中国に接近するドイツ
【ベルリン=黒沢潤】ドイツのメルケル首相は二十一日に訪中、二十二日、
胡錦濤国家主席と会談する。
首相は経済交流の拡大路線を維持しつつも、人権問題などで中国側の
対応改善を促すものとみられ、シュレーダー前政権とは異なった新たな
独中関係を築き上げたい考えだ。
ドイツは現在、約四百七十万人の失業者を抱えており、経済てこ入れの
ためにも中国との経済交流拡大は重要課題となっている。
ドイツの対中輸出額は昨年、百八十億ユーロ(約二兆六千億円)とアジア
以外の国では米国に次ぐ二番目となっており、首相は独企業の中国市場
参入の重要性について胡主席から明確な“お墨付き”を得たい考えだ。
首相は一方、「中国べったり」と指摘されたシュレーダー前首相の政治
姿勢とは明確に一線を画す方針だ。
前首相は、対中輸出拡大とドイツの国連安保理常任理事会入り実現のため、
六回も中国を訪問した。
また一九八九年の天安門事件を契機とする欧州連合(EU)の対中武器
禁輸の解除まで主張した。
メルケル首相は禁輸解除に強く反対、会談ではこの議題を避けるとみられる。
独政府筋によれば、メルケル首相は今回、前首相が意図的に触れなかった
人権問題にも言及する見通しだ。
(産経新聞) - 5月22日