天安門事件から17年、16年間投獄されれていた中国人の声。
北京=福島香織】中国の民主化を求めた学生らを武力で鎮圧した1989年の「天安門事件」から4日で丸17年となるのを前に、ニューヨークに本部を置く人権団体「中国人権」は2日、事件の遺族や関係者たちへのインタビューによる肉声を、インターネットで急速に広がっているポッドキャストで配信を始めた。
ポッドキャストは、利用者が登録したネットラジオ局から最新の音声ファイルなどが自動的にパソコンにダウンロードされる仕組みで、利用者はパソコン上や携帯音楽プレーヤーで好きな時間に聞くことができる。「中国人権」はこれまでも事件の当事者らの声をさまざまな方法で発信してきたが、ポッドキャストを用いるのは初めての試みという。
番組のサイトは六四●案(www.64memo.com
)。天安門事件で息子を失った母親たちによるグループ「天安門の母」代表の丁子霖さんや、天安門の毛沢東元主席の肖像画にペンキを塗り反革命扇動罪などで16年間投獄され、現在、カナダに住む魯徳成氏らの録音番組が2日からアップされ始めた。
電話で番組の収録に応じた丁さんは、事件の再評価を訴えるとともに、「5月27日に胡錦濤国家主席ら3人の国家指導者に手紙を送ったが何の返事もない。30日昼、公安当局から私と夫の軟禁が通知され、夫が診察を受ける以外の自由はありません」と語り、困難な状況に置かれていることを明らかにした。
同サイトでは趙紫陽元総書記の5・19講話や天安門事件後の北京病院の惨状を伝える当時の現場録音、海外テレビの映像など事件の生々しい記録なども公開されている。
●=木へんに當
(産経新聞) - 6月4日