重要なニュースだと感じる。
1年半前、チャイナモバイル(中国移動)は世界最多のモバイルユーザーを抱える通信事業者となった。その時点では、まだボーダフォンやNTTドコモと同列に論ずる人はほとんどいなかった。
しかし、この18カ月の間に、チャイナモバイルの市場価値は倍増し、今やアジア最大の市場価値を持つ通信事業者となった。2006年4月、『フィナンシャルタイムス』と市場調査会社のMBO(Millward Brown Optimor)が発表した「世界で最も勢いのある100ブランド」で、チャイナモバイルは第4位(通信事業者では世界トップ)に入り、世界ブランドのイメージ確立を印象づけている。
これと並行して、チャイナモバイルの戦略にも変化がみられるようになった。最も顕著な例は、同社が長年唱えてきた「世界一流の通信企業を目指す」というスローガンが、「世界一流の企業になる」に変わったことだ。
「チャイナモバイルは財務状況が安定した黒字体質の企業であると同時に、急速な発展を遂げる成長企業でもある」。変化について、同社CEOの王建宙氏はこう総括した。同氏によると、「世界一流の企業になる」道のりは「世界一流の通信企業を目指す」よりもはるかに挑戦的で、「期待を持たせる旅」だという。
この18カ月の間、チャイナモバイルと王建宙氏の出した「答案」は、間違いなく投資家を満足させるものだった。
この間、チャイナモバイルは一貫して安定した急成長を続け、2006年第1四半期の財務報告では、売上高は650億1500万人民元に達し、同時期におけるチャイナテレコム(中国電信)とチャイナネット(中国網通)を合わせた額を上回った。現在、チャイナモバイルの市場価値は1100万米ドルを超えている。
しかし、これで王建宙氏に対するファンドマネージャーの質問が止まるわけではない。チャイナモバイルは規模の拡大を続けているが、この「巨象」はあとどのくらい走り続けることができるのか。
「巨象はこれからも軽快に走り続ける」と王建宙氏は言う。現在、同社の事業発展には、新規ユーザー、新規業務、新通話サービスという三つの成長エンジンがある。チャイナモバイルはこれらの新たな市場空間で成長し、ARPU(Average Revenue Per User:加入者1人あたり月間売上高)を引き上げるというのだ。
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