「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
投機集団「温州グループ」が中国東北三省(旧満州)へ方向舵を変更か? 瀋陽(奉天)に地下鉄、大連などにマンション投資拡大、拡充へ
瀋陽というのは昔の奉天。旧満州最大の都市だった。この地にある日本領事館では五年前に北朝鮮から逃亡してきた家族五人が駆け込み、あろうことか、中国人民武装警察は、国際条約を侵犯してわが領事館に侵入し、家族を拉致していった。爾来、警備はきわめて厳重。 この瀋陽市内に2010年開業目標で地下鉄が建設されている。投資額は1340億円。日本と比べると工事費が安いのは、巷間いわれるように建設労働者の賃金が安いばかりか、露天掘り作業の工事区間が多く、さらにいえば土地は強制収容だから只同然である。 いまのところ中国の地下鉄は北京、上海、天津、深せん、広州、南京の五つ。瀋陽で 建設される地下鉄路線は二つで、合計41キロにおよぶ。 さらに中国は地下鉄網を武漢、重慶、ハルビン、蘇州、杭州、成都、大連などにも広げたい意向を持ち、国内産の鉄鋼、車両などでまかなう国産化目標を70%以上においているという(『フジ・サンケイ・ビジネス・アイ』、3月11日付け)。 さてこの動きに目を付けたのが「中国のユダヤ人」といわれる温度州商人だ(詳しくは拙著『出身地でわかる中国人』、PHP新書を参照)。 すでにチチハル、ハイラルといった旧満州の遠隔地、ロシア国境に近い地点にもショッピング・アーケード(「温州商城」という)を広げて商売熱心なかれらは、北京、上海、広州でつちかった不動産投機のノウハウと実績を誇り、次の投機目標を旧満州の主要都市の不動産においた気配濃厚である。 上海ではすでに人件費の高騰により技術者不足、中国企業そのものの上海からの脱出が続き、不動産は暴落を始めた。上海の不動産投資ブームは完全に終わった。過度の開発で空室が目立ち、マンションの売れ残りが激しい。 対照的に瀋陽の不動産価格は11・3%値上がり、大連は18・4%、ハルビンも10%台を越える値上がりである(数字はいずれも前年比)。 このタイミングへ節度をしらぬ、えげつない商人集団が、投機を繰り返そうとしているのだ。
読者のコメントもある。
(読者の声1)わが家には小学生の息子がおりますが、この1年、彼の持っている公立学校の教科書を見るにつけ、心にひっかかっている疑問があります。 公立学校の教科書には、韓国も台湾も「日本の植民地にした」とあるのですが、この辺りの歴史解釈は、どうなのでしょうか? 例えば、自分たち国民同様に、現地の子供たちの教育のために、全域に学校を作って、皆教育を推し進めたなどということは、欧米列強の植民地支配では、なかったと思いますが、どうなのでしょう? 日本のやり方は、自分の国の一部として、教育を行い、産業を興したという点で、欧米流の搾取が目的の植民地経営とは一線を画するものがあったのではないかと思いますが、それでも、やはり、教科書では、「植民地にした」と教えなければならないのでしょうか? 公立学校の教科書に関する、このような疑問は山ほどありますが、もう一例。 例えば、日本人の子供が、安重根という名前を暗記させられる事にも、違和感を覚えます。自分の国の大統領や首相を暗殺したテロリストの名前を子供たちに暗記させる国がどこにあるでしょうか? 伊藤博文については、毀誉褒貶さまざまあるでしょうが、しかし単に総理大臣を務めた人というだけでなく、明治維新後、日本の近代化のために貢献した人物である事は否定できないと思います。そのような人物を暗殺したテロリストの名前を何故、日本の子供たちが暗記させられなければならないのか? 韓国人が英雄と称えているからですか? 以上は、日本の子供たちが置かれている教育現場の異常さの、ほんの一例に過ぎません。子供はこうやって日々知らない間に洗脳されて行くのでしょうか?そして自分の国や自国の歴史に誇りを持てない人間が、どんどん再生産されて行くのでしょうか? このようにして、日本は、根幹の部分から、どんどん、腐食されて行くのでしょうか? 歪んだ学校教育の力って、恐ろしいと思います。 最近、こういう状況を見る度に一日本人として情けなく溜息が出ます。(神奈川在住、一児の親より)
(宮崎正弘のコメント)七月を目処として、このような初歩的なご質問を五十ほど選び、それに簡潔に反駁するテキスト的な拙著を現在執筆中です。仮題は『ああ問われたら、こう反論しよう』というような感じです。それまでちょっとお待ち下さい。
宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
宮崎正弘無料メルマガの購読は下記サイトから。
(過去五年分のバックナンバー閲覧も可能)。