有明の干潟の生き物に捧げるレクレイム | 日本のお姉さん

有明の干潟の生き物に捧げるレクレイム

有明の干潟に潮が満ち、たぷたぷと動く波の上に


月のあかりが膨らんで、渡り鳥が並んで浮かんだのさ。


有明の干潟の潮が引き、とろりとした泥の上では


ムツゴロウが飛び跳ね、小さな蟹がさわさわと動いたのさ。


有明の海にはこんぶの畑が、波の流れにゆらゆら


踊り、巻貝や平たい貝がぷつぷつと歌を歌ったのさ。


渡り鳥が憩(いこ)い子孫を育て、また飛び立っていくその


干潟には、たくさんの命が生まれていたんだぜ。




日本の偉い人たちが漁師の願いに聞こえないふりをして


有明の干潟をぶ厚いコンクリートで囲ったのさ。


鉄の扉は拳(こぶし)のように有明の海に打ち下ろされた。


重たいゲートが次々に海に落ちるあの音は、日本の偉い人たちが


幾千幾万もの生き物を殺す音なのさ。暗闇の中で交わされた


日本の偉い人たちの悪巧みと欲望が、有明の水を飲み干した。


渡り鳥が憩(いこ)い子孫を育て、また飛び立っていくその


干潟では、たくさんの命が潮が戻るのを待っていたんだぜ。




有明の干潟に累々とまっ白な屍(しかばね)をさらす貝たちの


墓場をおまえは見たか。日に日に弱りゆくムツゴロウの悲しみを


おまえは感じたか。幾千幾万もの生き物の、声にならない叫びを


おまえは聞いたか。小さな命は小さいから大切ではないのか。


太古の昔から何代も何代もそこにいて、流れを浄化してきた小さな


生き物の営みは、日本の偉い人たちに無用の物とされたんだ。


渡り鳥が憩(いこ)い子孫を育て、また飛び立っていくその


干潟では、たくさんの命が有明を豊かな海に変えていたんだぜ。