サマータイムは日本人向きではない | 日本のお姉さん

サマータイムは日本人向きではない

夏にヨーロッパに電話するときは、時差を一時間多く

足して、電話する時間を決める。


ヨーロッパや北米など中高緯度の国では、夏の日照時間が

変わる。早く明るくなるのだ。

サマータイムとは、夏に時計を早めて、生活の時間帯を

変えて、省エネを計ったり、会社を早く終えて、余暇や

レジャーを楽しむためのものだ。


アメリカで、1784年にベンジャミン・フランクリンが、

ロウソクの節約のために提唱したのが始まりなのだそうだ。

ヨーロッパでは、イギリスで第一次世界大戦時に燃料資源の

節約のために導入された。

実は日本でも、1948年、戦後の燃料不足に対する対策と

して、GHQの指示でサマータイムが導入されたことがある。

ただし、1952年に国民が不満を訴えて廃止されている。


日本人が真面目過ぎて、時間を一時間早めても、早く帰宅

が出来ず、結局残業が増えて、睡眠時間が一時間減った

だけだったから、意味がなかったのだ。日本人には、辛い

事だけだったのだ。


同じ理由で、サマータイムは今でも日本人向きではない。

会社が早く始まっても、早く終業できるとは限らない。

ヘタすれば、サービス残業が増えて、睡眠が削られ、

ただでさえギリギリの状態で働いている人が、体調を

悪くして、過労死する人が増えるだけだ。

睡眠不足でイライラして、ケンカも増えるだろうし、離婚も

増えるかもしれない。鬱病患者も増えるかもしれない。


欧米でも、サマータイムに切り替わる時は、多くの人が

体調を崩すそうだ。元気な人は直ぐ変化に慣れるが、

体が弱い人には、しばらく辛いのだそうだ。


酪農や農家を営む人はどうだろう?彼らは元々早起きだ。

サマータイムが導入されると、もっと早く起きなければ

ならない。急に生活の時間が変わると、家畜の体調も

悪くなるはずだ。


赤道付近の東南アジアでは、一年中日照時間の変化は

あまり無いので、サマータイムは意味が無い。


アイスランドは、夏は緯度が高いせいで、白夜となるので、

サマータイムは導入していない。


韓国は一時ソウルオリンピックの前に導入されたが、周りの

国が導入していないので、なにかと都合が悪くて廃止された。


中国は80年代後半に導入されたが、省エネ効果が無く、

廃止された。中国では、西へいくほど、北京との生活の

ズレが生じてくるので、独自に一部の都市では調整して

いるらしい。


日本にサマータイムを導入することで、どれだけの省エネ

効果があるのか、具体的な数値は出されていない。

サマータイムに切り替えるときの、IT関係の調整時の費用

など、1000億円のコストがかかるといわれている。

社会経済生産性本部が、今年3月に発表した数字では、

原油93万キロリットル分の省エネ効果と、二酸化炭素

40万トンの削減が見込まれるということだが、実質は

どれぐらいか、誰も分からない。


早く始業すれば、早く終業できるという保証は無い。

政府の指導で、サマータイム導入時は、早めに社員を

家に帰せという法律を作ったとしても、たとえ罰則付きの

法律でも、残業させられる人は出てくる。


みんなが家でテレビやエアコンを使えば、その分増エネに

なるし、レジャーに出て帰りが遅くなり、みんなが夜更かし

すれば、やっぱり増エネだ。


北海道では、緯度が高いせいで、夏は3時から明るくなる。

一部の官庁や企業220社、合計6000人余りで去年から

7月の一ヶ月間、試しにサマータイムを導入しているそうだ。

来年は3年目になるが、その時に導入を検討してみるらしい。

北海道だけ導入するのはいいかもしれない。


官庁や大会社なら、残業させずに、社員を全員帰らせる事が

出来るのかもしれない。

個人的には、サマータイムの導入で、中小企業の社員を

苦しめるより、歩きタバコ禁止の法律など、もっと価値のある

法律を作って欲しい。


通勤途中で、前から来る人、後ろから来る人がタバコを

吸っていると逃げ切れない。いきなり他人の肺から出た

煙を吸い込んでしまう。

喘息持ちには、これが辛い。臭いし、咳き込むし、肺に良くない。

これが嫌で車で通勤をしている。

最近、駅の構内でタバコを吸う人は減ったが、乗り換えの通路や

階段で歩きタバコをする人はいる。


サマータイムを導入するより、中小企業に、週休二日制を

徹底させるとか、残業をさせないように指導する方が

省エネになるのではないか?


わたしは残業をしないで、昼間の内に仕事を終わらせるように

頑張っているが、たまに仕方なく残業になる時がある。

おじさまがたの中には、しゃべってばかりで、働いているよう

でもない人もいる。こちらが必死に今日中の仕事をかたづけ

ている時にそんな姿をみると、バイト気分で残業している

のかなと、考えてしまう。


上司が残業するので、部下たちが気を使って、先に帰ることも

出来ず仕方なく残業するという日本的な理由もある。

終業時になっても、普通の律儀な人は、さっと帰れないと

いうことだってある。

ちなみにわたしは、年下の者が残業していても、帰ります。

女性なので、同期の男性のように昇給もなく、タイトルの

無い平社員で、給料も最近入社した女性の社員と、大差は

ないのだから、それぐらいは許されるだろう。


本当に仕事が忙しくて、残業ばかりさせられ、結局その分の

給料はもらえずサービス残業になっている人もたくさんいる。

友人のご主人は、リストラで社員が減った分、仕事が増えて

定時に会社を帰ったことが無い。

過労で心臓も肺も腎臓もボロボロだ。

それでも病院に通いながら、会社勤めを続けている。もし、

サマータイムが導入されたら、彼のような人は倒れてしまう

だろう。