特許攻撃を嫌がる中国
「中国のDVD産業はもう完全に終わりだ!」
4月27日、北京の中国大飯店で、ある有名テレビメーカーの副総経理が
深くため息をついた。
中国のDVD装置メーカー業界団体(中国電子音響工業協会および
中国機電製品輸出入商会)が、米国のMPEG特許管理会社「MPEG LA」と
の間で調印した「MPEG-2特許合同ライセンス」に関する覚書の余波が
静かにのしかかってきたのだ。
MPEG LAは覚書に基づき、中国産のDVD装置に対し1台あたり2.5米ドル
の特許使用料を徴収する。
これだけでも、中国が今後MPEG LAに納める金額は年間2億米ドルを
超える。これは3C(フィリップス、パイオニア、ソニー)、6C(東芝、日立、
松下、タイムワーナー、JVC、三菱電機)、ドルビーに次いで、中国に
対して突き出されたもう一つの“特許の剣”である。
非公式統計によると、中国がDVD装置を1台生産するごとに支払う特許
使用料は今やすでに20米ドルを超えており、毎年の特許使用料支払額は
20億米ドルに近いといわれる。しかも、問題はDVDだけではない。
MPEG LAのローレンス・ホーン最高経営責任者(CEO)が明らかにした
ところでは、同社が管理するMPEG-4、H.264、DVB-T(欧州版地上デジタル
放送規格)などの特許についても、中国との特許使用料交渉を行う予定だ
という。これらの特許がカバーする範囲には、デジタルテレビ、映像音声
伝送から今後の3G通信まで、すべてが網羅されている。
今回の覚書だが、実は調印まで6年もかかった。
そのため、覚書実施の起点となる2005年7月1日以前に中国が生産した
DVDに対しても「遡及徴収」を行うという。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/china/comment/060526_dvd/
無許可のコピー商品で儲けを出してきた中国企業としては、
特許料を外国に払うという行為が、ものすごく「損」だと感じるらしく、
何とかして独自の世界標準を取りたいと考えている。
今のところ、無難な電信柱の世界標準などを取得している。
もしも中国が各分野で世界標準を取ったあかつきには、世界中が中国に
貢物のように特許料を支払うことになる。
日本も過去に幾たびか、世界標準に押されて日本独自の技術をやむなく
捨て去るハメになった。アナログのハイビジョンを捨てて地デジに移行
することになったのも、世界標準に合わせる必要があったからだ。
世界標準を取るとは、国が栄えるか否かの運命にかかわる大切な事
なのである。