カザフスタンの朝鮮人
カザフスタンには、1937年に、ロシア政府に強制的に、
カザフスタンに連れていかれた朝鮮人が、大勢住んでいる。
日本軍が、満州国を設立したとき、ロシアは、自国内の
朝鮮人が日本軍に利用されるのを恐れて、列車に乗せた。
有無を言わさぬ方法だった。
たくさんの人が移動中に死んでしまったそうだ。
70歳以上の朝鮮人は、日本語がはなせる。日本の歌も
歌える。彼らは日本という名前の朝鮮で、日本語で教育を
受けた世代なのだ。
彼らは、独裁者に支配されてしまった祖国を憂いている。
個人崇拝を強要する国は、反対勢力を弾圧し、抹殺する
国である。北朝鮮では、金家によって、息子の代だけでも
2万5千人もの人間が、抹殺された。
北朝鮮が民主的な国家になるように、神さまに祈って
いますと、老人は天を仰いで静かに語った。
彼は貧しく、年老いて体力も無い。経済的にも体力的にも、
祖国の政治形態からも、彼が北朝鮮に里帰りすることは
ないだろう。
だが、彼のこころには北朝鮮のために涙を流すほどの熱い
想いが宿っていた。彼の願いの強さが、テレビの画面から
伝わった。わたしのこころも、音叉のように共鳴して震えた。
わたしも北朝鮮の民主化のために祈ろうと思った。