あたしにとって先生の存在は
すごく大きなもので
大きすぎてその存在に気付かないくらい
自然にそこにあるもの
だった。


だからね、先生、
あたしは何度も何度も先生を失いかけた。
そしてとうとう本当に失ってしまったね。




でもこれは自業自得。

ごめんね先生。




あたしはいつも先生を傷つける。
「誰も傷つけたくない」ってきれいごとを並べて
いつもあたしは先生を傷つける。




どうしてあたしはいつも
1番大切なものを大切にできないんだろう。


楽しい思い出ばっかりなのに、
どうしてこんなにも傷つけあってしまったんだろう。


失って気づく本当に大切なもの。
何度も後悔したのに
学習能力のなさに頭が痛む。





先生という存在をあたしの中から消し去ることはできない。
そうすればあたしという存在がなくなってしまうほど
あたしの細胞はきっと先生でできてる。




昔みたいに
「あたしは先生がすきで
先生はあたしがすきで
それでいいじゃん」
って純粋に素直に単純に言えたらいいのにね。



どこかで間違ってしまった。
どこかで破綻してしまった。

それとも最初から噛み合ってなかった恋愛だったのかな。






あたしはまだ結婚なんて考えられないけど
先生とならきっと結婚して子どもができて
毎日が楽しいんだろうと思った。




「先生を幸せにするのはあたしなの」


そう高校の時は、いってたっけ。






でもいつしかあたしは誰かに幸せにしてもらうことを願ってた。




でも二十歳の誕生日。
先生を本当に失ってしまった日。




誰かに幸せにしてもらおうなんて考えで
幸せになんかなれるわけがなかった。
結局自分を幸せにするのは
自分なんだって、


あたしは気づいたの。



いつのまにか好きになってた。
だって一つのことにむかって
一緒に何かを作り上げる過程で
いつも一緒にいたでしょ、あたしたち。

頼りになる先輩だった。
がんばってる姿をいつもみてた。

すきだったの。
すごく。
でもね、
さみしかったの。
とても。
しょうがないってわかってたけど、忙しいってわかってたけど
さみしくて、かまってほしくて、メールでいいからほしくて。
そして、いつしか遠慮しかしなくなって
いつしか言いたいことも言えなくなって
迷惑掛けちゃだめなんだって
「会いたい」すらいえなくて
どうすればいいかわからなかった。




答えは単純だった。
言えばよかったんだよね。
今の気持ちとかそんなものをすべて。
全部言ってしまって
一人で抱え込まないで
一緒にかんがえればよかったんだね。



伝えることを忘れていたの。



でも、けいくんも余裕がなかったんでしょ。
知ってるよ。


本当はあたしがもっともっと応援してあげるべきだったんだ。
自分のことばっかりで
自分の気持ちばっかりで
自分の事情ばっかりで
わがままばっかり。
支えてあげなきゃいけない部分を
あたしは、どうすればいいかわからなくて、
待つことしかできなかった。



もっともっと話をすればよかった。

二人の問題なのに
一人で解決することなんてできっこないよね。





けいくんと付き合って
あたしは気づいたことがいくつもあった。
あたしとけいくんはちょっと似てたから。





きっとプライドの高い人だから、
けいくんから連絡は来ないだろうけど

あたしはちょっと期待してしまってるの。




いつか「飲みに行こう」ってメールが来るかもしれないって。





でもいいの。
私は私で頑張ってけいくんはけいくんでがんばってれば
もうそれだけで充分。
思い出した。

仕事をしてる姿が好きだったんだった。
でも
いつのまにか忘れてしまって
いつのまにかそれさえ好きでなくなって
尊敬すらできなくなったのは
あたしの問題か、それともさとるさんの本質のせいか

好きになったことが
錯誤だったとしても

恋愛は激しい思い込みでしょう。

だったら錯誤があっても
問題ないよね。



そういってあたしは正当化した。





それでも離れなかったのは
あたしが依存という一種の接着剤に対し
はがす方法を知らなかったから。


それに、あたしとさとるさんは
お酒という存在でつながっていたけど
精神安定剤としての役割をもったアルコールで繋がった関係は
簡単には切ることができないものでしょ?





さとるさんとの恋愛で
学んだことがあったの。
恋愛ってマイナス×マイナスが
プラスになる作用ときっと同じ。





あたしの生活リズムと
さとるさんの生活リズムは違いすぎたし、
何よりさとるさんの考えとあたしの考えは違いすぎたし

理解できなかったことも束縛されることも
あたしばかり合わせなければいけないことも

すべてが苦痛でしかなかった。

そして
あたしはあたし自身が嫌いになった。

さとるさんの話を誰かにすれば
あたしは確実にいつもいやな人間になった。

あたしはそれが嫌だった
あたしはあたしという人間をきれいなまま保存したかったというか
いや、きれいな存在ではもはやなかったのだが
それは自分に対する強い思い込みで
自分の嫌いな部分も汚い部分も
さとるさんの存在のせいにしたかった。


人間性の否定を
あたしは行った。

それはさとるさんの。




あのね、
あたしはあなたに
「嫌いになったわけではないけど
もう疲れた」っていった

それってすごくひどい言葉だったと思う。
ごめんなさい。
でもあたしは
その言葉でしか表すことができなかった。

だけど、もう少し他人を思いやることを
知った方がいいかもしれない。

それはあたしにも言えることだね。



思いやりの欠如は
あたしとさとるさんに共通する唯一の性格の一致だったとおもう
。




皮肉なんかじゃなく
あたしはそれをこれからにいかしていかなければいけない。
学習能力がないあたしは、それをしっかりと頭の中に刻み込まなければいけない。

でないとまた、誰かを傷つけてしまうから。

あたしは学習しなければいけない。
でないとまた、あたしは傷ついてしまうから。



あたしとさとるさんの恋愛は
マイナス×マイナス。

結果はやっぱりプラスだった。


忘れてはいけないのは

プラス×プラスはプラスだってこと。
プラス+プラスもプラスだってこと。


プラスになろうと思わせてくれたの。
それがこの恋愛における結果としてのプラス。

だからやっぱり謝るんじゃなくて
ありがとうと言って終わろう。






ありがとうということがただの正当化だといわれても

それでもいいよ。


ありがとう。