近所のお好み屋さんの苦脳
近所のお好み焼き屋さんは、70歳を過ぎているが
若々しく、女手一人で二人の子供を育て上げた、
肝っ玉お母さんなんだが、悩みもある。
一枚300円のお好み焼きは、安くておいしくて、
サイコーなのだが、近所のおばちゃんやおばあちゃんが、
グチをぶちまけにくるのが悩みの種だ。
お好み焼きだけを作っていればいいというわけには
いかないようだ。
彼女達は1時間も2時間も自分の人生の不満をぶちまけ、
アドバイスを聞きたいというポーズをするのだが、何を言っても
結局は聞いてはおらず、次回も同じグチのくりかえしだ。
アメリカでは、セラピストがいて、お金を払えば顧客の悩みを
聞いてくれるのだが、日本では食べ物屋が悩みを聞かされ
ている場合が多いようだ。
300円で何時間も拘束されるなんて割に合わない。
グチおばちゃん、グチおばあちゃんたちは、その性格の悪さのせいか
近所にお友達もおらず、家族や親戚もあまり来たがらない
ようで、孫も正月しか来ない。みんな時間をもてあましている。
頼りになるのはお金だけで自慢話はお金があるということだけ。
サイフの中からお札を出して、お好み焼き屋さんの前でそれを数え、
「今からこれでパチンコ行ってくるんや。」と、言うのだそうだ。
そして、次の日も現れて、「あれから5万も負けた。」という
話をするのだそうだ。300円でお好み焼きを売って、それで生活を
しているお好み焼き屋さんにしてみれば、札束を数えられたり、
パチンコで何万円も無駄使いしたという話を聞かされると
バカにされたような気持ちになるそうだ。
かわいそうなお好み焼き屋さんは、近所付き合いのため彼女達の
訪問を断る事もできず、今日も人生の不満話しを聞かされている。