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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成18年(2006年)5月11日(木曜日)
通巻第1457号
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あまりにも面妖、あまりにも唐突。中国銀行の株式上場
錬金術の手品師、つぎの仕掛けは100億ドルを市場から調達する
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中国四大銀行の第二位につける「中国銀行」は世界最大規模の株式
上場を香港でおこなう。
中国銀行は嘗ての「東京銀行」に似て外国為替専門からスタートした
総合銀行。香港にそびえたつビルは香港金融街を睥睨している。
この中国銀行が六月一日に香港株式市場で768億香港ドルを発行
(米ドル百億ドルに匹敵、過去六年間で世界最高額)、これは同行の
簿価の二倍強に相当する。
昨年十一月に中国建設銀行が香港で上場し、投資家の人気を博し
たが、中国銀行の新規上場はそれを上回る、歴史的な規模となる。
幹事役は米国のゴールドマン・サックス証券とUBS(ユニオン・バンク・
オブ・スイス)。
▲天下のUBSが調査をした?
UBS調査部によれば、中国銀行は昨年の貸し付け業務を30%成長
させた。中国全土に一万一千カ所もの支店がある。
「同行の不良債権率は9・4%に激減したという。ちなみに中国建設銀行は
14・6%,中国工商銀行は16・5%とUBSが見積もっている」
(「ヘラルドトリビューン」紙、5月10日付け)。
さらに中国最大の中国工商銀行が九月に百二十億ドルの上場を
計画している。
これも香港株式市場のレッドチップ。
民間最大の「招商銀行」も年内に香港証券取引所に上場する。
同行は発行済み株式数の18%にあたる22億株を発行、日本や
米国の投資家向けにも公募するという。
香港株式インデックスである「ハンセン指数」(日経平均に相当)は、
すでに今年五ヶ月間で16%上昇し、レッドチップ関連の株式上場
ブームを裏付けている。
しかし、こういう錬金術の手品、どことなく面妖ではないか?
当局の公式数字を見よう。
中国銀行業監督管理委員会は四大国有商業銀行の三月末時点での
不良債権比率が9・8%に改善されたとした。
すでに中国建設銀行、中国銀行、中国工商銀行は”公的支援”で不良
債権処理をほぼ終了させたと豪語しており、残るは中国農業銀行だけ。
中国銀行業監督管理委員会の統計によれば同期(2006年三月末)
時点で、外貨を含めた総資産額が39兆2000億元。
一方、負債総額は37兆4500億元と発表されたという。
(「人民網日本語版」、5月8日付け)。
筆者の記憶に間違いなければ、不良債権率は数年前に39%、
その次の全国人民代表大会でも29%と発表されてきた。
世界の投資家が相手にしなかった。
慌てた中国はなりふり構わずに銀行システムの改善にのりだす。
日本にならった「再生機構」を設立し、片っ端から蓄積された不良
債権を買い取ったほか、なんと外貨準備から七百億ドルも
不良債権処理に注ぎ込んだ。
▲晴れない疑惑の霧
それでも、公式発表の9・8%という不良債権率に改善されたという
数字はあまりにも唐突、あまりにも人工的改竄の痕がありありと
している。
別な側面からの疑惑も拡がる。
4月26日の「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」は、北朝鮮の
偽札問題を追う米国司法当局が念入りな捜査を展開しているが、
「中国銀行の香港系列行の口座を米司法当局が凍結し、およそ
267万ドル(邦貨換算で三億円)を没収する」と報じた。
中国銀行香港法人の子会社は「集友銀行」。三つの口座が
偽札取引などの送金先となっていた事実が米裁判所の資料で
明らかになった。
闇のマネー、表玄関からは株式上場。錬金術の手品師たちが
香港で蠢動を続けている。
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(読者の声)貴誌先日付けの中共現地レポートは大変
参考になりました。
いま無神論の中共が勝手に中共のカソリックの司教を任命して
バチカンとトラブルになっています。
中共の仏教界も僧侶は共産党員なのでしょう。到底理解できない
あきれた世界です。中共について以下のように感じています。
1.我々は中共を国というよりも世界の規則の通じない別の惑星、
別の世界と考えるほうが良い。
同じ国と考えると混乱する。とにかく支那事変の時のように現地の
紛争に巻き込まれないようにいつでも撤退できるように日本の安全の
スタンスを確保する。
2.支那人の日本人迫害は、ドイツのナチスによるユダヤ人迫害と
類似している。
かつて山本七平氏が恐れていた状況が現れてきた。
3.ユダヤ人の迫害解決方法は建国と国民皆兵による民族の結集である。
すでに原爆を準備している。
「世界に憐れまれて滅亡するよりも、世界を敵に回しても生き残る」
(イスラエル首相談)。
4.日本の学ぶ国はイスラエルであると思います。
(MC生)
(宮崎正弘のコメント)バチカンが13億市場を狙っての北京との国交
樹立は時間の問題です。これについては発売中の『サピオ』に拙稿が
あります。
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<宮崎正弘のロングセラーズ>
『中国瓦解』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書、861円)
『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』
(並木書房、1575円)
『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版刊、1470円)
『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ刊、1680円)
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本も面白そうだな。中国の銀行の話はよくわからなかったが、
とにかく中国は裏で数字合わせと、北朝鮮のニセドルの送金などで
錬金術師のように、適当にやって世界のみんなの金を集めようと
してるんじゃないかってことだね。
中国の銀行が毎年不良債権処理に追われていたとしても、
公式発表の9・8%という不良債権率がウソであったとしても、
世界の投資家が中国に目を向けて金を振りこめば、直ぐに
その金を使ってなんとかなるとみたか?
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中国企業の錬金術の本場は依然として香港
レッドチップ上場は109社に達した!
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中国企業は株式上場という妙手によって膨大な錬金術を達成し、
あらかたの企業は新株発行の目論見とは異なって、上場で得た
資金を別の投機に回した。
世界の株式市場でも、この「偽造文書」まがいの決算報告、企業
業績報告などにより、いったん急カーブで上昇した当該中国企業の
株価が急落するなどのスキャンダルが発生
(たとえばNY上場後の「中国人寿保険」など)している。
つまり世界の投資家の基準から見れば、中国企業の新規上場は、
いまや危険をはらんだ「投機」銘柄と同様な扱いを受けてきた。
にもかかわらず2006年4月末現在、中国いがいの株式市場に
上場した中国企業の数は129社に達したことが判明した。
「上場先は香港H株市場(109社)のほか、ニューヨーク市場やロンドン
市場など。うち31社は、香港市場のH株と国内市場の人民元建ての
A株との両方を発行している」(新華社、5月7日)。
また香港紙「文匯報」によると、2006年に香港市場に新規上場した
中国企業は鰻登りで、僅か4カ月間に11社になった。
ほかに10社以上が香港上場を計画している。
「そのなかには中国銀行や中国工商銀行なども含まれ、上場による
資金調達は中国銀行が624億香港ドル、中国工商銀行は1千億香港ドル
に達すると見積もられる」。(「人民網日本語版」、2006年5月8日付け)。
日本でいま騒いでいる「中国株が儲かる」という投資話は、ほとんどが、
この香港のレッドチップ市場の面妖な動きを指している。
肝心の上海、深せんの株式市場はどうなったのでしょうねぇ?
上海はいずれ香港株式をぬいて東洋一の規模になると豪語していた
のですが?
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これもよく分からないけど、香港レッドチップ市場って、歴史は古いようだ。