カラスの声で目覚めるなんて、、、。 | 日本のお姉さん

カラスの声で目覚めるなんて、、、。

私の住んでいる地域は古くからの建物が多くて緑も多い。


団地の裏庭には、毎年むくどりの赤ちゃんが母鳥と一緒に


やってくる。むくどりの赤ちゃんは、ピィーッ、ピィーッと大きな声で


鳴きながら、地面に降りて休んだり、木の上まで飛び上がったりして


飛ぶ練習をするのだ。母鳥は、赤ちゃんを見守っている。むくどりの


赤ちゃんは、地面にいるから触ることもできる。母鳥は、近くの木の枝から


見ている。むくどりの赤ちゃんは大きくて太っていて、どてっとしている。


よく、子供がむくどりの赤ちゃんを拾って、交番に届けたりするそうだが、


近くに母鳥がいるので、むくどりの赤ちゃんを見つけても、そっとして


おいてやるのがいいらしい。


今の時期は、たしか、そんなむくどりの赤ちゃんの声が聞こえるはず


なのだが、2、3年前からむくどりが現れなくなっている。


原因は分かっている。


カラスの大群がいるからだ。今までずっと、朝は裏庭に鳥が来て、


すずめの声などで目が覚めたものだが、今ではカラスの


「ギャ~ッ!!ギャ~ッ!!」という汚い声の合唱で目が覚める。


正確には、カラスと、目覚まし時計と、友人のモーニングコールで起きる。


4年、5年前、わたしの住んでいる地域にカラスが7羽やってきた。


遠くの団地に住む友人が「最近カラスが出なくなった。」と言っていたので、


たぶん、そこのカラスが移動してきたのだろう。カラスが出るようになっても


誰も注意を払わない。カラスは朝早く出されるゴミの袋を破って中のゴミを


食べている。カラスたちはゴミの収集日以外にも、たびたびやってくるよう


になった。人間を恐れていない群れだ。誰もカラスに注意を払わないし、


驚かすこともしない。カラスは恋をしたり追いかけっこをしたり、つがいに


なったりしていた。


以前、交通事故にあってケガをしていた犬を飼っていたことがある。


朝、犬を連れて近所を散歩していると、5時半頃だとある茂みの側にいつも


給食の残りのようなクリームシチューや白ご飯がてんこ盛りに置いてある。


たぶんノラ猫にあげているつもりなのだろうが、猫はクリームシチューは


食べない。それを食べているのは、カラスなのだ。カラスは黙ってそれに


群がって食べている。食べている時は静かなのだ。


散歩を終えて6時45分頃にそこを通ると、ぐちゃぐちゃのシチューはきれいに


片付けてある。4、5年前に7羽だったカラスは、今では数えると17羽に


なっている。エサをあげている人には出会ったことがない。団地の中を犬を


連れて散歩していると、いろんな人に出会う。真新しいバイクがある日突然、


茂みの中に置かれる。毎朝みるたびに、バイクは分解されてゆく。


盗難してきたバイクをだれかが夜中に来て部品を持っていっているのだ。


良く見るとあちこちで、分解されつつあるバイクが茂みの中に隠されてある。


ある日曜日の朝早く、犬を連れて外に出たら、バイクを分解しているバイク


泥棒にばったり出あってびっくりしたことがある。


黒い服を着て髪の長い細い男だった。年は20代後半から30代前半。


警察に言うと、「今度見つけたら影に隠れて電話してください。現行犯で


ないと掴まえられませんから。」と言われた。


一度、きれいな高そうなバイクがいきなり現れたので、警察まで犬を連れて


バイクを引いていったら、盗難届けが出されているバイクだった。


カギは壊されていたが、まだ分解されていないバイクだったので、


持ち主は喜んだそうだ。


警察に「あちこちでバイク泥棒が分解しているから、見回りをしてください。」と


頼んでおいた。緑が多いのはいいが、死角も多いようだ。犬の散歩をする人が


多い方が地域の防犯には役に立つはずだ。泥棒には犬を連れてウロウロ


歩いている人はジャマな存在だと思う。


犬を散歩している時に、友達になった犬友達の一人によると、最近現れる


カラスの数は17匹どころではなくもっといるそうである。


2年前に公園で、むくどりの赤ちゃんが木の中から


「ピャーア!!ピャーア!!」と、なにやら必死の声を出しているのに


出会った。カラスが近くの電線に止まってむくどりの赤ちゃんの方角を


じっと見ていた。むくどりの母鳥らしき鳥が近くの木に止まってじっとしていた。


何だか悲しそうに見えた。あきらめているようだった。体の大きなカラスに


むくどりが向かっていけるわけが無い。カラスに石を投げるマネをして


みたが動かない。むくどりの子供はカラスに狙われているようだった。


カラスに石を投げて見たが、カラスは少し遠くに移動するだけで、


相変わらずじっと赤ちゃんのいる木を見ている。


わたしもあきらめて家に帰ってしまった。カラスに狙われたらもうダメだ。


もう2、3年前からむくどりの赤ちゃんの声は聞こえなくなった。


カラスが群れる地域は子育てができないと、むくどりが思って移動したか、


むくどり夫婦が死んでしまったかだ。


今朝、裏庭の花に水をやっていると、ゲロゲロと近くの茂みでかえるが


鳴いたので、「喜ぶかな?」と思ってホースの水を茂みに向けてやったら、


なんと、カラスがあわてて茂みから逃げていったのだ。ゲロゲロ鳴いて


いたのはカラスだったのだ。たまにカラスらしからぬ声も出すので、びっくり


する。東京ではカラスが増えて、ベランダで飼っている鳥までカラスに


狙われるそうだ。都会の中でカラスは増え続けているようだ。


公園のゴミ箱の近くにはいつもカラスがいて、中身をあさっている。


一羽が、パンのかけらを見つけると、その後ろをぎゃあぎゃあ言いながら


他のカラスが追いかけている。かなりお腹をすかせているようだ。


通勤途中の公園のゴミ箱の周りに、17羽のカラスがいる。


ゴミ箱を見つめながら木の枝や、柵などに止まっている。近寄っても


恐がらない。カラスの横をすれすれに通っても、ふてぶてしくわたしの


顔を見ている。「えらく、落ち着いてるな。」と声をかけると、ふわっと少し


浮いて同じ位置に戻った。慣れすぎである。公園でなごんでいるカラスを


脅かしてもかわいそうなので、そのまま通り過ぎた。会社に遅れる。


裏庭に来るカラスには、冷たい仕打ちをすることにしている。小学校の


前で、小学校から逃げてきたらしい雄鶏を血だらけにして殺そうとして


いるカラスを見たことがある。雄鶏は車で運転中に見たのだが、会社を


遅刻してまでは助けられなかった。むくどりの赤ちゃんも食べたに違いない。


道路で死んでいる動物をつついて肉を食べているカラスも見たことがある。


都会のカラスは好きになれない。人間がゴミを見えるところに出すから


ゴミを食べて増えたカラスだ。カラスは飼ってみると賢くておもしろい鳥


らしい。でも毎朝、カラスの声で目が覚めるのは風情が無い。


この調子では、あと4、5年したら、カラスの数は倍になっていそうだ。