車に乗っていて、目の前で誰かが転んだら気を付けろ!
お姉さんの会社に警察が来た。そして、会社の男の子の
名前を呼んで、会議室でその子と話をしだした。
会社の人は彼が何か悪さをしたのかと思って、みんな
静かになっていた。警察が帰っても、誰もあえてその子に
「どうしたんや。」と、聞かない。でも、お姉さんは顔が真っ青に
なっているその子に「何、やったん?」と聞いたの。
そしたら、その子は怒りに震えながら、
「今朝、車で会社に来る途中で、中学生が自転車に乗って
飛び出してきたんですよ。それで、僕の車の前でこけた
(転んだ)んですよ。僕は車を止めて親切に
大丈夫か?って言って、一緒に自転車を起こしたりして
やったんですよ。それやのに、そのガキ、学校で遅刻した
言い訳に、車に当てられたと言いやがって、
学校の先生が警察に連絡したんですよ!!
しかもあろうことか、そのガキ、僕の車のナンバーを正確に
覚えていたんです。疑いは晴れたんですけど、
車に当たらなくても、目の前で人がこけたら、車のせいに
なるらしいですよ。
ちっきしょー。せっかく親切に声かけてやったのに!!
今度から絶対、人がこけて(転んで)も、声をかけて
やらずに、そのままスルーするわ!!」
お姉さんは、怒り狂っているその子に、
「それはひどい話やね。」 と、言うしかなかった。
それから、どういう処理がされたのかは詳しく聞かなかった
のだが人が、車の前で転んだら、車が妨害したから
転んだということになるらしい。
それも交通事故になるらしい。
会社の男の子は、いまは立派な30代の男の人になって、
夢を実現するために転職していって、今はいない。
車が大好きな男の子で、少しずつ車をグレードアップさせたり、
アクセサリーを買って付け加えたりしていた。
いつも車はピカピカに磨かれていた。
「雨の日にスーパーの前を通ると、
おばはんらが、傘をさしたまま狭い隙間を無理に通って、
傘で車を傷つけていく!!」
「自転車で狭い隙間を無理に通って、サドルで車に傷を
付けていく!!しかも、誤りもせず、平気な顔をして、
人の顔を見ながら通っていく!!」と、いつも怒っていた。
コンパーチブルカーの幌をナイフでばっさり切られたり、
車体にコインで長~い傷を付けられたり、いたずらされて、
車にお金を取られ続けている男の子だった。