ボナー・フェラーズ (天皇を救おうと奔走したアメリカ人) | 日本のお姉さん

ボナー・フェラーズ (天皇を救おうと奔走したアメリカ人)

マッカーサーの忠実な部下、ボナー・フェラーズは、日本についての

深い洞察力を買われて、日本との戦争中、日本人に関する多くの

レポートをアメリカ軍に提出していた人物である。

また日本人向けのビラの作成の指導を行った人物でもある。

彼は、戦後マッカーサーの右腕として、天皇を救うために、

アメリカ議会提出用の重要な書類の作成を担当した。


彼は、この書類作成のために、幾人かの日本人に助言を与え、

必要な処置を取らせた。また、友人の日本人に書類の推敲を頼んだ。

天皇が処刑にされずに済んだのは、彼の日本と

天皇に対する正しい理解があったからである。彼の日本の友人も、

天皇を助けるために、全力を尽くしたのだった。


ボナー・フェラーズには日本とアメリカが戦争に突入する前に、アメリカで

知り合った日本の友人がいた。

それは、河合道(みち)という名前の婦人の知人であった。

道は、戦争がまだ始まっていない時から、ボナー・フェラーズに

日本人の考え方や感じ方を正確に教え、今のアメリカの日本に対する

態度は、日本人のプライドを痛く傷つけるものであり、アメリカがそのまま

日本を揶揄(やゆ)し続けると、将来、戦争になる危険性が少なからず

あると警告していた。河合道は、日本人とアメリカ人の両方をよく理解する

数少ない日本人のひとりであった。


ボナー・フェラーズは、アメリカで河合道の知人に出会ってから、日本に

興味を持ち、戦争になる前に日本を訪れている。

そして、河合道の知人に、「日本をよく知りたいので、

本を読みたいが、何を読めばいいですか?」と、尋ねている。


その時に、道の知人は、「小泉八雲の本がよろしいです。でも、わたしは彼が

好きではありません。彼はクリスチャンじゃないから。」と、答えている。


河合道は、クリスチャンで、日本で始めて女子に教育を授けた人だ。

道はキリストの教えを伝えることを基本とした、女学校を設立した。

ボナー・フェラーズの知人は、その学校から送られた留学生であった。

道の学校は戦前と戦争中、憲兵によって監視され、常に廃校の危険に

さらされていた。河合道自身も憲兵に連れ去られ監禁されたこともある。


ボナー・フェラーズは、小泉八雲の著作を読破し、日本の文化を愛する

ようになった。彼は、小泉八雲のファンとなり、彼の奥様や息子に会いに行き、

小泉八雲の墓をたずねた。


ボナー・フェラーズは、アメリカが日本を戦争に導いた事をよく知っていた。

日本人の心情をよく理解していたので、アメリカが日本を戦争に誘った事を、

誰よりもはっきり知っていたし、天皇には罪が無いことも理解していた。


天皇は議会が決定した事を、そのまま受け止めるしかない立場にあった。

それが、議会制度というものである。天皇には、何かを決定する権力は

持たされてはいなかった。天皇は日本民族の父親として、日本国民に敬愛

されており、天皇の言葉は日本国民にとっては絶対的なものであった。


だからこそ、天皇が敗戦を宣告したときに、全ての日本軍と日本国民が彼の

言葉に従って、直ぐに武器を捨ててアメリカの戦後の処理に服従したのだ。

ボナー・フェラーズは、ビラを作成するときも、天皇をバカにするような言葉は

いっさい使わなかった。また、ビラの中でも日本国民が降伏しても天皇を

裁くことはしないと約束していた。兵隊が捕虜になっても、手厚く扱うとも

約束していたし、都市に対する空襲の予告もかならずビラの通りに行って

いた。アメリカのビラは信用できるものであると、日本国民に思わせるよう、

彼はあらゆる努力をしていた。その約束を守るためにも、そして天皇を利用

して、スムーズにアメリカが日本を占領できたという恩に答えるためにも、

無実の天皇を救う必要があった。日本人の天皇に対する気持ちは河合道が

よく説明してくれていた。彼女はクリスチャンであり、日本人である。

彼女が神さまを信じる想いと、天皇を日本民族を代表する存在として深く

敬愛する想いは、少しも矛盾しておらず、アメリカが天皇を裁いて死刑に

することが、どれほど日本国民にとっての「うらぎり」になるのかを、日本人と

しての情感をこめて、ボナー・フェラーズに説明した。

彼もまた、それを理解した。


彼は、天皇を救うために、何としてもアメリカ議会を納得させ、天皇を東京

裁判の席に立たせないようにする必要があった。

アメリカ人の中で働いていても、彼は常に辛い立場に立たされていた。

マッカーサー以外は、彼の味方はいなかったのだそうだ。

彼はたびたび、家族にその辛さを手紙に書いている。当時、アメリカ議会は

日本の天皇を死刑にすることは当然であるという意見が圧倒的であり、

占領軍の間においてもほぼ全員が同じ意見であった。

ボナー・フェラーズには、時間がなかった。天皇を救うために彼の全ての

時間が費やされた。

東郷には、人を使って、「天皇のために全ての罪をかぶって死ぬように。」と、

伝えさせたところ、東郷は「言われずとも、わたしが今、生き恥をさらして

こうして生きているのは、まさに天皇を裁かせないためであり、自分が死ぬ

覚悟はとうにできている。」と、答えたのだそうだ。

天皇が真珠湾攻撃の命令を下していないという証拠集めも進めた。

マッカーサーとボナー・フェラーズの二人は天皇を救ったアメリカ人である。

ボナー・フェラーズは、天皇を救った後、直ぐに軍隊を退職し、アメリカに

帰っている。彼と共に、天皇を救うために働いた日本人たちは歴史の中に

埋もれ、思い出される事もない。



本の紹介文↓

http://theology.doshisha.ac.jp:8008/kkohara/works.nsf/0/30cfafad238f1ced49256c0100484816?OpenDocument

本の紹介文↓

http://s-pr.com/press/main.php3?120

このフェラーズと道の紹介文は個人的に好きです。↓

http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h17/jog388.html

http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h17/jog389.html