政治家に読んでもらいたい本
今、読んでいる本は古本屋さんで見つけた昭和63年6月発行の
いかにも古そうな表紙の「現代中国の挑戦と伝統」。
でも、内容が全然古くないのだ。昭和63年に、これだけ
中国を分析できる人が日本にいたのに、日本の政治家は
少しも彼のような賢人の語る言葉に耳を傾けていない。
日本の政治家が、もっと中国を研究し、中国に対して
注意深く接していたなら、今の問題は起こっていない。
清水徳蔵(しみずとくぞう)さんという方が書いた本で
発行所はアジア書房出版部」水色で万里の長城の
写真がついている。すごくオモシロイ本だ。
勝手に最後の一説だけ、引用させてもらう。
「我が国が、対中経済協力をする場合には、社会制度、国家体制、
国家理念の相違を十分考慮に入れ、我が国の安全保障や尖閣
諸島の主権、大陸棚などのナショナルインタレストに関わる問題では
厳然たる態度を持し、いささかの譲歩・妥協を示してはならない。
それが国家の外交の基本である。その上で、隣国としての外交を
保持し、経済協力の面では十億の民衆に(当時の中国の人口は
まだ十億人だった。現在は十三億人。)理解できる、また役に立つ
生活水準の向上・発展の分野、通信・交通運輸などの分野に重点を
置くべきであろう。
将来、我が国が軍事的脅威を受けることが明らかな分野への協力は
つつしむべきであろう。
とくに、我が国の経済協力・政府借款が、中国の戦略戦術核兵器の
発展のために、財政的余裕を与えるような協力はとくにつつしむべき
であろう。
現状での日中友好には、過去の歴史を棚上げしないかぎり、進行は
ない。
現代中国の政策の変化への柔軟な対応性を持つことが必要である。
第四章の二の「現代中国における政策選択の構造」において
言及したように、中国の独特な風土と歴史、及びその中で形成された
中国の人々の特異な思考と伝統・行動様式、経済・科技(かぎ)の
後進性などの条件、さらには中国共産党の体質などが加わって、
リーダーシップの変化と政策の変化があらわれる。
すなわち、「張」の政策、革命・政治を優先するリーダーシップと、
社会秩序・建設・生産を重視する「弛」のリーダーシップとが
交代する。
すなわち、我が国としては、リーダーシップと政策の変動に考慮を
向けて、周章狼狽しないように留意することが、大切である。
中国的思惟(しい)に注意を払うこと。
本論第五章の二の「外交にあらわれた中国的思考」において
言及したように、中国の外交には、中国思惟の一つの特徴である
中華意識の自己中心的傾向が強く現れる。
この自己中心主義の評価基準は中国共産党と中華人民共和国
及びそのリーダーシップの利益におかれ、指導者の判断によって
変動する。
また中華意識には「事大主義」と「自大主義」という相矛盾する二面的
傾向がある。
外交政策においても、この二面性がよくあらわれる。
米ソの超大国に対しては、覇権主義反対、植民主義反対の
イデオロギー上の非難の声は高くするが、その行動はきわめて
慎重である。
強いもの優れたものに対しては畏敬(いけい)を示す「事大主義」を
とる。
反対に弱いもの、遅れたものに対しては尊大さを示し、自らが
大となり、発展したと自覚するときは「自大主義」(自らを大とする)
の振る舞いをして、自らを尊大にみせ弱者に強制する傾向がある。
すなわち、「避実撃虚」の手法である。
したがって、中国との外交、中国との交渉においては、相手の面子を
尊重すべきであるが、譲歩や妥協は禁物である。
また、中国が自らの後進性を認めているときには、日本に対して
畏敬(いけい)を示すが、日本の支援と協力を受けて、中国が
発展すると、また日本の利用価値がなくなると、
中華意識が頭をもたげて、自ら尊大となり、日本の非難をはじめる
傾向がある。
よくよく、この辺の留意が肝心である。
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この本の著者は、1920年生まれの方である。
中国人の性格を良く見抜いている。
この人の意見にしたがわず、日本政府は金だけどんどん渡す
援助を行った。中国人は、今、「張」の時期に入り、
日本よりも中国が発展してきたと感じて日本に対し、強者として
強気で出ている。
今からでも遅くない。日本政府の政治家は、中国に翻弄され
強気で押されないよう、経済問題、軍備の問題、少子化問題、
官僚の天下り問題と官僚のムダ使いの問題、政府の抱える
借金の問題など、
全ての問題を早急に片付け、日本人同士で争わず日本の経済を
立て直し、中国に対して絶対に譲歩や妥協はしないこと。