私は小学生から高校まで、ずっと部活に明け暮れていた。
週6で練習、連休は合宿。試合、遠征。
キツい練習をどうしてこんなに続けられたのか。私は負けず嫌いではあった。でも一番に、愛されたかったんだ。誰かに必要とされたかった。県大会ではいつも優勝。全盛期は全国3位まで行った。コーチは私に期待し、必要としてくれていた。多分それだけだった。
いつも不思議に思っていたことがある。
試合や合宿にいくと、みんな親に結果を報告したり、夜になると電話をしたりしていた。
私はした覚えがなかった。
一体何を話すのか。
どうして自分のことを話したいと思うのか理解出来なかった。
私は親に応援してもらえる気がしていなかった。
同世代の子の親はみんな、子供に一生懸命だった。練習、試合の送り迎え。
練習をみにきたり、次の試合に繋がる大事な試合は必ずみにきていた。
私の親は、全く私に興味がなかった。
小学生から、高校まで、シーズンは試合や合宿の送り迎えが必ずと言っていいほど発生する。
うちには車がなかった。
母親は免許は持っていた。父親は視力が弱く運転が出来なかった。父親は病院勤めだった。
母親の言い訳は、父親が、事故を起こしたら病院にいられなくなるというから、運転はしないということだった。
うちは地方で車がないとどこにも行けない。
でも私は何故か初めから諦めていた。
自分の意見は通らないのだと。
『車を買って送り迎えをして欲しい。』と言えなかったのだ。