下田主任突然の退職の衝撃もまだ冷めやらぬ2013年夏のある日・・・幸福苑の太田主任から、こんな打診が。

 

「パパさん、9月の敬老会なんだけど、司会をお願いできるかしら?」

 

いつも職場の飲み会を仕切ったりしているのを見ての抜擢だったようですが、こう見えて学生時代はアナウンサーになりたくて放送部に入ってマイク握ったりしていたので、人前でしゃべるのもそんなに苦手じゃないからと軽い気持ちで引き受けたんですが、どうやら司会だけじゃなくて演出も受け持つ感じで祭り上げられてしまい、直前の1ヶ月くらいは本業の現場の仕事との兼ね合いで慌ただしい毎日でした。

 

演目として決まっていたのは、太田主任の『南京玉すだれ』と、代々木ケアマネのマジックショー、ワタシと同じ訪問ヘルパーで日本舞踊を嗜む千賀さんの踊り(2曲2ステージ)だけで、あとはゲームなどでつないで約30分くらいのイベントにしたいとのこと。自ら歌ってもいいとのことでしたので、梅沢富美男の『夢芝居』と堀内孝雄の『恋歌綴り』のカラオケをパソコンに仕込んで(当時、幸福苑にはカラオケ機器がありませんでした💦)、あとは職員とクリアな利用者様数名で楽しめそうな『ドリフの早口言葉』といったラインアップで、なんとかやりくりできそうな目途は立ちました。機材の方もパソコン以外にスピーカーやマイク、ミキサー(といっても小さいやつです)など私物で揃え、介護職に就いて以降着ていなかったスーツもクリーニングして、いよいよ本番当日を迎えたのでした。

 

衣装や髪型までバッチリ整えた千賀さんの優雅な舞から始まったイベントは、太田主任と代々木ケアマネの鉄板の出し物や早口言葉で大いに盛り上がり、いよいよワタシの番に。

「パパさん、歌ってくれるんだろ?何を歌うんだい?」

事前に誰かからイベントの出し物を聞いていたらしい、猫好きのご意見番シモさんが最前列から催促します。

 

 

『恋歌綴り』は亡くなった父が十八番としていた曲で、父への思いを込めてなんてエピソードを交えて歌い上げたのですが、思いのほか利用者様の心を揺さぶったみたいで目頭を押さえる方もいたり・・・お約束のアンコールに応える形でさらに1曲『夢芝居』を歌唱。即興で千賀さんがワタシの横で舞ってくれたりして、それはそれは大盛り上がり。最後は”幸福苑のテーマ”的に、毎食前に食堂で歌っている『いい湯だな』を全員で合唱して、2013年の幸福苑敬老会は大盛況で終わることができたのでした。

 

利用者様のみならず、太田主任ら職員のみなさんもたいそう楽しまれたようで、

「パパさん、よかったよ~!これからイベントは全部任せるからよろしくねっ!」

「とりあえず次はクリスマス会よ。ネタ考えといてね!」

なんて言われてその気になって・・・いたのですが・・・

 

ワタシが幸福苑で企画・演出するイベントは、この敬老会が最初で最後に・・・

 

後で聞いた話で、ワタシをよく思わないある人物が妨害、排除していたとかいう話もあって・・・

 

その辺は、また追ってお話させていただきます・・・