きれいな月夜とロケットの話し。
きれいな月が出た。
その昔、月に人間が行ったとか。
足跡を残して帰ったとか。
いや、あれはスタジオで撮った映像だとか、
そうじゃなくて本物だとか。
真相は闇の中だが、失礼なウワサだ。
本当に月に行ったのなら。
月まで行かなかったとしても、宇宙まで
行ったことだけでもすごい話しだ。
日本がODAを出している貧しいはずの国が、
いつのまにか有人ロケットで、宇宙を飛んで
帰ってくるのだという。
ロシアのモスクワ航空大学の卒業生が、
手伝ったのだと、ロシアは言う。
誰が手伝ったのかは知らないが、日本は
その国に負けている。
宇宙を制するものが、世界を制するというのは、
遠くの湾岸で起こった戦争で、みんな知っている。
日本はロケットを飛ばせない。
ロケットも核もない日本で、
たくさんの日本人がくやしまぎれに、
かの国を悪く言う。
月光は清く澄み渡り、夜の闇は青みを帯びて
底知れぬ深みの度合いを増している。
天空の月は見上げる全ての者を照らす。
宇宙に浮かぶ舟のようなこの星の上で、
いったいいくつの核が眠るのだろう。
人の憎しみや悲しみを抱えて、今日もこの星は
ゆっくりと回転する。きれいな月夜のこの国の上で、
天を見上げて、平和であれと願う。