国際基準を狙う中国 | 日本のお姉さん

国際基準を狙う中国

日本の携帯電話会社が、軒並み中国から撤退したが、これは、中国がアメリカ
在住の中国人と、ドイツの会社と組んで、中国だけの新しい携帯電話の標準を
作ってしまったため、別の標準で携帯電話を作っていた日本の会社は中国標準
の安い携帯電話を作ることが出来なかったからなのだそうだ。

中国は、携帯電話のみならず、DVDでも、EVDやHVDなど、DVDより
も画面がきれいに写るものを作り、独自の基準を国際標準にするように申請し
たのだそうだ。

無線LANカードでも中国仕様を中国の標準にしようとする動きがあったが、
それはアメリカに押し切られて諦めたそうだ。外国のパソコンと互換性のない
無線LANカードを中国の標準にしてしまうと、外国企業のパソコンが売れな
くなるのでアメリカが強く反対したようだ。

13億人という人口を抱える中国に、中国だけに通用する標準を作られたら、
外国の企業が中国に入っていきにくくなる。中国にライセンス料を払いつつ、
中国企業の安い商品に対抗できる商品を作るのは難しい。

将来、中国が定めた基準が国際標準になると、日本企業が中国で商品を作る際
日本とは違うラインを組んで、日本用と中国用を別に生産しないといけないの
でコストがかかるし、中国に高額なライセンス料を払わないと中国用の商品が
作れなくなる。

中国に模造品や海賊版を作られて訴訟を起し、たとえ1000万円を勝ち取っ
たとしても、1億円のライセンス料を取られたら元も子もない。

中国は今、何か正規の商品を作るたびに外国にライセンス料を支払っている。

このライセンス料を払うのがバカらしいので、外国企業と共同で開発した物で
国際標準を持とうと、いろいろな物の標準を国際標準にしようとしている。

中国は、2001年に「国家標準化管理委員会」を新設し、各地の国家部や研
究所に委託し、中国の標準を策定しているそうだ。ーーー「一流企業は標準で
売る。二流企業はブランドで売る。三流企業は製品で売る。」というスローガ
ンは、中国企業が特許や国際標準を取り、中国企業が外国企業から特許のパテ
ント料をもらうようになることを目標としているという意味なのだ。

2005年6月には「知的財産推進計画2005年」という目標を立てたし、
20年前から中国が目標を掲げて頑張ってきた、「生物、宇宙、バイオテクノ
ロジー、エネルギー等の研究」は成果を上げてきている。

同じように、中国の申請した標準が次々と国際標準になる日が来るかもしれな
い。
中国標準が世界の標準となった場合、日本企業が中国企業に価格で競争するこ
とはますます難しくなる。すでに、価格では、日本企業の製品は中国では富裕
層専用になっているようだし、中国の一般市民は中国製の安い商品で十分満足
している。

高い日本製は、付加価値が付いていても中国では売れていない。

売れそうな品物は直ぐにコピーされる。中国企業は開発費ゼロで、本来は日本
企業が受け取るべき利益をどんどん吸っていく。日本企業の中国でのうまみは
限られている。日本に送る商品も輸送費が高くなると、またうまみが減ってし
まう。
せっかく中国で人件費を安くあげて日本向けの商品を作っても、高くなった輸
送費に食われれてしまう。その上、中国が特許を持ったり、国際標準を持つよ
うになったりすると、多額の使用料を中国に支払わねばならなくなる。

その中国政府に対抗するには、日本企業同士で争っていてはいけないし、日本
政府は、企業だけに任せておいてもいけないのだと思う。

相手は中国政府と、中国と組んだ外国企業なのだ。

中国のやり方は、台湾に対するように「仲間はずれ化」「孤立化」だ。

気が付けば、日本の商品が世界の仲間はずれになっていたりするなら、中国に
おける携帯電話事業のように、中国、いや、世界から撤退を余儀なくされるの
ではないか。日本の経済力が弱まったら、どこの国が日本をかまってくれるの
だろうか?
台湾と国交のある国は、軒並み中国の強引な誘惑に引かれて、台湾を捨てて中
国と交際を始めようとしている。中国が日本に対して、同じ方法を使う可能性
があるということは、中国が昨年(2005年)アフリカ勢などを取り込んで、
日本の国連常任理事国入りを阻んだ態度で明らかだろう。

日本政府は、複数の企業と連携し、日本という国の未来をかけて、中国だけが
国際標準を獲得しないように働かきかけねばならない。

危機感を持って取り組むべき問題は、東シナ海のガス田や尖閣諸島の領土問題
だけではなく、他にも山ほどある。

20代の子供が担ぎ出されて政治家になるのが流行の日本だが、話が通じない
国に囲まれている日本が、自国の領土を守り、日本の未来を考えて経済の舵取
りをしなければならない時に、そんな政治家を選んで国としてやっていけるの
か。
資源が無い国は、最先端の技術で食べていくしかない運命にあるのだ。

もっと先を考えて、国際標準を中国に独占されないために、金と頭とあらゆる
人脈を使い、外国企業と組んででも日本の未来の繁栄の道を築くべきだ。

中国が、日本と組んで世界基準を作るというなら、日本が中国の世界基準取得
作戦を阻止できないなら、それもひとつの選択肢だろう。(中国と組むのなら
将来ライセンス料が日本にも入るようにしないといけない)

日本は、もっと日本国民の金を未来の投資に使うべきで、中国が勝手に埋めた
旧日本軍や旧ソ連軍の残した化学兵器を掘り出す費用などに、ホイホイ出して
いる場合ではないのだ。中国に掘り出し料として1兆円だすなら、日本の優秀
な科学者達に1兆円の研究費を出してやって欲しいものだ。

詳しくはこちらから。↓
http://www5.hokkaido-np.co.jp/books/20051009/3.html

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余談:

ーーー日本政府も何もしていないわけではない。

アメリカが開発し、ショッピングセンターでも使われているRFID(radio
frequency identification)と呼ばれるUHF帯のアンテナ付きICタグが国
際基準になろうとしたときに、日本は日本で使っている、追跡可能な(トレー
サビリティー)在庫管理システムを、そのまま世界でも使えるようにと願って

日立が開発したミューチップをISOに申請したが、去年(2005年)6月に
残念ながら国際標準には採用されないと決定された。アメリカのEPC(El
ectronic Product Code)という規格が国際標準となっ
た。
これで、日本の商品に付けられたICタグは、世界では通用しなくなった。

日立のミューチップは、一個にかかる制作費がアメリカの半分でできる、もっ
と小型のものだった。詰め込める情報量はアメリカ製よりも少し少ないが、商
品管理には十分だった。これが国際標準になると、アメリカの利益が減るから
か、研究開発した側の意地なのか、日本が良い物を作っても採用されない場合
もある。
NHKのアナログ放送のハイビジョンシステムも国際標準で採用されなかった
ものである。

国際標準に採用されるには、良い物だけを作っていてもダメで、日本政府のい
ろいろな駆引きや根回しが必要なのだ。

日本のOS「トロン」のシステムを使った商品管理システムは、中国や韓国に
それなりの価格で技術提供して、どんどん普及してもらうようにしている。根
回し無しには国際標準には使われないと日本も悟った。

デジタルの世界では、国際標準に採用されないことは致命的なのだ。

日本のJRや地下鉄の改札で使われている非接触型カード読取機には、トロン
のシステムが使われている。愛知万博の入場券には、日立のミューチップが使
われた。0.4ミリ角、厚さ0.1ミリなので、紙の中に仕込めるのだ。

日本の開発したシステムや物が国際標準を取ることは、資源の無い国が絶対目
指すべきことで、中国に先を越されると、日本の経済が沈み込む事に繋がる。

セキュリティーをきちんと考えないと、自分の持っているICタグ付きカード
で、いつどこに行って誰と会ったかまで管理されそうだ。トロンのシステムを
使用すると、情報が暗号化されるのでアメリカのRFIDよりは安全なのだそ
うだ。

映画「マイノリティーリポート」の世界のように、道を歩けば機械に名前を認
識されてしまう時代はもうきている。中国人のICタグ付き身分証明書には、
宗教まで書き込まれているとか。

国際標準を採用された国が、世界の人々を管理できるようになるのだと思う。