長い間展開したドラクエ25周年企画も残すは「IX」のみ。今回は文字通り2009年7月11日に発売した「IX」
について語りたいと思います。「VIII」
までは良くも悪くも据え置き機でのドラクエだったが、「IX」ではなんとDS
という携帯ゲーム機でリリースされたんです。確かにドラクエ=据え置き機というイメージがあっただけに発表された当初はなんで携帯ゲーム機なのと思ったぐらいでした。
この頃の主流は据え置き機からDSやPSPといった携帯ゲーム機でその中でDSが脳トレブームや「おいでよ どうぶつの森」
や「ポケットモンスター ダイヤモンド・パール」
といった人気作品を次々とリリースしたことも相まってDSが一歩リードしていたんですね。そんな中、2006年12月の制作発表会において、「IX」がDSで発売することが決定されたんです。ちなみに、決定当初はというとオンラインアクションRPGで「VIII」
までとは毛色の違ったものでした。そんなこともあり、「FFXI」
のような位置づけになってしまうじゃないかなと危惧されたぐらいです。でも、実際に発売してみるとそんなことは裏腹に順調に売り上げを伸ばし、最終的にはこれまで最高だった「VII」
を超える432万本の売り上げを記録することに。なぜでしょうか
実は「IX」そのものはオンラインアクションRPGではなく、MORPGライクのRPGだったんです。というのも、Wi-Fiコネクションを使ったオンライン機能はあるものの、追加クエストや宝の地図の配信にとどめており、マルチプレイ要素は取り入れているものの、スタンドアロンでもクリアすることができるなどオンラインを使うのは必須ではないんです。また、戦闘もコマンド選択式のターン制で「I」から変わっていませんし、変わっているところといえばモンスターがフィールド上に登場している(いわゆるシンボルエンカウント方式)や必殺技が使えるぐらいでこの辺はアクションだった頃の名残ではないかなと思います。つまり、当初はドラクエとは毛色の異なる存在だったのが最終的にはドラクエらしさが残っていたということに。これが安心感にもつながっていたのかなと思いますね。
そんな中、「IX」を特徴づけたのは宝の地図ではないかなと思います。宝の地図そのものはゲーム中盤から挑戦することができ、地図で生成されたダンジョンを冒険し、その最深部にいるボスを倒すことで次の地図がもらえるというもの。地図そのものはすれ違い通信でゲットできるうえに中にはメタル系のモンスターだけが出てくるフロアが含まれている地図もあったりと本編はそっちのけでハマってしまった人も。そんな中、まさゆきの地図(正式名称は見えざる魔神の地図Lv87)と呼ばれる好条件の地図がネット上で広がって社会現象になったとか。その後、まさゆきの地図よりも浅い階層でメタルキング
のみが出現するフロアの地図が発見されたこともあり、廃れてしまったものの、多くのプレイヤーのレベル上げの作業に貢献したのは確かだといえます。
でも、よく考えてみると宝の地図そのものは「VII」の当初の構想にあった書き換えるドラクエそのものではないでしょうか確かに「VII」では大容量の書き換え領域を使ったフリーシナリオを考えていたが、PSになったことで断念せざるを得なかったという前歴がありました。でも、「IX」の宝の地図は形や媒体こそ違えど、フリーシナリオそのものではないかなと思ったんです。ということは構想から約14年という長い歳月を経て実現することになるんですね。ただ、宝の地図はというと本編に関係ない上に取らなくても支障がないということで「VII」の石板システムとは別物だけど…。
そんなわけで、宝の地図という思いかけないもので日の目を見ることになったドラクエのフリーシナリオ化だけど、「IX」では初めてアバターのようなキャラクターメイキングを導入したりと主人公=プレイヤーを強調させることに。なお、「IX」では転職システムが復活したが、「VII」までと違って呪文や特技は一部を除いてその職業固有のものとなっており、職業ごとに割り振ることができるスキルが決まっているとか。ただ、前作ではスキルのタネがないとすべてのスキルとマスターすることは不可能だったが、今作では転職してもスキルポイントを持ち越したり、新たに転生できることからすべてのスキルをマスターすることは比較的簡単になったんです。
ということで、「I」から続いたドラクエの歴史も今回で一段落ということで次回はいよいよこれからのドラクエについて語ってみたいと思います。