「水道管の検査です!」 | 日本のお姉さん

「水道管の検査です!」

風邪ぎみだったので、家にこもっていると

ガンガンとドアをノックする者がいる。

「水道管の検査です!」と、工事屋さん風な人の声。

とても大きい声で威勢がいい。

何かと思って少しドアを開けたら、ぐいっと大きく開けられそうに

なったので、必死で、引っ張る。

だって、玄関に秋にひろった落ち葉入りビニール袋が置いてあるし、

猫がトイレの砂を散らかしたのを、掃除していないんだもの!

でも、水道管の検査があるって、聞いてないよ?

丁度、足下にまだ、隣に回していない回覧板があったので、

「え?今日、検査の日でしたっけ?」と回覧板を開けて聞くと、

「回覧板なんか見ても書いてませんよ。水道管がさびている

場合は取り替えるだけですから!」と言う。

手元には、さびた水道管が握られている。「お金はいらないんですか?」

と聞くと、「さびていたら3000円いただきます!」と、言う。

ここでやっと、この工事屋さんたちは、団地の遣わした検査官でも

なんでもなく、営業の人々だとわかり、「さびていないから結構です。」

と言って、断れた。

さも団地から使わされた検査官のような言葉使いだったので、

うっかり中に入れてしまいそうだった。

中に入れるのを躊躇してよかった。入れたらきっと、いろいろ言われて

何か支払うことになったのかもしれない。

友達のお母さんは、水道をおいしくする機械を長期ローンで買わされた。

定価20万円ぐらいの物だが、ローンで買うと利子が高くなって


計算すると60万円ぐらいの物になる。

毎月5000円だから大丈夫と、説得されたらしい。しかも、その時、付けてあった

はずの機械が、後で見ると陰も形もないのだ。

友達の弟が、その相手を呼び出して、ローンを取り消させたそうだが、

全額は損を取り戻せなかったそうだ。友達のお母さんは、失敗したと

わかっても、それを長い間誰にも言わなかったので、友達が知った時は

大分、時間がたっていたそうだ。お年寄りの一人暮らしは本当に詐欺の

餌食になりやすい。親はプライドがあるので、子供に失敗を知られたく

ないもの。「水がおいしくなる機械を買ったのに、そんなにおいしく

なっていないような気がするけど、どう?」という話から、親が詐欺にあって


いると知ったという訳。


機械自体は良いものなのかもしれないが、取り付けたはずの機械が


どこにもないんだもの。水がおいしくなっているはずもない。

親も自分が詐欺にあったと認めたくない気持ちもあって、あいまいなまま


ずっと黙っていたようだ。


しかも相手が知人であったので、まさかという気持ちでいたらしい。

「高額の物を買う時は、子供に相談してから買わないと、騙されるかもよ。」と、

友達は、注意したそうだ。家の模様替えも、友達に相談せずにしたので、

リフォーム会社に適当に改築されて、不満だらけの結果になったこともある。

親が一人で暮らしている人は時々電話して、騙されないように相談してから

買い物や改築をするように、クギをさしておいたほうがいい。

以前、私の家で17歳の女の子が留守番をしていた時も、工事屋さん風の

おじさん二人がやってきて、「水道管の検査をします。ここは、何人家族?」と

聞いてきたそうだ。丁度その時、彼女は料理中で、包丁を持っていたので、

持ったままとっさに、「ここはふた家族住んでる。」と、答えたら、

今度は、「お父さんは、いつ帰る?」と、聞かれたそうだ。

「お父さんはもうすぐ帰る。」と、ウソを言うと、バタンとドアを閉めて出て行った

そうだ。家に誰も居ない時、勝手にドアを開けたら、悪い人に家に上がられて

ひどい目にあった人がいるから、気安く開けてはいけないと言っておいた。

若い女の子は、予備知識が無い場合があるので、「宅急便です。」と、

言われても簡単に信じて、ドアをチェーンもかけずにフルオープンに

してしまう場合がある。みんなちゃんと、どこかで何が危険な行為か、


教えてもらっているのだろうか?

そういうわたしも、「水道管の検査です!」と言われて、ドアをフルオープンに

してしまった。いかにも、団地に遣わされて来たように、大声で事務的に

名前を呼ばれたら、つい開けてしまうなあ。風邪ぎみだからボケてたかな。