他人の子供 | 日本のお姉さん

他人の子供

山をひとつ、そのまま使ったような、自然がそのまま生かされて


いる公園に行った。


土曜日の朝起きたら、いつもの会社にいく時間で余裕があったので、


教会のピクニックに参加することにした。弁当持参と案内に書いて


あったが、昼から帰るつもりで手ぶらで教会に行った。


8時半に行ったら誰もいない。しばらくしてみんなが集まってきた。


8時50分に集合だったそうだ。公園の場所が分からないので、


みんなの車の後ろから自分の車を運転してついて行った。


公園では、ゴールデンウィークに合わせていろんなイベントが


行われていた。動物ふれあい広場では、カメやヤギや、イグアナや


うさぎが触れた。一番気に入ったのは大こうもりだった。大こうもりは


犬に大きな丸い目をつけたような顔をしている。オリの天井にかぎの


ついた足でぶら下がって、りんごを半分に切ったものを抱きかかえて


食べている。りんごを食べる時は犬のような口をめいいっぱい開けて、


かぶりついている。お行儀の悪い子供のように口を開けたり閉めたり


しながら、りんごを噛んでいる。ピンクの舌がずっと出ているのが


おもしろい。表情は乏しいのだが、明らかに幸せそうな顔になっている。


おいしいりんごだったようだ。なかなか可愛い大こうもりだった。


りんごを食べ終わってから、大こうもりは体を起して頭を上にして


ハンカチの四隅を吊ったような形になって、おしっこをした。


たしかに頭を下にしたまま、おしっこをすると、おしっこが自分の顔に


かかってしまう。大こうもりだって、自分のおしっこがかかるのは嫌だと


いうわけだ。おしっこが大きな雨粒のように分かれて、放射線を描いて


オリの外に飛んでいった。


周りにいた子供たちが「きゃ~!」と叫んで逃げた。


大こうもりの頭と同じ大きさのタマタマが付いているのが印象的だった。


オリに手を近付けると、カギのような形の爪を出してひっかけようとする。


係員が飛んできて、「爪でひっかけますから手を出さないでください。」


と、言う。大こうもりは、危険そうには見えず、緑がいっぱいの広場に


置かれていることを楽しんでいるようにも見えた。普段は大きなオリの中で


飛んでいるのだろうか。それとも、狭いオリの中で、ぶらんとぶら下がって


いるだけなのだろうか。


結局、大こうもりには爪にも触れることはできなかったが、イグアナは、


もろに水槽の上に置いた木の枝に置物のように置かれていたので、


触ることができた。頭をなでると目を閉じ、うっとりとしていた。


目を閉じると人間の目のようで可愛いと思った。


植木市では、格安でお花が買えた。嬉しくなってミニバラや、ラベンダー


やらたくさん購入してしまった。帰ろうと思ったら、教会の人が「弁当を


たくさん作ってきたから一緒に食べてから帰れば?」と、言うので


お言葉に甘えて一緒にいただいた。その人が連れてきた7歳と5歳の


女の子たちがわたしのことを気に入って、一緒にすべり台に行こうと


誘う。軽い気持で山の側面に作られた、巨大なすべり台まで行ってみた。


すると子供たちが、わたしに一緒に滑ろうと言う。「恐いからイヤだ!」と


言うと、「一緒に上まで登って~。」と言う。


すべり台の上に登ってみると、幅も広いし、結構高さがあって本当に恐い。


「ここで、見ておくわ。」と言うと、「ダメ!一緒にすべって!」と言う。


5歳の子が、背中をど~んと押すので、落とされるより自分ですべった


方がマシだと思ってすべることにした。


最初は、よかったのだが、だんだん体が斜めになってきて、最後の


ほうでは頭が下で足が上になっていた。このままでは、頭から砂場に


突っ込むと思って、なんとか体制を整えたが4分の1回転しかできず、


背中から砂場に落ちてしまった。恐いと思うとよけい体がこわばって


上手くすべることができない。2回目からは、なんとか子供と同じぐらい


上手くすべることができた。


赤ちゃんを抱いてすべっているお母さんもいて、すごいと思った。


7歳と5歳の女の子は、こんどはわたしを木とロープでできたジャングル


ジムに連れていき、一緒に順番にロープをつたって歩けだとか、


綱渡りをしろとか、命令する。アスレチックもどきのような事を延々と


させられ、フラフラになった。5歳の女の子も疲れてきて、お姉ちゃんが


いつも先に行くとか、わたしだけいつも後ろでいやだとか、すべり台の方が


いいとか言いながらずっと泣いているし、みんなのところに帰ろうと言うと、


いやだと言ってよけい泣くし、うるさくて大変だった。


でも、7歳と5歳の女の子に好かれるなんてことはあまり無いことなので、


そういう状況を楽しんでやれと思い、最後まで付き合った。


雨が降ってきたので、みんながいる場所に戻ったら、子供を連れてきた


人は、公園をぐるっと回って楽しんできたと言っていた。


わたしの携帯電話にずっと電話をしていたと言うが、携帯電話は


カバンの中に入れたままで、カバンはみんながいる場所に置いて遊びに


行っていたので全く知らなかった。とにかく、子供を連れてきた人は、


ハイキングはできたようだった。広い公園だったが、わたしは公園の


入り口の遊園地で遊んだだけで終わってしまった。でも、公園は


草のにおいがして、山桜の花びらがはらはらと散っている最中だったし、


エニシダや雪柳やつつじなど、いろんな花が咲いていて、きれい


だったし、空気が良くて普通の山の中を歩いているような場所だった


ので、公園の入り口だけでも爽快な気分になれた。7歳と5歳のこどもの


おもりも面白かった。でも、わたしの体力は5歳の子供と同じぐらい


だというのが分かってショックだった。おまけにすべり台から砂場に


背中から落ちたので腰が痛いのだ。もう若くはないんだと感じた


一日でもあった。普段から運動していないから自分の体が思いどおりに


動かないのだ。スポーツクラブのプールでたまに泳いでいるぐらいでは


公園の遊園地では子供についていけないようだ。