真珠ひとつ分の思い出
あたしは、あなたのちょっと痛い思い出になるんだ。
あなたは、あたしに似た人を見るたびに、あたしの
ことを思い出すんだ。あたしが好きだって言った物や
あたしが自分の星だって決めた三つ星を見るたびに、
あなたはあたしのことを思い出すんだ。本当は、
あたしは時の流れに乗っかって、あなたからどんどん
離れていっているんだけれど、あなたの中のあたしは
いつまでも可愛いあひるちゃん。あの日のあたしは、
きっとあの日の姿のままで、あなたの中にいる。
時間がゆっくりと、思い出をなぞりながら過ぎていき、
あたしもあなたの中で、ひとつの真珠になるんだわ。