中国的グローバリズム
「エイズワクチンが人体実験段階に入っている。北京のエイズワクチン
研究発表の場で ハーバード大学公共衛生学院R教授は、来年から
人体実験を開始すれば2007年にはワクチンは完成するだろうと
発表した。中国も今からワクチンの人体実験に入れば、
中国国内のエイズ患者に加えてインド、南アフリカ、ブラジルの
患者まで対応できると別の場で語ったという。」
http://news.xinhuanet.com/st/2005-11/18/content_3797367.htm
この記事を読んで、インド、南アフリカ、ブラジルは特別にエイズ患者が
多いのかなと思った人は、最近中国がそれらの国と大変仲が良いこと
までは気が付いていないのかもしれない。(実際エイズ患者は多い
のですが。)
2001年中東のカタール、カンクンでWTO会議が開かれた時、その
2年前にWTOに参加した中国はすばやくインドと手を組んだ。
アメリカやEUの利益のぶつかり合いの中、WTO会議は失敗に終わ
り、そのことが発展途上国からなる21カ国の「グループ21」(G21)
という新しい第三勢力が台頭してくる素地となった。
G21は、インド・中国・ブラジル・南アフリカが中心となったグループ
であった。
(のちにエルサルバドルが抜け、ナイジェリアとインドネシアが加わり
G22となった。)
2001年には、インドと南アフリカとブラジルの代表がインドのデリー
で集まり、防衛、航空、海運、農村関係での相互協力を表明。
特に防衛面でインドは南アフリカとブラジルに頼る傾向が強まる。
2003年6月にはインド首相が訪中し、印中関係が強化された。
2005年4月、中国は明確ではないがインドの常任理事国入りを
認めると表明。
中印二カ国間貿易を2008年までに200億ドルに、2010年ま
でに300億ドル規模に拡大する事を約束している。
2005年現在は136億ドルで総貿易額の5%。
(2000年には30億ドルだった。)
2005年5月のCIAの人物による台北市での報告では、
2020年には中国とインドは共に環境面などでリスクを抱え
ながらも、二国合わせれば今のアメリカ並みの
経済力・軍事力を保持している可能性を否めないとのこと。
現在の中国の人口は13億、インドは10億強。
中印二国が持つ潜在能力には、計り知れないものがある。
中印23億の人間が同様に豊かになるほど、地球の資源は
十分なのか、汚染問題に地球は耐え切れるのか、疑問の
声も上がっている。
インドとブラジルはとうもろこし、さとうきびなどを原料とした、
エチル・アルコールとガソリンを混ぜた新燃料の共同開発を
進めているし、前述のエイズワクチンも中国は、インド、
南アフリカ、ブラジルと分かち合うのだと、ハーバード大学
教授にも当然のように思われているのだ。
ロシアのプーチン大統領もBRICS(ブラジル、ロシア、
インド、中国、南アフリカ) 同盟を目指している。
ブラジルはベネズエラと業務提携関係を結んだし、中国は
ベネズエラの石油の採掘権を確保し破格の値段で分けて
もらうことになっている。
ロシアはベネズエラに防衛設備を提供することを計画している。
ロシアはまた、イランに原子炉を提供することを計画している。
ロシアとベネズエラとイランは互いに石油と天然ガスをめぐり、
共存関係にあるのだ。
ベネズエラは近年、アメリカに地理的に近い国ながら、アメリカ
を敵と捉え、中国、ロシアと急接近した。
貿易や商取引、金融分野でアメリカを的にした争いが
密かに始まっている。
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中国は2000年10月、北京で第一回(各国大臣級協議
)「中国・アフリカ協力フォーラム」「中国・アフリカ経済社会
発展協力網領」を採用し、当時の主席による間接的な
アメリカ非難の発表そのままに、アメリカ主導の世界の動きを
中国と発展途上国が利益を得る仕組みに
変えることを目的とした。
「国際間の民主化」という言葉を使って国益を図ろうとした。
中国はその言葉通り、2000年から2年間でアフリカの債務
105億元を免負し、道路、建設、水利、医療などの無償援助も
拡大した。
11カ国に中国貿易投資開発促進センターを設け、アフリカ23カ
国と投資保護協定を締結した。
2003年9月にはアフリカ49ケ国に中国企業による616社の
外資、合弁会社を設立した。
投資額は12億ドル。中国・アフリカの貿易額は3年で100億
ドルを突破した。
2003年12月、アジスアベバで第二回目の「中国・アフリカ
協力フォーラム」が開催され、温家宝首相と44のアフリカ諸国
の大臣70名が一堂に会した。
アフリカの一部の商品の関税免除、中国企業のアフリカ投資
促進のためのインフラ整備、 3年間で1万人の人材育成援助、
ケニア・エチオピアなど8カ国を「中国国民私費観光目的地」に
加える、中華文化のアフリカ公演などの文化交流を約束した。
この頃、中国・アフリカの貿易額は既に200億ドルを突破。
中国の胡錦濤国家主席は、2004年1月26日から2月4日に
かけて、フランス、エジプト、ガボン、アルジェリアの4カ国を
歴訪した。これは、2001年に国家副主席として、イラン、
シリア、ヨルダン、キプロス、ウガンダを訪問して以来、二度目
のアフリカ訪問であった。
2004年は胡錦濤国家主席ら四人の中国指導者が相次いで
アフリカを訪問したが、
2004年1月から2005年年8月までは、アフリカから大統領
13人、副大統領2人、首相5人、議長9人、外相14人が
訪中した。
2004年1月28日フランスでは、この年、中国との国交開始
40周年にあたっていた。
胡錦濤国家主席の訪問に合わせてか、中国のエネルギー需
要の急激な拡大に対応するため、フランスとの原子力エネル
ギーに関する協定が調印された。
また、原子力技術の提供を受けることと抱き合わせで、
北京―上海の高速鉄道建設の発注についての調整が
行われた模様だ。
アフリカ3国でも次々と新しい公約が交わされた。
2004年8月22日には北京で「中国・アフリカ協力
フォーラム」第四回目の官僚会議が開催され、
アフリカ46カ国の代表と6つのアフリカ地域組織のオブ
ザーバー、中国駐在アフリカ使節らが出席した。
中国は41カ国のアフリカの国とそれぞれ「両国貿易協定」を
調停し終わり、貿易や人材養成などについて
話し合った。ちなみに第三回目の「中国・アフリカ
協力フォーラム」は2006年に行われる予定。
2005年11月28日には、北京で「北京宣言」「中国・アフリカ
教育フォーラム」が開かれ、アルジェリア・ベニン・カメルーン・
ジブチ・エジプト・ギニア・ケニア・レソト・マリ・モーリタリア・
南アメリカ・スーダン他20カ国の教育相(17カ国の官僚?)が
集まった場で、中国は、多くの処置を講じて中国とアフリカと
の経済協力と貿易関係の発展を推進すると約束した。
具体的には、中国はアフリカの教育事業の発展を促し、中国と
アフリカの友好を固持し、 アフリカ全国民がNGOや国連など
から益を受けるよう中国が提案をし続けることを約束し、
職業・技術の教育を助けること、アフリカ国民も高等教育を
受けるべきで、「中国・アフリカ教育相フォーラム」は多国間
協力のモデルとなると発表した。
また今後3年間で3000人の研修者支援と留学生の
受け入れ倍増を約束した。
中国は2004年から2005年5月までに、アフリカにODAを
含む167項目の支援を提供し、
中国の対外支援の4割である1億4千万ドルを支払った。
中国とアフリカの貿易額は6割強の296億ドルに達した。
中国は国連やWTOなどで、アフリカの国際的形態の変化と
グローバル化への挑戦を支持し、アフリカへの援助と債務削減、
市場開放を国際社会に訴えかける声となり、
アフリカ諸国は見返りに、資源の提供、中国のWTO加盟・
北京オリンピック・上海万博の招致、台湾との断絶、日本の常任
理事国の不支持表明、中国の人権問題をアメリカなどが非難
することを阻止する事などで中国に貢献した。
中国はアフリカとの関係と同じ関係をロシアやロシアの衛生国、
またインドネシア、ミャンマーやベトナム、パプアニューギニア、
など東南アジアや南太平洋の島々でも構築しようとしている。
まさに中国的グローバリズムな展開で世界の国々を中国の
影響下に巻き込もうとしているところなのである。
さて、日本はアメリカだけに従ってこれから世界でどのような
立ち位置で生きていこうとしているのか、中国に対する対抗
策はあるのか、日本政府のビジョンはどのようなものなのか、
これからが気になるところだ。
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以下は参考にお読みください。(yahooで検索)
↓
http://world-reader.ne.jp/renasci/now/k-saito-040216.html
http://shiratoris.com/ticad.html
http://web.sfc.keio.ac.jp/~kgw/Lecture/SFC/Comparative_Systems/2005/special_lecture/diplo01.pdf#search='
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