に見せられないので入らなかったが、泳げたら


絶対気持ちいいと思う。


A子は、「泳いだら水を飲むから、即、下痢やで!」と、現実的なことを


言っていた。ティルタ・ガンガの原水は、鉄格子がはまった彫刻の付いた


ドアで守られていた。すごい量の水がどんどん流れてきている。


鉄格子の前には左右に彫刻が置いてあり、口から水が出ている。


「これ、飲んでも大丈夫?」と、ガイドに聞くと、「大丈夫です。」と言う。


それでごくごく飲んでいると、ガイドが、「大丈夫という証拠にボクも


飲みます。」と言って、自分も飲み出したが、そっと吐きだしているのを


見てしまった。しまった。飲んではいけない水だったのかも!

この時の水が良くなかったのか、椰子の実を飲んだ時の氷のせいなのか


分からないが、昼ごはんを食べてから直ぐにお腹を壊してしまった。


昼ごはんは、きれいな王様のプールを見ながらご飯が食べられる


レストランで食べようとしたのだが、ガイドが「あそこの料理人は新米で


おいしくない。入り口のレストランだと安いしおいしい。」というので、


入り口にあるレストランで食べたが、特においしくもなく、ガイドのおじさんが


やけにゆったりと店でくつろいでいるところをみると、どうもガイドのおじさん


の店らしい。王様の親戚とドライバーは、「どうせなら景色のいいレスト


ランで食べたらいいのでは?」と言ってくれたのだが、A子も「どこでも


いい。ミーゴレンが食べれたら。」と言うし、昼食はわたしがおごることに


なっていたので、安く済ませた。どうも何を食べても味の素の味ばかり


する。ミーゴレンは普通においしかったので、A子は満足していた。


ミーゴレンとは中国系の人が、インドネシアで流行らせた料理で、


インドネシア風味の焼きそばだ。どこのレストランでもある料理だ。


ティルタ・ガンガの前のガイドのおじさんのレストランには、ワンちゃん


2匹と鶏のこども5羽が歩き回っていた。インドネシアらしくていい。


旅行客は外国人がちらほらといるだけで、本当に辺鄙な場所なのだ。


こういう田舎で4,5日ぐらい、何もせずにのんびり過ごしてみたい。


ウブッドはあきらめてクタに行く。スーパーでもマタハリでもA子は


いろいろ買った。お土産はスーパーで買うのが一番安い。


バリの女の子が踊っている写真が付いた赤いマカダミアナッツの


チョコレートは、きれいな箱入りで、一箱300円ちょっとだった。


A子によると、味は森永チョコボールのマカダミアナッツ版で、みんなに


好評だったそうだ。2年の間にお菓子にも進歩が見られて、どの


チョコレートもおいしかったらしい。武田のビタミンC入りの黄色いビンの


健康飲料も売っていたし、インドネシア製のビタミン剤入り健康飲料も


出ていた。「水より栄養があって、味もおいしいんですよ。」と、ドライバー


が言っていた。1本くれたが、ポカリスウェットの味だった。


バリの田舎道の側に、以前は見かけなかった電信柱が連立していた。


バリもだんだん小汚くなっていくんだなと思った。電信柱は日本式では


ない。多分、中国式の電信柱だ。少しずつバリも変化していっている。


マタハリではバリのお菓子やおやつをいっぱい買った。バリのおやつは


日本人でもおいしいと感じる。わたしは、ココナッツオイルにエッセンシャル


オイルを混ぜて作った石鹸をたくさん買った。


A子は、お菓子以外に、ジャワティーやドリアンのパック入りを買っていた。


ドリアンはインドネシア人の感覚ではすごく高い果物で、本当は1月ぐら


いが旬なのだ。わたしは、ベンコアン入りのローションを買った。


すごくいいにおいだった。グリーンティー入りのもあったが、ベンコアンは昔、


ジャワのお姫様がお肌を白くするために使う秘密のジャムーなのだ。


Unilever社製のCitra(チトラ)というローションだ。


インドネシアに行ったら、自然派の化粧品を作っているサリアユの


化粧品を買う。ローズウォーターなど、エッセンシャルオイルと混ぜて


使うのに最適だ。今回はCDショップで、GIGIのCDと、お店のお勧めの


CDを買った。GIGIの最新版のCDしかなく、他のは売り切れだと言う。


インドネシアでは売切れたら再販はしないようだ。


薬局で、緑色の下痢にきくジャムー(インドネシアの漢方薬)を購入し、


ボディーショプで日本で売っていないムスクの1200円ぐらいのロール


タイプのデオドラントを買った。


クタのエステに行き、A子は1時間150,000ルピアのコースを頼んだが、


わたしは、A子を置いて一時間クタの街を歩く。


貝でできたネックレスが気に入ったので、7本150,000ルピアで買った。


あんまり粘ったので店のおじさんが怒って1本まけてくれた。


安かったのかどうか分からない。A子が言うには2年前はぼったくられて


50,000ルピアでちゃちなブレスレットを3本しか買えなかったから


その時に比べたら上出来だそうだ。


エステが終わって、王様の親戚に車でホテルまで送ってもらった。


ご飯はホテルで食べた。結局王様の親戚とドライバーは晩御飯を食べる


時間が無かった。かわいそうなので、別に食事代を無理にお渡しした。

ホテルのジャワ料理のレストランで二人で7千円のコースを頼んで


食べたが、怪しいスパイスのせいででA子にアレルギーが出てきて


体が痒くなったし、わたしといえばずっとティルタ・ガンガの昼ご飯の後


からひどい下痢になっていて、どうも元気が無くて二人とも直ぐに


寝てしまった。


山から下りてクタまで我慢できずに、途中で王様の親戚のお姉さんの


家でトイレを使わせてもらった。王様の親戚の家では、こんな可愛い子


はいるのかと思うぐらい可愛い少女と少年がいて驚いた。「魚クン」の


姪っ子と甥っ子は、信じられないぐらい可愛い!


A子は、普通の家が見れて喜んでいた。普通の家のトイレは穴だけで、


トイレットペーパーは無くて水を手桶でくんでおしりにかけて、左手で


洗わねばならない。


あわてていたので、壁に向かずに逆に向いたため大変なことになった。


手桶で水をすくい、浴室全部を掃除するはめになりあせった。水浴び


でもしているのかと思われたかも!「迷惑をかけたから、どうしても、


チップじゃないけど、何かお渡ししたいんだけど、失礼かな?」と


ドライバーに聞くと、


「10,000ルピアぐらいを子供にお菓子を買ってあげてと言って渡せば


いいですよ。」と言ってくれたので、20,000ルピアを「トイレを使わせて


くれてありがとう!これは少ないですが子供さんにお菓子を買ってあげ


てください。」と言って無理やり渡した。「いえいえ。いりませんよ!」と


断られたが、「いえいえ、子供さんにですから!」と、言ってうまく渡した。


とにかく、水をかけて掃除をしたとはいえ、他人の家の浴室を汚している


のだから、絶対何がしか渡さないと汚したのがバレたら困る。


友達のご主人の親戚のお姉さんだもの。マズイでしょう!


ホテルの庭にこしらえられた会場から流れるガムランの音を聞きながら、


11時ごろには寝てしまった。明日はA子と二人で、ホテルの庭の散策を


したり、免税店にいったり、足りないお土産を買い足したりして過ごす事に


なっている。ホテルの部屋の冷蔵庫にはバリのおやつやミネラル


ウォーターやらパック入りのドリアンやら、二人で買った物がいっぱい。


A子はアラックは、きつくて飲めないし、椰子の実のお酒はうんこみた


いな匂いで飲めないと言うので、そのままホテルに置き去りにすること


にする。せっかく王様の親戚が用意してくれたのだが、ペットボトルに


入ったお酒は飲む気がしないと言う。何かポリエチレンの容器から


悪いものが溶け出していそうで。きついお酒をペットボトルに入れても


いいのか?メモに「きつくて飲めないので飲んでください。いらな


かったら捨ててください。」と書いておいた。ホテルのお部屋担当の人は


喜んでくれるかな。今朝、会った時、枕の下に三日分のチップの


20,000ルピアと「わたしたちのためにお掃除してくれてありがとう!」と


いうメモを入れておいたからか、笑顔で「スラマッパギ~!」って言って


くれたっけ。(おはようございますの意味)A子も真似して枕の下に同じ


だけ入れていた。ナイナイの岡村君そっくりだったなあ。そんなことを


考えながらベットの上に寝転んでいたら、そのまま寝てしまった。


明け方、薄暗い内に起きたので風呂に入り、ベランダに出て海を見て


いたら、近くの椰子の木に猫ほどの大きさのとかげが頭を上にして


垂直にすごい速さで降りていった。昨日の朝も同じものを見たけど、


やっぱりとかげだったんだ。