

右がファミコン版、左がスーパーファミコン版の「II」だけど、スーパーファミコン版のほうがきれいだったりします。というのも、ファミコンの場合は52色(諸説あり)のうちからスプライト1つにつき4色(内1色は透明)しか使えなかったのがスーパーファミコンだと32768色の中からスプライト1つにつき16色つかえるようになったんです。そのため、ファミコンに比べると大幅にグラフィックが強化されたというわけ。実はそれだけでなく、音楽が強化されたり、背景の多重スクロールや拡大・縮小、回転といったファミコンにはなかったようなことができるようになりました。1991年に発売した「FFIV」
ではスーパーファミコン独自の機能を駆使することで飛空艇で大空に飛んでいるような効果を出しているとか。
そんなこともあって「ドラクエ」もプラットフォームをファミコンからスーパーファミコンに移るわけだが、スーパーファミコンで初めてのドラクエでもある「ドラクエV」の開発はというと難航したこともあり、当初は1992年5月31日だったのが、最終的には9月27日に延期して発売しました。発売延期そのものは「II」
からの恒例だけど、一度発売日が決定して延期するのは本作を除けば「IX」
ぐらいと極めて珍しいことであるのは確かです。
前作である「IV」では仲間にスポットをあてましたが、今作はというと時間軸にスポットをあてると同時に主人公
=勇者という概念を捨てました。余談ではあるが、DS版の「V」のキャッチコピーはというと人生を体験するゲームだとか。それどころかスタート時はごく普通の男の子でストーリが進むにすれて成長し、しまいには双子の子どもが誕生し父親になってしまうんだからまるで大河ドラマを見ているかのような感じはしますけど…。
ということで、「V」のストーリも前作に劣らないぐらい壮大なものだけど、今作を特徴づけたのはなんとモンスターと仲間に出来ちゃうという点ではないかなと思います。前作ではホイミン
というホイミスライムが仲間になったことがあるが、本格的に取り入れたのは「V」だったんですね。ただ、女神転生
シリーズの交渉といった面倒なものではなく、戦闘に勝てば一定確率で起き上がり仲間にするかどうかプレイヤーの判断で決めるといったもの。ちなみに、仲間にしたモンスターはというと成長すると強力な特技が使えたり、武器や防具も装備したりとキャラクターとして扱うことができます。ちなみに、モンスターを仲間にするという発想は「V」が初めてではなく、前述の女神転生シリーズやこの当時開発中だった「ポケットモンスター」
にもあったとか。結果的にはポケモンが発売したのは「V」はおろか「VI」
が発売した後だったが、「V」
をインスパイアしたかというとそうでもないというわけ。
壮大なストーリだけでなく、AI戦闘や馬車システムといった前作のシステムを引き継ぎながらモンスターを仲間にできたりとあたらな挑戦をした「V」だが、スーパーファミコンの機能を駆使したものかといえばそうではなく、ある意味ファミコンの焼き増しといった感じは否めませんでした。しかも、ライバルである「FF」はというとスーパーファミコンの機能を駆使するだけでなく、ATBや「FFV」ではアビリティを装備するというジョブに付加価値を付けるという発想で「ドラクエ」と肉薄することに…。ちなみに、「ドラクエV」の最終的な売り上げは約280万本だったが、同時期に発売した「FFV」にいたっては約245万本とその差は約35万本と迫っているとか。次回はこういった状況を踏まえて天空シリーズの完結編である「VI」
について触れてみたいと思います。