前回は「VII」DQ7主人公について述べてきましたが、今回は「VIII」DQ8主人公。ちなみに、「ドラクエVII」DQ7主人公はというと当初はN64の64DD向けに開発するはずだったが、N64が普及しなかったことや「FFVII」FF7クラウドや「バイオハザード」(カプコン)の大ヒットも相まってか次世代機戦争の最終的な勝者であるPS向けに変更しました。ただ、PSはというと3Dが得意だが、書き換え領域がメモリカード1枚につき128kBしかなかったことからマップコレクションシステムを泣く泣く一本道にしたんですね。それでも、ドラクエというブランドもあり、最終的にはこれまで最高だった「III」DQⅢ勇者♂を超える売り上げを達成しました。


という具合に、2000年代初頭にも次世代機は登場したが、セガサターンを出したセガはドリームキャストを最後にハードの製造から撤退し、サードパーティになったり、マイクロソフトがXboxXboxでゲーム業界に参入したりと前世代に比べて顔ぶれが一変しましたが、結局はPSPlayStastionの後継機であるPS2がハードの主流であることは変わりませんでした。

そんな中、ドラクエもPSが得意とする3Dを駆使したドラクエを開発することになったんです。というのも、堀井さんが言うにはドラクエの3D化の構想はスーパーファミコンから練られたものだが、スーパーファミコンの性能では貧弱で3D化は不可能だったということもあり、PS2PS2でようやく念願がかなったというわけ。ただご承知の通り、PSも3Dが得意であることは確かなので64DDのアイデアを放棄してまで3Dにこだわった「ドラクエVII」DQ7主人公でもよかったのにと思うとちょっと複雑な気持ちだけど、ドラクエらしいデザインを残しながら3D化するのが1990年後半では難しかったというのが事実だとか。確かにPSの普及したころの3DCGはというと「鉄拳」(バンダイナムコ)や「FFVII」FF7クラウドといった3Dポリゴンを駆使したようなリアルなグラフィックがほとんどでこれをドラクエに適応しようとしたら違和感があるうえにドラクエのイメージは丸つぶれに…。しかし、「VIII」DQ8主人公ではドラクエらしさを壊さないで3D化を実現しました。なぜでしょうか


その秘密はというとトゥーンレンダリングという技術にあったんです。トゥーンレンダリングというのは2次元のCGや漫画やイラスト風の作画(いわゆるアニメ絵)でレンダリングさせる技術で3DCGの技術を使いながらも従来のアニメの印象に近い表現を実現することができるとか。この技術を使えば、従来の3DCGで硬質になりがちなキャラクターなどをより万人に親しみやすくすることができるため、従来の3DCGでは違和感のあるデフォルメの効いたキャラクターを作るに適しており、従来のアニメーションと3DCGを合成する際に違和感が少なくなるというメリットがあるんです。
ちなみに、「VIII」DQ8主人公ではトゥーンレンダリングという技術でドラクエの3D化を実現したが、それに伴い「VII」DQ7主人公までの俯瞰視点から後方視点変わっただけでなく、戦闘シーンも一人称視点を放棄せざるを得ませんでした。ただ、主人公=あなたというドラクエの基本的な概念は変わっておらず、分かりやすさやテンポも踏襲させたりと3Dゲームであってもドラクエらしさは健在でした。


また、「VII」までの転職システムを放棄して新たにスキルシステムを導入することになったが、これには前作までの反省が…。というのも、転職システムでは始めは個性的なキャラクターであってもある程度職業をマスターして特技や呪文を覚えると個性のないキャラクターに没しして舞うというリスクも。そんなこともあってか「VIII」ではヤンガスといった戦士タイプやゼシカといった魔法使いタイプといったように明確な役割をキャラクターに割り振ったものに戻したというわけ。ただ、それでは「V」までの自由度のないものに没するのは明らかなのでスキルシステムというものを導入することでプレイヤーの幅を持たせたんですね。確かに前述のヤンガスの場合は戦士タイプで呪文を覚えることができないが、特殊スキルであるにんじょうに割り振ることで「ホイミ」などの全体攻撃も使えるというわけ。ただ、レベル99まで上げても割り振れるスキルは合計で350ポイントなのでスキルのたねでも使わない限りすべてのスキルをマスターすることは不可能なんです。
それとは別にテンションという概念も新たに導入したとか。テンションが上がると攻撃の威力などが上がるが、貯めている間は攻撃することができないし、途中で状態異常になったりある攻撃を受けてしまうとテンションが元に戻ってしまうことも。これによってテンションを貯めてから一気にたたみかけるという新たなプレイスタイルを作り出しただけでなく、テンションを上げないとダメージを与えづらいモンスターも出たんですね。ちなみに、このシステムはというとキャラクターデザインを担当している鳥山明さんが描いた「ドラゴンボール」孫悟空の超サイヤ人の影響を受けて作ったとか。

それだけでなく、錬金釜やモンスターチームといった新しい要素を取り入れただけでなく、モンスターチームにいたっては後のモンスターバトルロードシリーズでスピンオフされたりとその影響は大きいといえます。

ということで、次回は「IX」DQへと移りたいと思います。