長く生きていると不思議なモノを見る時がある、
子供の時に一度、高校生の時に一度、台風の目に入ったことがある。
暴風雨が急にやんで、無風状態になる。
雲一つ無い青空がやってくる。
外に出て、生暖かい、不思議な空間に立ってみた。
パキスタンのカラチから、日本に帰ってきたとき、飛行機の窓から、下を
見たら、海に太陽が映っていて、太陽の周りに円形の虹ができていた。
信じられなくて、窓から目を離し、もう一度窓から下をのぞいてみたが、
やっぱり、丸い虹はそこにあった。
ある夕方、三日月にイヤリングが付いていた。金星が過去最高に月に
近づいた夕方のことだった。
残業中で、会社の外で取引先の人と喫茶店で打ち合わせ中だった。
それでも、月がイタリングを付けているのを、誰かと一緒に見ることが
できたので、嬉しかった。
アフリカで、ひとりでホテルのベランダに立って月を見ていたら、
月が欠けだした。そうして、欠けていく月を見ていると、歌を歌う子供たちの
行列がホテルの前を通っていった。
子供達は太鼓を叩いて、歌い躍りながらベランダの下を通り過ぎていった。
あれはいったい、なんだったのだろう?アフリカの子供たちの月夜の行進だった。
獅子座の流星群が、地球の側を流れていった時は、真夜中に起きて、空を
見ていた。あんまりたくさんの流れ星が落ちていくので、おもしろくなって、
ずっと上を見ていたら、首が痛くなった。
それで、道路のはしに寝転がって空を見ていたら眠くなって、寝てしまった。
新聞配達のおばちゃんが、そばを通ったので、目が醒め、家に帰ってまた寝た。
二重になった虹が、180度のきれいな弧を描いた夕方、携帯電話のカメラで
写真を撮ったら、会社の向かいの席の男の子も、いつのまにか携帯電話のカメラで
同じ二重の虹を撮っていて、「ほら!」と言って見せに来た。
誰も二重の虹に気が付いていないと思っていたのに、身近な人が知っていて、
写真まで撮っていて、おかしかった。
インドネシアのバリ島から、ロンボック島に船で行く途中、「老人と海」みたいに、
とれたばかりのかじきを鮫にくわれまいと戦っている、ヨットに乗った釣り人を見た。
高校生の時、学校をずる休みして、裏山の池で寝ていると、15センチの所に
イタチがいて、目が合った。
イタチもわたしもびっくりして、しばらくじっと見つめ合っていた。