日本のRPGを世に知らしめさせた「ドラゴンクエスト」スライム2の発売から間もなく25周年。RPGをメジャージャンルに育てたのがドラクエならファミコン初のRPGは何でしょうか

そのタイトルはというとクソゲーとして有名な「頭脳戦艦ガル」(デービーソフト)だったりします。いや待てよ。このゲームってれっきとしたシューティングゲームじゃないの。この当時はRPGという定義が今に比べてあいまい事情もあるけど…。まあ、どう見てもシューティングゲームであるこのゲームがファミコン初のRPGなのかはこのゲームが「スクロールRPG」と名乗ってしまったからにほかなりません。そのおかげで、「ドラクエ」がファミコン初のRPGに名乗ることができなかったのは確かです。そもそもRPGって一体何でしょうか


RPGというのはロールプレイングゲームの略で参加者が各自に割り当てられたキャラクターを操作し、お互いに協力し合い、架空の条件下で与えられる試練(冒険、難題、探索、戦闘など)を乗り越えて目的の達成を目指すゲームで元々は戦争シミュレーションゲームから派生したものだとか。ちなみに、世界初のRPGはというと「ダンジョン&ドラゴンズ」(以下、D&D)というテーブルトークRPGで戦争シミュレーションゲームのデザインを手がけていたゲイリー・ガイギャックスとデイヴ・アーンソンの2人が中心となってこのゲームを開発したとか。RPGでは一般的である経験値も「D&D」が考案したもので米軍の昇進システムをヒントを得たといわれています。

1974年に「D&D」が出版されると瞬く間に大ヒットとなり、中には「D&D」をコンピュータ上に再現しようと試みる人も現れました。彼らはロバート・ウッドヘッドとアンドリュー・グリーンバーグで「D&D」をコンピュータ上に移植するというコンセプトである作品を開発しました。その作品こそが、1981年にAppleIIで発売した「ウィザードリィ」だったりします。


このゲームは戦士、魔法使いといった異なる能力を持った最大6人のパーティを組んでダンジョンを探索していくといった感じで移動シーンを切り離し、コマンド入力によってキャラクターの行動を指示し、敵のHPを0にすることで勝利となる戦闘シーンと戦闘を繰り返すことで経験値がためてレベルアップし、徐々に行動範囲が広がっていくというRPGの基礎を確立した作品でもあるんです。ちなみに、ドラクエシリーズキングスライムの生み親である堀井雄二さんはこのゲームの影響を受けて作ったと明言しているとか。

その一方で、別のアプローチから「D&D」を再現しようと試みた者が…。彼は「ウルティマ」の生みの親でロード・ブリティッシュごとリチャード・ギャリオットだったりします。彼は「Akalabeth」という自作RPGを元に「ウルティマ」を開発しました。「ウルティマ」はというとオープンフィールドが特徴で前述の「ウィザードリィ」とともにコンピュータRPGの元祖ともいわれています。ただ、こちらは食糧の概念があったり、挙句の果てに宇宙に飛び出したりと前述の「ウィザードリィ」に比べると異色のような感じもしますけど…。


ということで、「ウィザードリィ」や「ウルティマ」の流れを組むのをRPGと定義した場合、ファミコン初のRPGはというと1986年3月16日に発売された「ハイドライド・スペシャル」(東芝EMI)ではないかなと思います。

アクション性はあるものの、「ウィザードリィ」と同様に敵を倒して経験値をためていき、パワーアップさせるという点でRPGの要素は成り立っているといえますね。ただ、その前に発売した「ゼルダの伝説」リンク(任天堂)をファミコン初のRPGに挙げる人もいると思いますが、「ハイドライド・スペシャル」と似ているものの、経験値をためてレベルアップしないうえにメーカー側もアクションアドベンチャーと称していることからRPGではないことは確かです。ちなみに、自分もこのゲームをプレイしたことがあるけど何をやればいいのか分からずじまいでした。


したがって、「頭脳戦艦ガル」が適切なジャンルを名乗っていたとしてもドラクエがファミコン初のRPGを名乗ることができなかったというわけ。ということで、次回は「ドラゴンクエスト」ができるまで話したいと思います。