広島市で昨年11月、下校途中に殺害された小学1年の木下あいりちゃん(当時7歳)の父建一さん(39)が26日、殺人、強制わいせつ致死などの罪で死刑を求刑されているペルー国籍のホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(34)に対する判決(7月4日)を前に報道各社の取材に応じ、心境を語った。「性的暴行で、あいりは二度殺された」という表現で、性的暴行が事件の本質であると強調。具体的表現を避けてきた毎日新聞はじめ各社の報道について「被害の実態が伝わらない」と語り、「性的被害の事実も出来る範囲で詳細に報道してほしい」と訴えた。
今月9日の論告求刑で検察側は、トレス・ヤギ被告があいりちゃんの下半身に指で暴行を加えながら自慰行為をしたなどと、性的暴行について詳細に描き出し、死刑を求刑した。だが、報道各社は遺族への配慮などから性的暴行の詳細を掲載することを見合わせてきた。
建一さんは、「なぜ検察側が死刑を求刑せざるを得なかったか。たかだか一人殺しただけで死刑にするのは重いのでは、と社会に思われるのが嫌だった」と愛娘への残酷な犯罪の実態がきちんと伝わらないことへの懸念を述べた。
さらに、「あいりは声を出すと殺されると思い、涙を流しながらも、暴れなかった。何も悪いことをしていないから、暴行が終われば帰してもらえると思ったんでしょう。性的暴行は拷問に等しい。犯人は二度命を奪った」と続けた。
建一さんは、裁判の節目などで談話を出すことはあったが、共同取材に応じたのは初めて。その理由を「『苦しんでいる人がたくさんいるんだよ。助けてあげて』と、夢で娘に言われたと妻から聞かされたから」と話し、「あいりの死を無駄にせず、同じような犯罪を抑止するためにも、私の考えをお話ししようと思った」と語った。また、「娘は『広島の小1女児』ではなく、世界に一人しかいない『木下あいり』なんです。きちんと実名で報道してほしい」とも話した。
判決公判では、形見のハンカチで包んだあいりちゃんの遺影を持ち込むという。「怖い犯人は見たくないだろうけど、判決は聞かせなければならないと思う」と話した。
【下原知広、堀江拓哉】
◇原則は匿名
毎日新聞は、性的犯罪について報道する際、被害者は匿名とし住所も限定しないように配慮することを原則としています。この事件でも、性的暴行が行われたと判断した時点から、この原則に従って報道しています。今回は父親の建一さんから要望があり、実名とします。
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http://news.ameba.jp/society/20060626122010/20060626k0000e040051.html
自分の娘がこんなことをやられた上に、殺されたら、
どう思う?