2005年、大陸で散った日本人 | 日本のお姉さん

2005年、大陸で散った日本人

2005年の前半が過ぎた。この半年で、中国で亡くなった日本人は、今日までで51人。

交通事故で亡くなった方々は6人。45人は、宴会中に急に倒れて亡くなった。

全て、短期出張で、中国に2ヶ月ぐらい滞在された方々だ。


出張で中国に入った人は、歓迎の意から、また、短い出張の時間を

最大限に生かして仕事を片づけてもらうために、詰め込みでいろんな場所に連れて行かれる。


中国は広い。日本で言えば、東京←→大阪間ほどの距離を、車で走ることになる。

もの凄いスピードで、追い越し追い抜かれ、

7時間ぐらいジェットコースター並みの恐怖を味わった後、

工場や施設見学。要人との面会や通訳を介しての会談等で、気疲れと体の疲れでくたくたになる。

それが終われば、こんどは果てしなく続く宴会が待っている。

食べ慣れない油っこい料理を、これでもかと目の前に積まれる。


ホスト役の中国のお偉い方が、自らのハシで取り分けてくれた料理は、全部食べなければ悪い。

やっと食べ終わったかと思えば、これまた食べたくなかった料理を、小皿に積まれる。油が胸につかえるが、無理に、料理を口に運ぶ。

食時中には大量の酒を飲む。

老酒やマオタイ酒を一気飲みするよう、強く勧められる。勧められたら一気飲みするのが礼儀だ。

それが、一日三回繰り返され、夜は夜で、バーに誘われて、また酒を飲まされる。


次の日もまた、その繰り返し。次の日も。また、次の日も、、、、。一日中、車に乗せられて高速道路を走っているか、食べているか、酒を飲まされているか、その内のどれかだ。まるで、北京ダックのように、無理矢理たべさせられる毎日だ。


そして、ある日、宴会の最中に気分が悪くなって席を外し、そのまま心臓発作か、脳梗塞で亡くなる。

ほとんどの人が同じ理由で亡くなっている。

疲労とアルコールだ。


中国で、生き延びるためには、もしスケジュールをぎゅうぎゅうに詰め込んでこられたら、

途中に2日程度の休息が欲しいと頼む事。


すでに、出先に連絡済みで、変更するとこちらの面子が立ちませんと、モロに困ったような変な笑い方をされても、何が何でも休息を取ろう。


そして、自らのハシで、どんどん小皿に料理を入れられそうになったら、手で柔らかく制して、

断ろう。日本人の胃には、中国の皆さんの普通に食べる量は、キツイ。

使用している油も、胃にもたれる。酒もアルコール度がキツイ。

勧められる物全てをいただいていては、体がもたない。もたないどころか、疲労とアルコールで血がどろどろになって、本当に死んでしまうのだ。冗談では済まない。


友人もたまに、出張で中国に行くが、毎回げっそりした顔で帰ってくる。

中国のホストは、親切にもてなしてくれているのだが、相手は一度きりの宴会である。毎回違う場所で、違う人と、宴会に付き合うことになる日本人は、ほんの一週間でも疲労困憊してしまう。


また、喉が渇いて水を飲むと、日本人のいい水に慣れきった体は、たちまちやられる。

飲むならいちど沸かした開水(カイショエ)か、お茶か、ミネラルウォーターだ。といっても、知らない内に、

慣れない水を飲んでしまっているかもしれない。飲んだら下痢だ。

水割りの中の氷は、良くない水かもしれない。サラダに付いた水は、良くない水かもしれない。

プールで泳いで飲みこんだ水は、多分おもいきり良くない水だ。

友人は、日本からペットボトルを用意して、その水を飲んで切り抜けている。飛行機に乗る時は、ペットボトルは手荷物にしないで、預ける荷物に入れる。

中国は乾燥しているので、すぐ喉を痛めて風邪をひいてしまう。うがい薬やのど飴、マスク、風邪薬はカバンに入れて持ち歩こう。飛行機に乗る時は、うがい薬やかぜ薬、整腸剤等は預ける荷物の方に入れよう。

アルコールが入っていない赤ちゃんのお尻ふき用ウエットティシュを持ち歩き、汚れたハシや小皿が出てきた場合は、こっそり拭き取ろう。手が洗えない場合には、指をふける。下痢でおしりが汚れても、それで拭ける。トイレットペーパーの芯を抜いて、かさを少なくさせたものを、カバンに入れておこう。突然下痢になって、駆け込んだトイレのペーパーが無くなっても、自分のペーパーがあると安心だ。

梅干しを用意し、毎日食べよう。お酒を勧められても、体が調子悪いと正直に言って断ろう。

日本から、レトルトパック入りのゼリーなどを持ち込み、寝る前に飲んで体調を整えよう。

日本のコンビニに立ち寄ってもらい、常に飲み物を確保しよう。

水分を摂らずに、アルコールを摂るのは、命取りだ。


これ以上、中国で日本人が亡くなる事態は、断固阻止しよう。

過剰な接待は断ろう。善意の接待であっても、単に、政府や会社のお金で

おいしい思いをしようと考えた盛大過ぎる接待であったとしても、(そんなことは決して無いと思うが!)皆様には大いに楽しんでいただき、日本人が自分の限度を超えて、飲食しなければ突然死は免れるはずだ。

中国人の方々に悪いと思い、せいいっぱい頑張って、

出された物全てを受け入れられた45人は、お亡くなりになられた。


日中友好のために、努力された皆様の日本人らしい行いに敬意を表して、こうべを垂れ、

残された日本のご家族の方々が強く生き抜いていかれますよう、祈りたい。