その人の掌のなかだから
あれは
あんなに輝いているのです
その掌から
転げ去ってしまえば
乾ききって
色をなくして
干からび上がって
意味をなくす
人は皆
その人の掌の中のものばかり欲しがって
自分の掌を見ようとはしないのです
小さくても
微笑ましく
そっと輝き始めてるのに
皆
よそ見して
見失ってしまうのです
人は
その人が注いだものを
大切に見守ったものを
たくさんの理屈の果てに
奪おうとするけれど
理屈を言えば言うほど
持ち主じゃないと言ってるようなもので
その人の中でしか
輝かないのです
