今日、「ドラクエ」勇者ロトが発売してからちょうど25周年を迎えました。「ドラクエ」では勇者ロトの血を引くものが悪の化身である竜王りゅうおうを倒すというストーリだったが、主人公勇者ロトのご先祖様である勇者ロトというのは何者でしょうかその答えはこれから話す「ドラクエIII」に隠されているんです。

「ドラクエII」ローレシアの発売から約1年後の1988年2月10日。「ドラクエIII」DQⅢ勇者♂が発売されましたが、前作で社会現象となった作品は今作でますますエスカレートしていき、平日にも関わらず発売日当日で東京・池袋の量販店では数キロの長蛇の列ができたり、一部の小売店では人気のないソフト(いわゆるクソゲー)と抱き合わせて販売するという悪徳商法が問題となってしまいました。人気シリーズであるかのゆえに徹夜や学校を無断で休んでまで買いに来る人も続出し、補導されたり、中には品切れで買えなかった人がソフトを盗み出したりするという犯罪も起きてしまうという始末。そんなこともあり、「ドラクエIV」ソロからは発売日を学校が休みとなる日を選ぶようになったんですね。

内容はというと「ドラクエ1」から続いていたロト3部作の完結編と位置付けられているだけにあって、堀井さんが当初から想定されていたフリーパーティや転職システムといったものを実装しました。「ウィザードリィ」では1作目である狂王の試練場からフリーパーティシステムを採用しているし、この時期に発売した「FF1」クリスタルでも途中で変わることがないもののパーティに組みたい職業を選べるようになっているわけだけど、1作目が終始1人旅というシンプルなものであった「ドラクエ」の場合は作品を重ねるたびに補完していき、「III」で「ウィザードリィ」のシステムと肩を並ぶことになったというわけ。ただ、「ウィザードリィ」と違ってキャラクターメイキングに関しては種族やポイントを割り振っていくというような複雑なものを排した代わりに、転職や「○○のたね」というドーピングアイテムでキャラクターメイキングの楽しさを担保しているんですね。その自由さのゆえに勇者一人旅や勇者+遊び人×3といった極端なパーティも組めますけど…。

パーティを組んでバラモスを倒すべくアリアハンから旅に出るわけだけど、その舞台が現実の世界地図にそっくり。たとえば、イシスではエジプトピラミッドのようなイメージがあったし、ポルトガだってポルトガルをモデルになっていたり、ジパングに至ってはなんと日本だったりします。なお、今作は「II」ローレシアのような船だけでなく、終盤に行くとラーミアで空を飛ぶことも。ただし、ラーミアをゲットするには6つのオーブを集めなくはならなかったりと大変だけど…。
こうして世界をめぐった末にバラモスを倒せばエンディングかというとそうではなく、大魔王ゾーマの存在を告げられ、ギアガの大穴に飛び込むと前作や前々作で冒険したことがある世界が…。その世界こそが「I」の舞台であったアレフガルドで現実の世界地図に似た世界は上の世界にすぎなかったとか。ということはIIIの勇者DQⅢ勇者♂こそがI勇者ロトやIIサマルトリアの主人公たちのご先祖である勇者ロトということに。つまり、「I」で伝えられている闇の魔王が大魔王ゾーマそのものだったというわけ。

ということで、ドラクエIIIというのはロト3部作の完結編にしてロト伝説の始まりということになるわけだがこの構想自体は制作の初期段階でイメージしていたとか。堀井さんは最初から「ウィザードリィ」のようなフリーパーティを目指していたが、いきなりフリーパーティだと初心者に分かりづらいことが分かったいたのであえて「ドラクエI」勇者ロトでシステム上の壁を作り、「II」ムーンブルグ、「III」と障壁を取り払っていたというわけ。そこで考えられたのが勇者ロトDQⅢ勇者♂という1つの共通した伝説ではないかなと思います。つまり、ロト3部作は必然的な流れであると同時に「I」でRPGの骨格を作り、「II・III」で成長させたことに。ちなみに、「III」でも壁を作っており、最初はアリアハンという小さな大陸しか冒険できないが、旅の扉で北西の大きな大陸の左半分を冒険できるようになるなどストーリが進むにつれて冒険できる範囲が広がっていき、最後はアレフガルドを冒険できるようになるわけ。その役割を果たしているのがオーブであったり、最初に倒すべき相手であるバラモスだったりするんです。

次回はロト3部作のその後を話したいと思います。ちなみに、一部触れていたFFチョコボなども本格的に話すつもりでいます。