2年前のアメンバー記事
桜話です…

町から母が私を連れて家出したあと
しばらくして
また町に舞い戻る日帰りの一日があった
通っていた幼稚園の先生に会った
先生はやむを得ない事情を母から聞き
「○○ちゃんかわいそう」と泣き出してしまった…
私は自分が人から見てずいぶん
かわいそうな境遇のこだともうとっくに
気づいていたけど…
泣いて顔を手でおおう先生の切ない
気持ちを和らげようとわざとおどけて
「え~?○○ちゃんかわいそうなの!?
」と言ってみたりした。
先生は拍子抜けして泣き笑いに変わっていた。
幼いながらに、泣きたいのは自分もだけど
いくら泣き虫でも
泣かないよう自分を抑えなくてはならない
本当は
私のためにもっと先生に泣いてほしかった
くせに
せまい町…歩いていると
母が家出するまでに追い込んだ祖母が
偶然向こうからやってきた
母親似の私にはつらくあたる祖母だったので
恐怖すら感じたけど
「ばば…」(みんな言う祖母の呼び名でした)
と言ったあと
「連れてくなよ!」と返してきた
姉と弟を連れていくなと母に
くぎをさして去っていく
「連れていかないよね」…
本当は連れて行きたいと
母は思っていたけど出来るわけがない
その後いくらもたたないうちに
姉が学校から帰る途中に
出会し母と私は喜んだ
私は「一緒に行こう!」
と手をとったけれど無理な話なのも
わかっていた…
だめだよね…
祖母に会ったばかりなのもあって
すぐ意気消沈してしまったけど
またすぐ会いに来るから!
と思いを伝えてわかれた…
父に会いたくて「父さんは?」
と言う私だったけれど
なんだか母は無理そうで
どうすることも出来なかった
たぶん5歳の春…
行くあてなく母と歩いて…
町のお寺さんには桜の木があり
桜の花びらが散る頃で
地面はふかふかのピンクの花びら
母と私と桜の花びら
私は手のひらで桜の花びらをすくい上げ
舞い散らして楽しんだ
優しくない母が
優しく微笑んでいた
なんだかとても幸せな時だった
つらい思いを桜の花びらが忘れさせてくれた
今もあの桜はあるだろうか…
大人になってから母に
「桜の花びらで遊んだとき
覚えてる?」と聞いた…
「覚えてるよ」
きっと母もあの時同じ思いだった
桜の花は人を幸せにする…