蛇頭とは?(H10年末の本の紹介文らしい。) | 日本のお姉さん

蛇頭とは?(H10年末の本の紹介文らしい。)

集団密航事件などの背後には、複雑に組織された犯罪集団が介在していることが多いほか、不法滞在者自身が組織、ネットワークを作り、より大きな金儲けを狙った犯罪やグループ同士の抗争事件を引き起こすなど、来日外国人による犯罪も増えています。

また、海外に本拠を置く外国人犯罪組織の日本への進出が顕著になってきています。

特に密航の請負組織である「蛇頭」は、全国各地で暗躍しており、中国人密航のほとんどに「蛇頭」が関与しています。今回は、「蛇頭」の活動実態等を紹介します。

蛇頭とは?

中国から日本や米国等の外国への密入国をビジネスとして行う密航請負

組織の総称”を蛇頭(じゃとう)”と呼ぶ


”蛇頭(じゃとう)”は、「中国本土から香港への水路による密航を取り

仕切る者」を意味する広東地方の方言に由来するとされている。


世界的な規模で広がる人的なネットワークを基盤として、密航者の勧誘・

引率・搬送、偽造旅券の調達、不法就労のあっせん等を行っている。


蛇頭”は、欧米では「スネークヘッド」と呼ばれている。

活動実態

日本と中国の経済格差を背景として、日本への出稼ぎを希望する者が後を絶たないことに目を付け、蛇頭は日本の暴力団と結託するなどして密入国をビジネス化しています。密航費用は1人当たり300~400万と言われていますが、最近は、出発前に手付金を支払い、目的地まで到着すれば、本国の密航者の親戚等が「蛇頭」に密航費用を支払うシステムが多いようです。

とかく、世間は複雑怪奇。アンバランスで不公平に出来ているもんだ。

本書は中国系の「不法滞在者」や「違法入国者」に関するドキュメントである。

思い返しほしい。人種国籍の別を問わず、外国の方々がこれほどわれわれの日常生活の場で珍しい存在ではなくなったのは、せいぜいここ十数年のことである。それまで、わたしが子供の時分までは、わざわざ「ガイジンさん」が日本にやってきて、自分たちの職場や生活の場に根づくことなど、想像だにできなかった。

なにせ、そのころは固定相場制で1ドル360円だったもんな。

それはともかく、本書は彼ら、オーバー・ステイや不法入国者などのなかで、中国系の人たちに的をしぼって、密入国をする当事者たちと斡旋をする者たちの背景や事情、それぞれの思惑などを取材したもの。

日本やアメリカなどの西欧諸国だけではなく、ロシアや東ヨーヨッパにまで広がっている華人社会の人的ネットワークの広さ(これは、必ずしも華僑や黒社会などのコネクションのみをさすわけではない)、浸透度は、たぶん、大多数の人の想像を絶しているはずだ。

本書の著者が合法、非合法を問わず、さまざまな国の「斡旋業者」たちを取材していく様子はパワフルで圧倒される事も多い。が、反面、著者自身が中国系の人であるため、いわゆる同胞意識が前面に押し出されるような記述も、ちょっと、散見された。

そいうのがすこし鼻につくことを除けば、きわめて今日的な題材を正確に取材した良質のジャーナリズムであると思う。

蛇頭(スネークヘッド)というなにやらおどおどしい言葉も、ここ数年激増してきた密航事件、加えて日本国内で多発する外国人犯罪への一部「不法滞在外国人」の関与などに関する報道で、今ではすっかり多くの人の知るところとなった観がある。本書は、数多くの報道番組を手掛けてきた映像ジャーナリストたちによるもので、密航、密輸の関係者や蛇頭メンバーを直撃取材し、多くの証言から最新の密航のテクニック、窃盗の手口、密輸方法などを追及した本である。

密航というと、今にも沈没しそうな中国漁船・貨物船に、密航ブローカーに高い金を払った中国福建省を中心とした中国人密航者たちが、すし詰め状態で押し込められながら海を漂い、夜影に乗じて海から上陸をはたすといったようなイメージがつきものかもしれないが、本書を読むと、密航の方法、ルートなどが、複雑多様化しており、手口も高度化していることがわかる。

蛇頭や密航を取り上げた本は他にもあるが、本書の目新しい点は、まず中国人の密航に、カンボジアやタイが深く関わっている事実を挙げ、その状況や背景などを深く追ったことにあろう。著者の望月健氏は、映像通信社の日本電波ニュース元カンボジア支局長(94年5月~97年5月プノンペン勤務、99年1月ジンネットに移る)で、望月氏が中国人の密航問題に関わりを持つきっかけとなった中国人密航者が絡むプノンペンでの事件から、本書は始まっている。1996年12月にプノンペンで発生した中国人密航者による蛇頭殺害事件、同年同月にプノンペンの北西部の元高級住宅地トゥール・コックで起った中国人密航者大量摘発事件だ。

どうして中国人密航者が、出稼ぎの目的地でもないカンボジアにいるのかと、これらの事件の背景にある問題を掘り下げようと開始された取材で、その事情が明らかにされていく。と同時に、単に「蛇頭」だけでなく、蛇頭「密航者飼育」アジトと、一見奇妙な本書の題名の意味するものがわかってくる。カンボジアに「密航基地」があり、大勢の中国人密航者が隠れ家で共同生活をし、ある時期を待っているわけだ。どうしてカンボジアなのか?という疑問に対しても、カンボジア内の状況だけでなく、隣国タイの中国人密航への関与の実態がつながっていく。

更に衝撃的なのは、蛇頭組織にかかわる日本人の存在で、しかも彼らは、暴力団のようなその手の人たちではなく、カンボジアやタイの居住する「普通の日本人」たちだ。1997年8月、カンボジアを拠点とする日本人蛇頭の存在が初めて公に明るみになったが(事件の詳細はこちらを参照)、本書では、他にもカンボジアやタイ在住の普通の日本人が、アルバイト感覚で蛇頭の手助けをしていることにも触れている。

密航に加え、日本の自動車窃盗とミャンマーでの盗難車売買についても本書でとりあげられているが、こうした密航・密輸・窃盗などの犯罪的側面だけでなく、密航に走る動機や背景、祖国や日本での生活なども取り上げている。蛇頭の存在を生み出す背景には、生活の厳しさや、日本との著しい賃金格差や経済格差があるが、更に誰でも簡単にパスポートが取れ、世界中自由に動ける日本人では理解しがたいことであるが、中国ではパスポートさえ取得するのが困難な人が多いということがある。日本での外国人による犯罪の増加は、確かに大きな社会問題となってきているが、日本に不法滞在・不法就労(不正規に入国・在留)している外国人の大多数は、他の反社会的な犯罪とは無関係に、人目を恐れて地味な生活を送るような真面目な人々であるということが、忘れられてはならないはずだ。

カンボジア拠点の日本人「蛇頭」による密入国事件

1997年8月4日(月)、”親子を装い米国に密入国 日本人「蛇頭」2人逮捕 警視庁 カンボジア拠点にして 他に5,6人活動」という大きな見出し入りの記事が、毎日新聞の社会・事件面を飾った。しかも、日本人を含む蛇頭組織図まで掲載された。この記事の全文は以下の通り。

”密入国目的の中国人を「自分の子供」と装って引き連れ、偽造パスポートで米国に入国しようとした日本人2人が、警視庁国際捜査課に偽造有印公文書行使の疑いで逮捕、起訴されていることが3日、分かった。2人は中国人密航あっせん組織「蛇頭」のカンボジア拠点のメンバーで、他にも5,6人の日本人が同じ組織で活動していると供述している。日本人が蛇頭の直轄メンバーとなっている実態が明らかになったのは初めてで、同課は他の日本人メンバーの特定など組織の解明を進めている。”

”逮捕、起訴されたのは山形県出身で住所不定、中古車販売業、佐藤XX(50) ▽北九州市門司区XXXX、貿易業、中村XX(59)の2被告。(*注:新聞記事では実名及び住所が明記) 調べに夜と、佐藤、中村両被告は今年4月12日、スペイン経由で米国に入国した際、マイアミ国際空港でそれぞれ日本国籍の「中田仁」「三田仁」名義の偽造パスポートを提示した疑い。この際、2人の子供という偽造パスポートを持った中国人男女3人を同行していたため、密航の手引きが発覚。両被告はマイアミでいったん身柄拘束され、日本へ強制送還後、逮捕された。

供述などによると、佐藤被告は約2年前から、中村被告は今年春頃から、カンボジアの首都プノンペンを拠点とする蛇頭に加わった。組織は中国人をトップに約20人が3グループに分かれ、それぞれが偽造パスポートの調達、密航者の募集、密航者の引率・同行を分担。このうち引率・同行を担当するグループの7,8人は佐藤被告らすべて日本人で観光目的の親子を装い、米国に密入国させていたという。不正入国の報酬は一人当たり1,000~5,000ドル(約12万~60万円)。入国に失敗した場合は引率を別の日本人メンバーに交代し、成功するまで試みていた。佐藤被告はこれまで密航者を6回手引きし3回成功。こうした「日本人蛇頭」の関与で30人以上を密航させたとみられる。

蛇頭の日本人メンバーはいずれも50~60歳代。過去に貿易関係の仕事などを通じて知り合った者が多く、佐藤被告は最近、一時帰国し、英語が話せる知人を勧誘したが断られたという。同課は、取り締まり強化によって日本への入国が難しくなった蛇頭が、国情不安定なカンボジアに新たに拠点を設け、日本以外への密入国を活性化させているとみている。”

同日8月4日、毎日新聞夕刊では続報として、逮捕された日本人2人と同じ組織に所属していた別の日本人男性3人が、イタリア、フランス、香港の各捜査当局に逮捕されている事が、警視庁国際捜査課の調べで分かったと報じた。この3人は同年春、偽造パスポートを使用して入国しようとした疑いで各捜査当局に逮捕されていたが、いずれも中国人密航者を引率して米国に向かう途中とみられている。

日本人が直轄メンバーとして関与するカンボジアを拠点とする蛇頭グループの存在を明らかにするきっかけとなった佐藤被告の逮捕であったが、この佐藤被告に対する初公判は、1997年8月5日、東京地裁で開かれ、佐藤被告は起訴事実を全面的に認めた。同被告に対する判決公判は、1997年11月26日、東京地裁で開かれ、金山薫裁判長より「組織的犯行に加わった罪は重い」として、懲役2年6ヶ月(求刑は懲役3年6ヶ月)の実刑判決が言い渡されている。

不法就労目当ての大量密航が各地で相次いで発覚する中、大阪あいりん地区に潜入した中国人らが中国の密航あっせん組織・蛇頭と「密航・仕事・住居」をセットした「三包」と呼ばれる契約で入国している実態が9日、大阪入国管理局の調査でわかった。「三包」の料金は中国人の平均年収の最高80倍に達し、蛇頭の有力な資金源になっている。同入管は不法就労希望者があいりん地区に集中して送り込まれていると判断、府警と連携し取り締まりを強化するとともに、同地区を舞台にした<蛇頭ビジネス>の全容解明を急ぐ。

同入管は昨年9月、あいりん地区周辺の西成、浪速両区などで摘発した不法滞在の中国人20人を 調査。その結果、全員が密航と仕事のあっせん、住居の提供を蛇頭と結び、不法入国していたことがわかった。

うち15人は船で集団密航し、残り5人は蛇頭に金を払って得た他人名義の旅券で空路入国。いずれも入国後は蛇頭のアジトに留め置かれ、その間に国際電話で中国の実家に手数料を支払うよう連絡。入金が確認されると、マイクロバスなどであいりん地区に運ばれ、中国人の就労希望者をあっせんするブローカーと引き合わせて簡易宿泊所を紹介されたという。

手数料は10万-25万元(170万-420万円)で、中国の都市労働者の平均年収約産前300元(約5万6千円)の30-80倍に当たる高額。

船で密航した福建省出身の男性(33)の場合、1997年8月、大型貨物船のエンジンルームに26人で隠れて大阪南港から入国。母国の父親(82)に電話をかけ、父親が手数料約19万元(320万円)を蛇頭側に入金した後、ブローカーを紹介され土木作業現場で働き始めたという。

密航者の目的はいずれも出稼ぎで、同省出身の男性(30)は「中国では運転手をしていたが稼ぎが悪く、日本で金儲けをしたかった」と供述。同省出身の別の男性(34)は、母国での平均年収の四倍近い20万円を毎月、家族に送金していた。

同入管は、20人がそろって三包契約であいりん地区に送り込まれていた点を重視。蛇頭と同様の契約を結んだ相当数の密航者が、同地区で不法就労しているとみて、摘発を進める。

来日外国人による刑法犯

ア 刑法犯の推移

警察庁が来日外国人犯罪について統計を取り始めた昭和55年以降,刑法犯の検挙件数,人員は徐々に増加する傾向にあったが,平成2年ころから増加率が一挙に高まり,10年中の検挙件数,人員はで昭和55年に比べ件数で約25倍,人員で約7倍,平成元年と比べても件数で約6倍,人員で約2倍になっている。

イ 平成10年の刑法犯の特徴

10年における来日外国人による刑法犯の検挙件数は2万1,689件,検挙人員は5,382人である。また,来日外国人による重要犯罪・重要窃盗犯の検挙状況をみると,重要犯罪については,検挙件数は315件,検挙人員は310人,重要窃盗犯については,検挙件数は5,444件,検挙人員は655人となっている。

(ア) 凶悪犯

罪名別でみると,殺人は,過去最高であった9年と比べると若干減少してはいるものの,過去10年間で検挙件数は2.6倍,検挙人員で約2.3倍となっている。強盗の検挙件数及び検挙人員は,統計を取り始めた昭和55年以降で最高を記録している。また,強姦の検挙件数も55年以降で最高の43件となっている。

平成10年中の来日外国人による刑法犯の検挙人員5,382人のうち不法滞在者1,302人が占める割合は24.2%であるのに対し,来日外国人による凶悪犯の検挙人員251人に占める不法滞在者137人の割合は54.6%と高く,不法滞在者の存在が治安への脅威になっているといえる。

(イ) 窃盗犯

10人以上の共犯者のいる窃盗犯の検挙は,10年中には2,485件となり,10年中の来日外国人による共犯者のいる窃盗犯の27.9%を占めることとなった。これは,我が国の共犯者のいる窃盗犯の検挙全体をみたとき,そのうち10人以上の共犯者によるものの割合が3.1%であることと比べると非常に高いものとなっている。また,我が国全体の窃盗犯の被疑者一人当たりの平均検挙件数は元年以降3.0件前後で推移しているが,このうち来日外国人による窃盗犯の被疑者一人当たりの平均検挙件数は6.2件で元年中の1.3件に比べると急増している。これらのことから,近年,来日外国人による組織的に反復して行われる窃盗事件の増加がうかがわれる。 

(ウ) 知能犯

10年中の知能犯の多くは,偽造クレジットカードを使用した詐欺事件や身分を証明するための旅券,外国人登録証明書等の公文書を偽造・行使した事件となっている。   

ウ 来日外国人犯罪の国籍別検挙状況

10年の検挙状況はアジア地域が全体の75.1%と高い割合を占めており,中国が44.6%を占めている。次いで中南米地域が16.8%を占めており,ブラジルが10.0%を占めている。

近年は,中国人同士の身の代金目的誘拐事件や強盗事件等が多発している。

エ 大都市圏以外の地域への拡散

来日外国人による刑法犯の地域別検挙状況は,10年には関東から近畿地方にかけて増加するとともに,来日外国人犯罪の問題が全国的な問題となっている。

(2) 来日外国人による特別法犯

来日外国人による特別法犯の送致状況は,平成2年ころから急激に増加し,10年中の送致件数,人員は,元年に比べ件数で約4.6倍,人員で約4.9倍となっている。

(3) 薬物問題

ア 来日外国人による薬物事犯

薬物事犯の検挙状況は,平成4年ころから急増し始め,10年中の検挙件数,人員は,統計を取り始めた昭和60年に比べ件数で約5倍,人員で約4倍となっている。国籍別にみると,イラン人の検挙人員が依然として目立っている。

イ 薬物の密輸入事犯の推移

我が国で乱用されている薬物のほとんどは,国際的な薬物犯罪組織の関与の下に海外から密輸入されている。

我が国で最も多く乱用されている覚せい剤は,ほとんどが中国で密造されているとみられる。最近,ミャンマー,タイ,ラオスにまたがる「黄金の三角地帯」及びその周辺地域においても,覚せい剤の密造が急増しており,これらの地域から我が国への覚せい剤の密輸入事犯の増大が懸念される。

ウ 平成10年の薬物の密輸入

密輸入の手口としては,船舶での洋上取引,航空貨物,コンテナ貨物等への偽装隠匿,スーツケースの二重底等手荷物への隠匿,体内への嚥下等が目立っている。 

(4) 外国人犯罪グループによる「地下銀行」及びマネー・ローンダリング

依頼者の金をその本人に代わって国外に不正に送金する業務を行う「地下銀行」が摘発されており,我が国に不法滞在する外国人が,旅券等による本人確認を求められる正規の海外送金システムを避け,犯罪や不法就労で得た収益等を本国へ送金していたものであった。

薬物犯罪に係るマネー・ローンダリングは,麻薬特例法に規定する不法収益等隠匿罪(第9条)又は不法収益等収受罪(第10条)として処罰されるとともに,不法収益等が没収されることとなっている。10年には,薬物不法収益の海外送金を初めて第9条違反で検挙した。

(5) 不法入国・不法滞在者問題

依然として就労を目的として来日する外国人は後を絶たず,観光等の在留資格で入国したにもかかわらず就労をし,また,在留期間の経過後に不法残留をしながら就労するなどの不法就労者もいる。これらは,主として,いわゆる単純労働に従事している。

不法就労者の大半は不法滞在者であるとみられ,潜在的な不法滞在者は相当な数に上るとみられている。就労目的で来日した不法滞在者の中には,不法就労よりも効率的に利益を得る手段として犯罪に手を染める者も多く,大量の不法滞在者の存在は来日外国人による犯罪の温床となっている。

ア 国籍,地域別の不法残留者及び不法入国者の状況

法務省の推計による不法残留者数は,国籍,地域別にみると,韓国が6万2,577人と最も多く,次いでフィリピン,中国,タイとなっている。 また,10年中,警察及び海上保安庁が検挙した不法入国者は1,483人であり,国籍,地域別にみると,中国が1,136人と最も多く,次いでバングラデシュ,フィリピンとなっている。

イ 集団密航事件の多発と悪質化

10年中に警察及び海上保安庁が検挙した集団密航事件は64件1,023人で,依然として多発傾向が続いている。また,国籍別では,中国が全検挙人員の約8割を占めた。

この背景には,国際的な密航請負組織の関与があり,特に中国からの密航にかかわるものとして「蛇頭」と呼ばれる国際犯罪組織がある。

警察は,集団密航事件とりわけ密航請負組織の摘発に努めており,これらの請負行為に適用するため9年に入管法に新設されたいわゆる集団密航に係る罪等で10年中153人を検挙した。

ウ 不法滞在を助長する文書偽造事件等の多発

10年中も合法的な入国・在留を装うための文書偽造事件が多発し,偽造旅券を使用した不法入国事件の検挙件数は国籍別では中国,フィリピン,タイの順であった。また,日本人配偶者として在留資格を不正に取得する偽装結婚事件も検挙している。ほかにも,正規在留者を装うための在留資格認定証明書の交付申請書類偽造事件等も摘発されている。

エ 雇用関係事犯

就労を目的として入国する外国人の数は,依然として高水準にある。原因の一つとして,外国人労働者を雇用しようとする者や就労あっせんブローカーの存在が挙げられ,一部暴力団の関与するケースもみられる。雇用主の中には,彼らを低賃金で雇用する者がみられ,ブローカーは,外国人労働者と雇用主との間に介在して不当な利益を得るなどしている。 また,外国人労働者に係る雇用関係事犯のうち,外国人ブローカーが日本人ブローカーと結び付いて外国人労働者をあっせんするケースもみられる。 

(6) 女性・児童の性的搾取問題

短期滞在,興行等の在留資格で入国し,風俗関係事犯に関与する外国人女性は依然として多いが,これらの外国人女性は,深夜飲食店等における接待行為,さらに,売春,わいせつ事犯等にまで関与しており,地域的にも大都市圏以外の地域にまで広がりをみせている。

風俗営業等に従事する外国人女性の中には,現地及び国内のブローカーにだまされて我が国に連れてこられ,売春を強要されるなどの被害に遭う事案が目立っている。

また,我が国の国民による海外での児童買春行為や,我が国から発信される児童ポルノのインターネット上での氾濫が,

国際会議や海外のマスコミ等で取り上げられるなど,児童買春・児童ポルノ問題は国際的に関心を集めているところである。

(7) 銃器の流入

ア 銃器の密輸入事犯の推移

これまでのけん銃密輸入事犯の摘発事例をみると,航空貨物や国際郵便を利用するものが多くみられるが,大量に密輸入される場合には,貨物船や漁船が利用されている。その手口については,最近では,密輸を小口化したりするなど巧妙化している。仕出国についても,従来の米国,フィリピン,タイに,ロシア,中国等が加わるなど多様化しており,密輸情報の収集や国内外の関係機関との連携強化による水際監視の徹底等が一層重要となっている。

イ 平成10年の銃器の密輸入

10年中に押収された真正けん銃の製造国は米国が最も多く,次いで中国,フィリピンの順となっており,相当数は犯罪組織により密輸入されたものと考えられる。

10年中のけん銃密輸入事犯で押収したけん銃の仕出国は,フィリピン,タイのほか,ロシア,韓国となっている。

(8) 被疑者の国外逃亡事案等

犯罪を引き起こした後国外へ逃亡する者の数は,10年末現在では381人と,過去10年間で最も多い。そのうち93人が日本人であり,フィリピン,米国に多く逃亡しているとみられる。外国人の国外逃亡被疑者を国籍,地域別でみると,中国が最も多く,次に韓国となっている。 10年末現在の日本人を含む国外逃亡被疑者のうち,出国年月日の判明している110人について,出国までの期間をみると,犯行から10日以内の短期間のうちに44人の者が出国している。

警察では,被疑者が国外に逃亡するおそれがある場合は,出国前の検挙に努め,出国した場合でも,関係国の捜査機関等の協力を得ながら,被疑者の所在を確認し,また,国際刑事警察機構に対し,国際手配書の発行を請求するなど,被疑者の発見及び検挙に努めている。

日本人の逃亡被疑者が発見されたときは,逃亡犯罪人引渡しに関する条約又は相手国の国内法,国外退去処分等により,その者の身柄の引取りを行っている。

3 我が国における国際犯罪組織の活動状況

(1) 外国に本拠を置く国際犯罪組織

近年,外国に本拠を置く国際犯罪組織の活動が全国的にみられるようになった。

ア 蛇頭

平成10年中の集団密航事件に係る全検挙人員の約8割を中国人が占めるが,中国人による集団密航事件の多くには,「蛇頭」と呼ばれる国際的な密航請負組織の介在がみられる。

一般に,集団密航事件の背後には,蛇頭の関与がみられ,集団密航事件多発の大きな原因となっている。最近では,暴力団員とも連携して,我が国に進出し,請負料の取立てをめぐる監禁,誘拐,殺人等の凶悪事件を引き起こす例もみられる。

イ 香港三合会

香港の犯罪組織の総称であり,我が国では,貴金属店における強盗・窃盗事件や広域にわたる偽造クレジットカード使用詐欺事件等の犯罪を引き起こしている。

ウ 韓国人すりグループ

韓国人によるすりは,4,5人がグループを組んで,短期滞在の在留資格等により短期間滞在して広域にわたりすりを行うものであり,犯行が発覚すると,刃物や催涙スプレー等を用いて警察官や被害者に抵抗し,逮捕を免れようとするところに特徴がある。 

(2) 国内に居住する外国人犯罪者のグループ化

我が国において不法滞在者等が,より効率的な利益の獲得を目的として,国籍,出身地等の別によりグループ化し,悪質かつ組織的な犯罪を引き起こしている。最近では,国籍や出身地の別を越えて連携する事件もみられる。

中国人犯罪グループ

中国人犯罪グループ間の利権争いを原因とする殺人事件等の凶悪事件のほか,貴金属店,衣料品店等を対象とする広域窃盗事件,変造通貨を利用した自動販売機荒らし事件等が検挙されている。最近では,大規模な薬物の密輸入に受け手として介在するものもみられる。

イ ベトナム人犯罪グループ

一般住宅の駐車場や家の倉庫に駐車してあったオートバイ等,店内に陳列してあった電気製品,日本製の化粧品等を大量に盗み,組織的に海外輸出する事案等が検挙されている。

ウ ブラジル人犯罪グループ

日系ブラジル人グループによる広域にわたる自動車盗,侵入盗等の窃盗事件等が検挙されている。また,ブラジル人少年が関与する犯罪の増加がみられる。

エ イラン人薬物密売組織

来日イラン人による薬物事犯は,10年も引き続き高水準で推移しており,その多くは不法滞在者によって敢行されている。また,10年中のイラン人による覚せい剤事犯の検挙人員のうち営利犯が占める割合は30.0%で,来日外国人による覚せい剤事犯の検挙人員全体のうち営利犯の占める割合が13.3%であることと比較すると,イラン人による薬物事犯は,単純な自己使用等の目的ではなく密売目的で敢行される傾向が強い。

イラン人密売組織は,複数の薬物を街頭で無差別に売りさばくという密売形態を通じて,「第三次覚せい剤乱用期」における薬物乱用拡大の要因となった。最近では,携帯電話等を利用して巧妙に密売を行う事例が急増しており,潜在化・巧妙化の傾向を強めている。

(3) 我が国暴力団とのかかわり

「蛇頭」と暴力団員が連携した中国人の集団密航事件や中国人女性の不法入国を目的とする偽装結婚事件等が相次いで検挙され,国際犯罪組織と暴力団員が手を組んで不法入国に係る犯罪を敢行している状況が見受けられた。また,暴力団員らが,来日外国人の組織窃盗事件に関与したり,中国人グループを使った強盗等の凶悪事件を引き起こしたりしている。

信じがたい話だが、日本への密航をアレンジする組織「蛇頭」に自分のパスポートを売る日本人がいるという。蛇頭と来れば、賢明な読者は筆者が何処で拾った話か察しがつくだろう。

日本で借金を抱えまくったいわゆる多重債務者が日本の黒社会に指示されるまま中国に渡ってきて、提携先の蛇頭に自身のパスポートを売り債務の返済に充てるという。値段は5万元程度で買い取られ、写真を巧妙に貼り替えた後、日本にどうしても行きたい中国人たちに転売される。

売られたパスポートを持った中国人が無事日本に入国できた(勿論不法に)時点で、その日本人は公安に紛失届けを出し、証明書をもらい領事館で再発給を受け帰国する。そんな図式が成り立っていて、目的のないブラブラした日本人が何人もいるとのことだ。

これだけなら真面目な出張者は何も関係が無いだろう。だが、最近そういった不良日本人の存在が原因で、公安はパスポートの紛失届けを受理した際、本当に紛失したのか詳しく調査をするため、1ヶ月間は本人にその土地に留まってもらう方針だという。公安関係者から聞いた話なので確度は高い。

つまり仮にパスポートを事故で紛失した場合、盗まれた場合、そういった人間たちと一緒にされ、理不尽な足止めを喰らった上、出国出来ない可能性があるのだ。一部地域に限定された話ゆえに大げさに書くつもりはさらさらないが、パスポートの紛失にはくれぐれも注意願いたい。(完)

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以上、どこから取ってきた記事か忘れましたが紹介しておきます。

中国人による集団密航事件の多くは、

国際的な密航請負組織『蛇頭』の介在がみられるのは、今では日本人でも

知っていることだよね。