梅雨入り前のいいお天気の日、早々に洗濯をすませ、東京都庭園美術館に行ってきました。
木々の緑が目に鮮やかな庭園の中に佇むアールデコの館にパリのケ・ブランリ美術館から仮面がやってました。
http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/150425-0630_mask.html
ケ・ブランリ美術館は2006年に開館。
アジア、アフリカ、オセアニア、南北アメリカの仮面や民具など従来は民俗資料として扱われたきた造形をアートの視点を盛り込んで展示する、フランスでもっとも新しい美術館の一つです。
土俗的な仮面と庭園美術館、果たしてどんな展覧会になるのか、ワクワクしながら玄関へ。
香水塔のある次の間の横の小客室には白と黒の市松模様が洒落た長い仮面、ンワンタイタイ仮面(ブルギナファソ)が。
この部屋の壁紙はキャンバス地に森や水辺の風景が淡い緑で描かれています。まるで仮面が森から現れたよう。
顔はお茶目です。
大広間に展示されている半人半獣の仮面(マリ)、長い細い角が目を引きますが、耳には赤と白のピアスがつけられています。カワイイ!
象をかたどったといわれる木製のイドマの仮面(ナイジェリア)、大きい!というよりデカイ!税を集めるときに被ったそうですが、はたして被って歩けるのでしょうか?
やはり大広間に展示されているチクラ・クン仮面(マリ)、顔に付けるのではなく、頭に載せるらしいですが、なんとも不思議な形をしています。鳥のような、カモシカのような。
なぜか耳にはピアスが。
オボド・エニイ仮面(イボ族:ナイジェリア)、頭にかぶっているものや表情がどこかピエロを思わせますが、大きな牙が2本。
大客室に展示されているイグリ・エゲデ・オコンクボ仮面(ナイジェリア)は白、黄色、赤、青、黒で色分けされて、モンドリアンの絵のよう。
隣のクベリェゲ仮面(コートジボワール)はどこかピカソの絵を感じました。
人面をかたどった仮面(コートジボワール)は面長な顔に切れ長の目、小さな口はモディリアニの絵の女性に似ています。
ピカソが1906年、マチスからアフリカの彫刻を見せられ、衝撃を受け、翌年「アヴィニヨンの娘たち」を描いたというのは有名な逸話。
ピカソだけではなく、当時の画家たちはアフリカやアジアのプリミティブアートに強い刺激を受け、それが新しいアートの流れに発展していったというのを、並んでいる仮面を観て、納得できるような気がしました。
民俗学的な意味はわかりませんが、色も形も自由で大胆で面白い、次から次へと目を見張るような形が.現れてくるのが面白い。
2階はオセアニア、南北アメリカ、アジアの仮面が展示されています。
第一階段を登っていくと出迎えるのが、大棟にかける仮面(セビック川流域:パプアニューギニア)、その大きさにギョッとします。
儀式の家で通過儀礼を受ける若者たちと精霊を守っているそうです。
これだけ大きいと安心かな。
その後ろにはメキシコの虎のマスク。
虎と言われているが、実はジャガー、プレコロンブス時代の豊穣のしるしだそうです。
黒い模様は動物で、ユーモラスな顔はプロレスのマスクにはちょっと・・・。
グリーンランドの仮面の顔に彫られた模様は刺青だそうです。
その中の一つ、強風に顔がゆがんでいるように見えるのが面白い。
メキシコは仮面の宝庫なのでしょうか。
様々な素材、木、布、皮、、植物繊維のみならず、動物の歯、毛、石、テラコッタ、紙Etc.Etcに人間や動物、超自然的な架空の生き物まで、楽しいです。
テラコッタでできた仮面、顔はちょっと怖いけど、顎にはかわいいおねえさんがいます。
先住民族の信仰とカトリックの信仰が合体したような仮面でしょうか。
円形の書斎にはパプアニューギニアの仮面。
カーテンを閉めた薄暗い部屋は仮面が精霊と交信しているかのような不思議な空間でした。
そして、インド、スリランカ、ネパール、インドネシア、ヴェトナム、中国、ネパール、韓国とアジアの国々の仮面が続きます。日本代表はもちろん能、狂言の面です。
アールデコ様式の庭園美術館にプリミティブアートの仮面、対極にあるようですが、私はあまり違和感を感じませんでした。
なぜだろう?
この美術館はかつて人が住んでいた建物、人の気配が残っている空間にいることで、仮面には居心地がいいのでしょうか。
じつは、夜になると精霊と交信していたりして・・・。
4月25日から整備工事中の庭園の一部(芝庭の部分)が公開されています。
緑、鮮やか。風が気持ちいいですよ。