参考:年間ベストアルバム50枚(2012年度)

【テクノ部門】

Modeselektor feat. Otto von Schirach - Evil Twin


Jacques Lu Cont - In The Night


TNGHT - Goooo


Sepalcure - Eternally Yrs


Mouse On Mars - Wienuss


Eli Walks - Moving



【ハウス/ポップ部門】

Lama - Niji


Sleigh Bells - Comeback Kid


Passion Pit - I'll Be Alright


Grimes - Oblivion


Purity Ring - Fineshrine


John Talabot Feat Ekhi - Journeys


Hot Chip - Night & Day


【ロック部門】

Tame Impala - Endors Toi


Grizzly Bear - Speak In Rounds


Animal Collective - Honeycomb


Dirty Projectors - Offspring Are Blank


Ariel Pink's Haunted Graffiti - Kinski Assassin


Spiritualized - Hey Jane


Django Django - Default


METZ- Wet Blanket


Japandroids - The House That Heaven Built
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毎年恒例のマイベストアルバム選評。

新しい海外のロックバンドが本当に流行らない昨今。洋楽雑誌もロックフェスも15年前と同じでいまだにオアシス・レッチリ万歳。もちろん売り上げに直結するからいいのかもしれないが、若い世代は「洋楽ロック=おっさんの聴く音楽」と思ってしまって当然。自分たちのリアルタイム音楽ではないのだから。

最近個人的に最も危機感を感じたのがAUのLTEのCM。ELTのやつではない。DAFT PUNKの「One More Time」のメロディーに合わせて次世代通信を宣伝するあれだ。未来を表現するのに10年代の素晴らしい音楽群からではなく、なぜ10数年前のダンスミュージックを持ってこなければならないのか。自分もDaft Punkは好きだけど、新しいものを取り入れないで古いものばかりじゃ未来がない。衆議院選挙とそっくりだ。また自民党をひっぱりあげてきて「One More Time」なんてもう沢山。

ということで今年の50枚を選んだ。50位~31位はオススメというより「これもちゃんと聴いたけど上位には入れてない」的な辻褄合わせ感があるものが多いので、レビューは30枚にしぼった。でも正直1位のアルバムさえ聴いてくれたら、もう他のレビューなんてとばしてもいい。今年は1位のアーティストがぶっちぎりだったので。

ちなみによく聴いたシングルはこちら→Youtube

年間ベストアルバム50

50位Sigur Ros『Valtari』
49位POP ETC『POP ETC』
48位Japandroids『Celebration Rock』
47位Orbital『Wonky』
46位Godspeed You Black Emperor『Allelujah! Don't Bend! Ascend!』
45位Battles『Dross Glop』
44位Black Dice『Mr.impossible』
43位The Shins『Port Of Morrow』
42位Squarepusher『Ufabulum』
41位Clark『Iradelphic』
40位Clinic 『Free Reign』
39位Howler『American Give Up』
38位Ty Segall Band『Slaughterhouse』
37位Mac Demarco『2』
36位My Best Fiend『In Ghostlife Fading』
35位Here We Go Magic『A Different Ship』
34位Monolake『Ghosts』
33位Four Tet『Pink』
32位Fiona Apple『The Idler Wheel Is Wiser Than The Drive』
31位Vitalic『Rave Age』

30位Animal Collective『Centipede Hz』
【アメリカ(ニューヨーク):ロック(エクスペリメンタル/サイケデリック)】

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今作こそが2012年という時代の音楽を象徴しているのは間違いない。前作『Merryweather post pavillion』は09年以降のロックをサイケデリックでポップな方向へと決定づけ、かつてのフジテレビのコピーのような『面白くなければロックじゃない』という価値観を作り上げた。今作もそれは変わらない。サイケをさらに前進させ曲もポップだ。面白さに関しては文句のつけようがない。じゃあなぜ30位か。聴けば聴くほど何も残らない。完全に曲が現実と乖離してしまっていて、自分との共通性を見いだすことができない。これはショックだった。Animal Collective信者だった自分は数ヶ月新しい音楽を聴く行為を挫折してしまったぐらいだ。もっともそれが1位のバンドとの出会いへと導くことになるのだが。

29位Cero『My Lost City』
【日本(西東京):ロック(コンテンポラリー/エキゾチカ)】

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今年ランクインした日本のバンド2組のうちの1組。スティールパンとかマリンバみたいな多様な音を使ったエギゾチカバンドなんだけども、同じ方向性のVampire WeekendあたりのUSインディーに共鳴してなくて、むしろ醸し出す幸福感だったり日本人臭さが10年代のポストFishmansの筆頭というような印象を受ける。そこがいい。10年代の音楽でかつ日本の音楽だと実感できる数少ないバンド。今年フジロックに見に行けなかった事が本当に悔やまれる。フィールドオブへブンで聴くための音楽といっても過言ではないだけに。

28位METZ『METZ』
【カナダ(トロント):ロック(グランジ/オルタナティヴ)】

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青春時代ニルヴァーナを通過した人は特に必聴。USインディーが複雑な音楽が量産される中で反動としての起きたニルヴァーナ以前のグランジへの回帰現象。ストイックに直線的にカッコいいロックを演奏するカナダのバンド。そういえば今年の音楽にカナダは欠かせない。今年一のロックアンセム「The House That Heaven Built」のJapandroidsもカナダのバンドだし、Pitchforkのベストトラック1位に輝いた「Oblivion」のGrimesもカナダの少女。インディーのトレンドもNYからカナダに移行しているのだろうか。踊れるテイストがなくストイックに冷たいこの手のグランジは、UKロックを聴いて育った自分にはあまり口に合わないが、7曲目「Wet Blanket」とか縦ノリで多いに盛り上がるのもたまには悪くない。

27位Death Grips『Money Store』
【アメリカ(サクラメント):ハードコアパンク/ブレイクコア/ダブステップ】

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今年一番の問題作。ボアダムスだったり、PREFUSE73のスコットヘレンだったり面白いアーティストとよくコラボするドラマー「ザック・ヒル」が中心人物にいるオルタナヒップホップ。古藤の好物中華の胡麻団子とソフトクリームとキャラメルを合わせたような味濃いアルバム。ダブステップとブレイクコアとハードコアパンクが合体するということで、ラウドなものでもどんとこいな自分でも強烈すぎて最初拒否反応が出てしまった。慣れたらProdigyを20年進化させた音楽って具合に軽く聴けるようになるので、一聴では懲りずに聴きこむことオススメ。

26位Eli Walks『Parallel』
【日本(東京):テクノ(ニューエレクトロニック)】

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モードセレクターの来日公演を見た時、前座でライヴをやっててすごいよかった。日本人のトラックメイカーで、音はまんま海外の前衛テクノの主流というかCLARKまんまだったりするけど、主体としてわかりやすいシンセのメロディを入れてきたりするので耳に残る。日本の市場に入り込む余地は十分にある。去年年間チャートに入れた日本人トラックメイカーSerphが今年になってCMに楽曲提供したりで話題になったりしたので、Eli Walksも続いてほしい。

25位Electric Guest『Mondo』
【アメリカ(ロサンゼルス):ロック(エレクトロポップ/ソフトロック)】

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IKEAの北欧家具のようなバンドだ。エレポップなんだけどシンプルでレトロ。そんなレビュー書くぐらいだから北欧のバンドなんだろうな?ごめんなさいロサンゼルスのバンドです。でもそのレトロフューチャーなバンドサウンドの根源にナールズバークレーのプロデューサー「デンジャーマウス」が関わっていると知れば納得だろう。適度にお洒落で適度に前衛と中途半端だからか、海外の音楽雑誌や音楽サイトでの評価はなぜだか低い。

24位Kendrick Lamar『Good kid M.A.A.D City』
【アメリカ(ロサンゼルス):ヒップホップ】

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今年のPitchfork年間ベストアルバム第1位の作品。このロサンゼルスの25歳のラッパーがセールスと評価をともに勝ち取っているところが、国産の音楽ジャンル【ヒップホップ】を保持しているアメリカだからこそと言うべきか。今年のエレグラでフライングロータスがケンドリック・ラマーをプレイしたことが何よりその象徴かもしれない。個人的にはメアリーJブライジとの共作曲あたりの華やかな曲よりもストイックにラップを聴かす「Backstreet Freestyle」がクールではまる。

23位Frank Ocean『Channel Orange』
【アメリカ(ニューオリンズ):R&B】

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ラッパーのタイラーザクリエイターで有名なLAのヒップホップ集団「オッドフューチャー」の一員のR&Bシンガーのソロプロジェクト。今年最も全世界で評価されたアルバム。オーソドックスなR&Bがメインなんだけども要所要所メランコリックで繊細な印象が、自分のような斜にかまえがちな人間の心もがっちりつかんでしまう。ライヴ映像を探して見てみたらRadioheadのFake Plastic Treesをカバーしてた。どうりで!

22位Passion Pit『Gossamer』 
【アメリカ(ケンブリッジ):ロック(エレクトロポップ/シンセポップ)】

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PASSION PITが他のUSインディーバンドと一線を画すのは、パフューム大好き中田ヤスタカ大好き日本のエレポップ・アイドル大好きという彼らの独特なルーツの賜物だろう。前作収録で09年を代表する曲となった『Sleepyhead』のような超強力アンセムは今作にはないが、その分BPMもドラムも前作以上に変幻自在に、そして一貫して切ないメロディー。そして日本人にしか作れない様なロックをアメリカ人にやられてしまうこの現状もまた切ない。

21位Burial『Kindred』
【イギリス(ロンドン):ダブステップ】

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風営法でクラブで踊る事が規制されているというのに小学校ではダンスが必修科目になり、最もクラブミュージック界で敬意を払われているアーティストBurialがクラブでは全くプレイをしないアーティストでだったり、よくわからない時代だ。Burialの新作に関して謎で、何ら新しさを感じない例のいつものBurialである。ピッチを変更したソウルボーカル、強烈なダブ・エフェクト、金属的なサンプリング音。だが不思議な事に全く使いふるされた感じがしない。いつ聴いてもクールだで、まるで美術館に保管され、風化しないようになっているかのようなのだ。もしかしたら現場に出て行かない事で鮮度を保っているのかもしれない。

20位Lotus Plaza『Spooky Action At A Distance』
【アメリカ(アトランタ):ロック(ニューゲイザー)】

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DEERHUNTERのギタリスト、ロケットのソロプロジェクト。ここ数年自分にとってDEERHUNTERと、そのフロントマンでATLAS SOUNDとしても活動しているブラッドフォード・コックスの存在があまりに大きかった。何せマイ年間チャートで2009年Atlas Soundの『Logos』が1位、2010年Deerhunterの『halcyon digest』が5位、2011年Atlas Soundの『Parallax』が5位と年間の五本の指に常に挙げられてきたバンドなのだ。そのDEERHUNTERにもう一人天才がいるとは今作を聴いてはじめて知った。幻想的なリバーブとキャッチーなメロディー。気づけば全編夢遊病的内容の中毒になってしまう。ブラッドフォードコックスとロケット・パント。この両翼は、もはやトム・ヨークとジョニーグリーンウッドという二人の天才がいるRADIOHEADに勝るとも劣らない。

19位John Talabot『Fin』 
【スペイン(バルセロナ):テクノ(ポストバレアリック)】

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バルセロナのアーティスト。面倒くさいから某レコードショップのレビューを引用。「LindstromとBorder Communityのサウンドを融合させたかの様なサイケデリックでポップなポスト・スローモーション・ディスコ/バレアリック・サウンドを展開する彼の作品は、チルウェイヴやウィッチハウス等最新インディーモードにも通じるアトモスフィックでドリーミーなサウンドが融合した今最もアップデートされたポスト・バレアリック/ニューディスコサウンド!! 」カタカナ語が多いからわかりにくいか。個人的な感想を言うと、フジロックの常連さんとかでがっつりバンド見ないでグリーンステージの奥でシートしいてのんびりしてる人みたいな感じだ。レジャーに対する「遊ぶぞー」っていう初々しさがない感じのあれだ。それをダウナーなハウスでやってる感じだ。これがまた最高なのだ。

18位Flying Lotus『until the Quet Comes』
【アメリカ(ロサンゼルス):グリッチ/エレクトロニカ/ジャズ/ソウル】

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2010年のマイベストアルバムだった前作に比べ、一聴してのインパクトは薄い。それが退化なわけではなくって、むしろ完全に自分の作りたい音楽を作る方向にシフトしただけな印象。相変わらずジャズを主体としたクラブミュージックだけども、コズミックな世界観は前作以上に。何よりエレグラでのライヴが圧巻だった。ブースの前後に二枚の幕使って立体感だして、さらにそこに3D映像流して立体感だして、凄まじく圧倒的だった。そりゃあステージ演出に3D映像最大限に活用しなきゃ10年代じゃないってもの!ライヴ・演劇など舞台に携わる人には一度見ておく事オススメ。

17位The XX『Coexist』
【イギリス(ロンドン):ポストポップ/ポストダブステップ】

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相変わらず20歳になったばかりのロックバンドとは思えない暗さ。ラース・フォン・トリアー監督映画の様なメランコリックな世界観が漂う。何で映画に例えたんだろ。邦画『告白』でもThe XXの楽曲が使われたし、空間を漂うような音が映画的なのだろうか。あと前から思ってたがダウナーな男女ヴォーカルが交差するあたりが10年以上前にブランキージェットシティの浅井健一とUAが組んだAJICOってバンドになんとなく空気感が似てる。もちろんAJICOよりもよりメランコリックで使う音も少ないけど。今回は打ち込みを駆使した曲も収録だが、バンドが作る世界観は打ち込みだろうが生音だろうがほとんど変わらない。

16位Bat For Lashes『The Haunted Man』
【イギリス(ブライトン):フォークトロニカ/オルタナティヴ】

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かつては保育士だった彼女がビョークやトム・ヨーク、デヴィットバーン、カニエ・ウエストから絶賛されベックともコラボとは、くるところまで来たのに何故か日本では話題にすらならない。ルックスの良い女性ヴォーカルだと可愛いさ先行でスケールが小さくなってしまうことが多々あるが、Bat For Lashesは荘厳なヴォーカルとピアノ主体のメロディーがそうさせない。今作では特に荘厳な音楽はそのままにドラムに重厚感のある楽曲が多かったりストリングス多様した複雑な楽曲に空気を読まず無味なビートが割り込んだり、なんだか前以上にRADIOHEADに似てきた。最初に書いた「かつて保育士だった」という情報は特に深い意味はないが、友達の彼女がそういえば保育士だったのでその友達が「聴いてみようかな」って思うかもしれないから書いただけである。

15位Jack White『Blunderbuss』
【アメリカ(デトロイト):ロック(ガレージ/ブルース)】

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ホワイトストライプスのアルバムと何ら遜色ない。変わってほしいとも思わない。確かに轟音ギターが少なくなってよりカントリーでフォーキーな質感の楽曲は増えたかもしれないが、本質はあくまでもブルースロック。ジャックホワイトにはいつまでも泥臭いロックンロールを奏でていてほしい。もはや彼こそが00年代のロック史の殿堂第一号。今年一年間純粋なロックンロールバンドが見当たらない中、唯一ともいっていい良作。

14位Zazen Boys『すとーりーず』
【日本(東京):ロック(オルタナティヴ)】

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前作で打ち込みを通過したことで「何でもあり」なロックバンドへと変貌。それが10年代USインディー周辺のサイケの時代感とマッチ。これでナンバーガールのようなローファイ録音だったらまんまUSインディーになってしまうがそうはしてくれなくてありがたい。国産ロックが聴きたいんです。ゆらゆら帝国が解散した今、自分の中でZazen Boysへの期待の比重は本当に大きい。

13位Dirty Projectors『Swing Lo Magellan』
【アメリカ(ニューヨーク):ロック(エクスペリメンタル)】

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相変わらず好きだわ、このバンド。世界中の楽器をずらりと並べて「これ使って好きな音楽奏でてみて」って言われて演奏したような、音楽にジャンルや国境を取っ払って純粋に楽しい音を奏でてみようって意思が感じられる。一曲目でまったりした変拍子音楽が突然豹変したようにハードコアパンクになったりするところがPoint期のコーネリアスがアンビエントとヘビメタ融合させたのとすごい印象がかぶる。友達のバンドやってる女の子が「DIRTY PROJECTORSみたいな音楽目指してるから」と言ってたけど、ホントにこんなバンドが日本にいたらファンになるよ。

12位Django Django『Django Django』
【イギリス(ロンドン):ロック(ニューエキセントリック)】

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フジロック2012出演。ロックンロールが全く流行らないこの状況で出てきたイギリスのバンドもやっぱりというべきかUSインディーに右にならえで変な音。しかも西部劇とかカントリー風なところもあってアメリカの田舎くささが出ていて、ロンドンって感じがまるでしない。ただUSインディー周辺と決定的に異なるのはダンスロックであるところと楽しいところ。さすがロックンロールの国。

11位Ariel Pink’s Haunted Graffiti『Mature Themes』
【アメリカ(ロサンゼルス):ロック(エクスペリメンタル/フリーフォーク)】

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ホント最近の自分はわかりやすいキャッチな音楽を求めているのだなぁと実感。アリエルピンクと言えば10歳から曲作りをはじめ、500曲一貫して自宅録音で作り上げたという宅録エクスペリメンタルロックの元祖。宅録脱却直後の初のスタジオアルバムとなった前作が「名盤」と呼ばれていてあくまでもこのアルバムは「その次」である。でも、自分的にはわかりにくいローファイな前作に比べて聴きやすくて要所要所で見られるヘンテコな意図もわかりやすくくらえる今作を評価。アリエルピンクの社会復帰賛成!

10位Beach House『Bloom』
【アメリカ(ボルチモア):ロック(ニューゲイザー)/ドリームポップ】

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前作は甘美すぎて、会社に向かう途中聴いたらそのまま近くの公園に立ち寄ってしまいそうになる内容だった。それに比べたらポップなメロディになったので一般人としては大分聴きやすい。もっともコアなファンからは評価を落としそうな印象だけども。それにしてもBeach Houseは聴く環境を選ぶ。車を運転中に聴いてたら最高だったのに、自宅で聴いても全然よく聞こえない。これは運転中の評価。車中一人でキャッキャ言ってました。

9位Purity Ring『Shrines』
【カナダ(モントリオール):ドリームポップ】
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フジロック2012出演。カナダの21歳と24歳の男女デュオ。幼稚園児みたいな体系で、幼稚園児が着そうなドレス着て、幼児性のある跳ねる声の女性ヴォーカルが打ち込み中心の楽曲を歌うドリームポップ。童話の世界の住人のようなアーティスト然だが、音は生温かさとは対極。Dommune出演時にヒップホップセットを披露した通りルーツはアーバンであり、音もWashed Outのようなチルウェイヴな感覚があったり。ビョークっぽい?ああ、言われてみれば。

8位Spiritualized『Sweet Heart Sweet Light』
【イギリス(ラグビー):ロック(スペース/サイケデリック)】

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スピリチュアライズドというと97年に英NMEで『OK COMPUTER』を抑えて1位になった『宇宙遊泳』やシューゲイザーの始祖で前身バンドSpaceman 3のこともあってもはや伝説扱いされてるけど、やっていることは実はシンプル。間口は広くわかりやすく、じょじょに攻めてくる。「Hey Jane」から王道すぎるロックンロールナンバーかと思ったら8分もあって徐々にクラウトロック化していく。んでその曲が終わったらいい曲風のバラード。と思ったら・・・といった具合だ。サイケデリック音楽全盛の10年代以降だと、こういう広い間口から入ってこれる音楽は目立つ。

7位Schoolboy Q『Habits & Contradictions』
【アメリカ(ロサンゼルス):ヒップホップ】

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これぞ10年代だからこそ生まれてきたアルバム!!世界中で話題のソロシンガー「ラナデルレイ」のデビューアルバムが発売される前に彼女の楽曲をサンプリング。違法ダウンロードが横行し発売日以前にひいきのバンドのアルバム音源を聴ける光速時代らしいスタイルといえる。と思えば古典ポーティスヘッドもさらりとサンプリング。ヒップホップはロックに比べて形態の自由度が低い分、アイデアが重要だと改めて思わされた力作。

6位Sepalcure 『Sepalcure』
【アメリカ(ニューヨーク):ダブステップ/エレクトロニカ】

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マシーンドラム名義で活動するTravis Stewartと友人でもあり音楽プロデューサーのPraveen Sharmaによるユニット。SCUBA主宰レーベル・HOTFLUSHからのリリースということで、ダブステップなのかと思って聴いてみたらエレクトロニカが出自の彼らだけあって柔らかくはじける音を多様。トライヴァルな生音も入ったりソウルフルなヴォイスサンプルが入るんだけどもその選び方が丁寧。ああ、また当たり障りないこと書いて、全然良さを伝えられてない。このアルバムの素晴らしさを伝えるのってホントむずいんだよな。特にクセがないから。今年の上半期最も聴いたアルバムなのに。

5位Mouse On Mars『Parastrophics』
【ドイツ(ベルリン):ジャーマンテクノ】

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いやー香川がいなくなってもドイツには注目ですな。やれ清武のクロスは世界一だ、やれ乾も前半5点は及第点だ、やれ高徳だ、長谷部だ、岡崎だ、宇佐美だ、でも個人的に最もドイツで注目しているのはモンキータウン。ゴリラ顔酒井宏樹のことではない。MODESELEKTORも所属する前衛テクノレーベルMONKEYTOWNだ。ドイツのエレクトロニカの雄MOUSE ON MARSの6年ぶりの新作もこのレーベルからのリリースという地点でゲッツェとロイスのコンビを手に入れたドルトムントのようなもの。とにかく若い。最近の変態電子音楽家HUDSON MOHWAKEに近いグリッチでおもちゃ箱をひっくり返したような音なのだ。でもHUDSON MOHWAKEのようなアイデアの羅列だけじゃなくってさすがベテラン。ドイツ産らしくミニマルで飽きがくる前に心地よくなってくるという仕掛け。

4位TNGHT『TNGHT EP』
【イギリス(グラスゴー):グリッチ/エレクトロニカ】

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「RADIOHEADのトム・ヨークが別バンドやってるじゃん。数年前見たじゃんフジロックで」「ああ、レッチリのフリーとやってる」「ATOMS FOR PEACE」「ああ」「平和の原子力とか今の日本にまずいやつね」「来年2月にデビューアルバムだすらしい」「RADIOHEAD本体のが良くない?」「デビューシングル「Default」聴いた?」「聴いてない。っていうかアルバム出すのも知らなかったし」「聴いたほうがいいよ」「イレイザーみたいな感じ?」「全然違う。今最先端の打ち込みやってるから」「どんなの?」「今、自分の中で一番面白い打ち込みのアーティストがTNGHTっていうんだけど」「知らない」「そいつみたいな音楽」「知らんなー」「今さ、フライングロータス周辺が盛り上がってて複雑な組み合わせの打ち込みが評価を受けてるじゃん」「フライングロータス聴かないから」「いやだから何か複雑だから聴きにくいじゃん。ジャズとか入ってるから。でもTNGHTはシンプルな笑えるピコピコした電子音をひたすらドープな方向に鳴らしてるわけ」「またよくわかんないし何ドープって」「とにかく、ヘンテコだけどくっそダークで、なのに一聴しただけで耳に残る強烈なキャッチさを持ってんのTNGHTは。で、ATOMS FOR PEACEのデビューシングルがまさにそういう音使ってるわけ」「すごいじゃん」「やっぱすごいわトム・ヨークは。今一番面白い音楽を取り入れてる」

3位Grizzly Bear『Shields』
【アメリカ(ニューヨーク):ロック(エクスペリメンタル)】

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1位2位のアルバムはおとなもこどもも、おねーさんも聴いてもらいたいアルバムだが、これはむしろ音楽好き仲間たちに聴いてもらいたい。Animal Collectiveが切り開いた個性の時代は終わり、USインディーに残った没個性。自分は面白ければという音楽が無味に感じるようになって、でもMETZみたいなグランジに回帰した音楽を賞賛するほどニルヴァーナが体に染み込んではいない。その中で最も琴線に触れたのがこのバンド。音の強弱が特徴でクラシックの様なとにかく高度なロックという前作からの印象からは変わらないが、その専売特許をさらにひとつ上の段階に昇華させた印象。とにかく「ブラボー!」とクラシックコンサートの会場でスタンディングオベーションをするような今年度最も完成度の高いアルバム。

2位Grimes『Visions』
【カナダ(バンクーバー):ウイッチハウス/ドリームポップ】

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例えるならきゃりーぱみゅぱみゅがAnimal Collectiveと同じ機材を使って独学で作曲を覚え、自宅にひきこもってゾンビやドクロをモチーフにしたゴシックな楽曲を宅録し発表した具合。もっとも、きゃりーぱみゅぱみゅはステージに上げられている存在でレディーガガ同様商業的な00年代中期のエレクトロを今だにやっていて新しさがない。一方のGrimesは手作りだから10年代のウィッチハウスを吸収したエッジのある音楽で面白い。個人的に惹かれたのはバランスの取り方が絶妙でクレバーなところ。儀式めいた雰囲気やメタルバンドのようなゾンビをモチーフにした古くさいゴシック臭を持ちながらもアングラなイメージを持たれすぎるのを嫌い、前髪をざっくり切って可愛くしたり、曲のタイトルにハートマークを入れたりとあくまでも女の子としてのポップ要素を保持。アイドル全盛の日本。こういうDIYアイドルも現れてよいのでは。

1位Tame Impala『Lonerism』
【オーストラリア(パース):ロック(サイケデリック/ニューゲイザー)】
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今日本屋で何冊かロック雑誌の年間ベストアルバム特集をペラペラとめくったのだが愕然とした。ロック雑誌の1位が軒並みFrank Ocean(R&Bのアーティスト)。アメリカならR&Bもまあわかる。日本のロックファンが求めているものではない。アメリカの音楽サイトPitchforkという権威に合わせただけにしか思えない(pitchforkで今年最高の9.5点)。記事を読んでもこのアーティストを日本でも売っていきたい、みんなにも聴いてほしい感が感じられない。自分がロック雑誌の編集長だったら間違いなくTame Impala!

表紙もTame Impalaで表題も「Tame ImpalaがThe Beatlesを公開処刑」とかでいい。曲もヴォーカルもビートルズ級に美しくて、それでリボルバー期のビートルズを遥かに凌駕するサイケデリック。10年代のぐにゃぐにゃでそれでいてシューゲイザー入ってるサイケデリック。もっとも10年代のサイケなんてAnimal Collective以降どっさり転がっている。決定的なのはその曲の美しさだけども。だから「Tame ImpalaがAnimal Collectiveを公開処刑」でもいいのかもしれないけど、それだとアニコレ知らない人には?だし。ただ一つ言える事は、自分たち10年代を生きる人間には「The Beatlesのアルバムと並べても遜色ないどころか勝利してしまうような素晴らしいアルバムと出会える」ということだ。


最後に2013年の音楽を紹介。
来年2月発売のATOMS FOR PEACEのデビューアルバムからの一曲

Atoms For Peace - Default

2011年のマイベストアルバム50枚!

【50位~41位】

50位Salyu × Salyu『S(o)un(d)beams』(邦楽)
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49位Nuajbes『Spiritual State』(邦楽)
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48位Tyler,The Creator『Goblin』
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47位Bjork『Biophilia』
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46位Battles『Gloss Drop』
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45位Toro Y Moi『Underneath The Pine』
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44位Dirty Projectors & Bjork『Mount Wittenberg Orca』
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43位EMA『Past Life Martyred Saints』
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42位The Strokes『Angles』
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41位Akron / Family 『S/T 2:The Cosmic Birth And journey of Shinju TNT』
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死後残った音源から関係者が作り上げたnujabesの新作。声遊びを不特定性の中で行ったSalyu×SalyuやDirty Projectors+Bjork。アプリ、データ、CDなどもはや形態にとらわれず販売し、ipadでの作曲も行ったBjork。ゴキブリを食べる衝撃的なPVから攻撃開始したTyler the creator。音楽という表現への試行錯誤がいたるところで見られた。まだこれといったものが生まれてはいないのだけれども。

【40位~31位】

40位Real Estate『Days』
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39位Yelle『Safari Disco Club』
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38位Panda Bear『Tomboy』
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37位The Naked & Famous『Passive Me , Aggressive You』
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36位Yuck『Yuck』
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35位Cults『Cults』
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34位The Horrors『Skying』
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33位Serph『Heartstrings』(邦楽)
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32位Rustie『Glass Sword』
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31位Beirut『The Rip tide』
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YUCKやTHE HORRORSの新作は聴いててUKロックの定型から離れていってるなぁ。リアム・ノエルはじめ、おじさん達がUKロックの中でまだまだ元気だけども。あ、だからか。変態ミュージックは陰鬱なものよりも明るく清々しいものが増えてきた。日本人のSerphのズタズタのピアノと電子音の嵐とか、Warp RecordsのRustieのさわやかなぐちゃぐちゃシンセとか。一方が一方に近づいて距離感が縮まってきてる。


【30位~21位】

30位LAMA『New!』 (邦楽)
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29位The Fields『Looping State Of Mind+1』
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28位Bon Iver『For Emma,Forever Ago』
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27位Fleet Foxes『Helplessness Blues』
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26位PJ Harvey『Let England Shake』
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25位YACHT『Shangri-La』
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24位Modeselektor『Monkeytown』
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23位The Streets『Computer And Blues』
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22位Cut Copy『Zonoscope』
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21位Adele『21』
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今年の大きな話題だったBon Iver(pitchforkの年間1位)もAdele(世界中で大ヒット)もかなりよかったけど、意外とそんなに聴いてない。あのしっとりを聴きたくなる瞬間が少なかった。アルバム全体通して聴くには他の誘惑が多すぎる。iphoneのmp3やTwitterとかFacebookだけでも誘惑多いのにipadで漫画見たり映画見たりとかも本格的に入り込んできたし。Adeleとか本当に若者聴いてるんかなぁー世界。そしてThe FieldとModeselektorは年始の来日が同日でどちらを見に行こう・・・。

【20位~11位】

20位Drake『Take Care』
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19位Wild Beasts『Smother』
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18位Bibio『Mind Bokeh』
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17位Gang Gang Dance『Eye Contact』
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16位The Pains Of Being Pure At Heart『Belong』
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15位Girls『Father,Son,Holy Ghost』
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14位Ogre You Asshole『Homely』(邦楽)
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13位M83『Hurry up,We’re Dreaming』
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12位Austra『Feel it break』
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11位Radiohead『The King Of Limbs』
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【10位~1位】

ウィッチハウスの影響下で生まれたAustra、ゆらゆら帝国の後継者Ogre You Asshole、2011年現在のRadiohead、シューゲイザーリヴァイバルの中心The pains of being pure at heart。20位以内になるとさすがに今の音楽を中心に選んだなぁ。特にDRAKE。POPミュージックがついにアングラに追いついた格好よさ。まさか自分がDrakeとRihannaとの共作なんてビルボード臭い音楽聴くようになるとは。

10位Burial & Four Tet & Thom Yorke『Ego / Mirror』
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9位Metronomy『The English Riviera』
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8位Friendly Fires『Pala』
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7位Shabazz palaces『Black Up』
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6位Destroyer『Kaputt』
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5位Atlas Sound『Parallax』
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4位Gill Scott-Heron & Jamie XX『We’re New Here』
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3位James Blake『James Blake』
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2位tUnE-yArDs『Who Kill』
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1位Oneohtrix Point Never『Replica』
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Animal CollectiveのとかMetronomyとか(日本なら、ゆらゆら帝国の『空洞です』)が出てきた00年代後半の音楽が、新しくて格好よくて本当に最高すぎて、それに引きずられすぎた1年になった気がする。もう何でもいいから面白い音楽が聴きたいと極端な方向に走った結果、ダブステップにもチルウェイヴにもウィッチハウスにも満足できず。心臓音(ビートミュージック)に飽きてきて結果として、呼吸音みたいなOneohtrix Point Neverの『Replica』を新鮮な音楽だと興奮して聴きこんで結果1位に選んだ。正直こんな大衆受けしないアルバム1位に選んでどうかと思ったけど、今日Ele-king Vol.4買ったら小山田圭吾の今年のベストアルバム10枚の中にも入ってた!!だから良し!!収録曲の"Sleep Dealer"をPitchforkが「スティーヴ・ライヒのポップ・ヴァージョンと例えてた。興味がある人は是非。

次のブログでは2011年の音楽から見える現在について書こうかと思う。
翌朝7時50分の便で石川県・福井県に行かなきゃいけないのでこのぐらいで。
7/29(FRI) 1日目
11:30-12:30 NATSUMEN @ ORANGE COURT
12:30-13:10 THE VACCINES @ GREEN STAGE
12:50-13:20 ソウル・フラワー・ユニオン @ WHITE STAGE
13:55-14:40 THE PAINS OF BEING PURE AT HEART@ RED MARQUEE
15:10-16:00 GRUFF RHYS @ RED MARQUEE
15:40-16:20 THE NEW MASTER SOUNDS @ WHITE STAGE
16:30-17:20 DEERHOOF @ RED MARQUEE
18:50-19:40 LEE SCRATCH PERRY WITH MAD PROFESSOR @ WHITE STAGE
19:20-20:30 ARCTIC MONKEYS @ GREEN STAGE
20:30-21:30 CSS @ WHITE STAGE
23:00-00:00 WASHED OUT @PLANET GROOVE
01:00-02:15 FOUR TET@ PLANET GROOVE

01:45-03:15 DARREN EMERSON @ ALL NIGHT FUJI
05:00-06:00 SYSTEM 7 @ ALL NIGHT FUJI

注目
◎FOUR TET
◯THE PAINS OF BEING PURE AT HEART
▲ARCTIC MONKEYS

7/30(SAT) 2日目
10:20-11:00 OKAMOTO’S @ RED MARQUEE
11:00-11:40 CLAMMBON @ GREEN STAGE
12:30-13:20 FOUNTAINS OF WAYNE @ GREEN STAGE

14:00-14:50 あらかじめ決められた恋人たちへ @ FIELD OF HEAVEN
14:40-15:30 やけのはら @ DAY DREAMING
15:10-16:00 BEST COAST @ RED MARQUEE
17:30-18:30 BATTLES @ GREEN STAGE
18:20-19:20 KIMONOS @ RED MARQUEE
19:00-20:10 TODD RUNDGREN @ FIELD OF HEAVEN
20:30 21:30 DIGITALISM @ RED MARQUEE
22:10-23:30 CONGOTRONICS vs ROCKERS @ ORANGE COURT
23:00-00:00 80KIDZ @TRIBAL CIRCUS
02:15-03:45 JAMES HOLDEN @ TRIBAL CIRCUS
03:45-05:00 TAKKYU ISHINO @ TRIBAL CIRCUS


注目
◎CONGOTORONICS vs ROCKERS
◯FOUNTAINS OF WAYNE
▲BEST COAST

7/31(SUN) 3日目
11:30-12:20 ハンバートハンバート @ ORANGE COURT
12:50-13:30 GOMA & THE JUNGLE RHYTHM SECTION @ FIELD OF HEAVEN
13:55-14:40 WARPAINT @ RED MARQUEE
15:40-16:30 NO AGE @ WHITE STAGE
16:40-17:40 加藤登紀子 @ ORANGE COURT
16:30-17:20 BEACH HOUSE @ RED MARQUEE
17:30-18:20 MOGWAI @ GREEN STAGE
19:20-20:20 YMO @ GREEN STAGE

20:30-21:30 ATARI TEENAGE RIOT @ RED MARQUEE
21:30-22:50 THE CHEMICAL BROTHERS @ GREEN STAGE
22:20-23:30 WILCO @ WHITE STAGE
23:00-00:00くるり @ SUNDAY SESSION
23:40-00:40 THE MUSIC @ GREEN STAGE
01:30-02:30 SOIL & PIMP SESSIONS @ SUNDAY SESSION

注目
◎NO AGE
◯YMO
▲WARPAINT
今年に入ってから「紅白効果で「トイレの神様」がオリコンチャート1位(週間1万枚、累計5万枚)」ってニュースを見たけど、オリコン1位に週間売り上げ「たった1万枚」でなれるもんなのだとびっくりした。あれだけ話題の曲という印象があったのに「累計5万枚」しか売れていなかったってことにも。

嵐やAKB48が50万も売れたりしてる事と比較すると、もはや「曲でCDを買う人」ってほんといないんやね。20年後とかに2010年の音楽チャートを振り返る特集が組もうにも全部嵐とAKB48でトイレの神様はランク外。誰もが知ってるはずのトイレの神様が思い出される事もなくなるという事になるのかね。売り上げってやっぱり重要だ。

世間の誰もが同じ体験をするという時代ではなくなってくると、メディアが記憶を思い起こす装置にはならなくなってくる。となると自己責任で自分の記憶を思い起こす道具を用意しなくてはならないわけである。という事で自分の2010年ベスト音楽は残さねばならないのでクラコト音楽チャート50を作成した。今年は難しかった。正直ランキングで優劣つけるの無理なんじゃないかってぐらい音楽がサラダボウルになっている。


50位Okamoto’s『10th』

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日本のロックンロールをやっていた20代後半は皆ミッシェル・ガン・エレファントに憧れていたのに誰も彼らにはなれなかった。意識しすぎた結果そのまま真似できなかったんだきっと。小学や中学そこいらでミッシェルは解散しリアルタイムで体験していないオカモトズはストレートに彼らのスタイルを周到している。音楽もそのままだし見た目重視。ミイラズやボウディーズ、かまってちゃんの様なスタイルの面白さは持たないが、ストレートにモテる事重視である事こそ若者が憧れるべき音楽だと思う。メンバーにダウンタウン浜田の息子がいるのは周知の通り。


49位M.I.A『Maya』

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スリランカの女戦士M.I.Aの3rd。前作『kala』は00年代を代表する非西洋圏の音楽グラミー賞、アカデミー賞映画の挿入歌としても世界を制した。その過度の期待のためか今作はLADY GAGAかと思われる売れ線歌モノもあればあくまでもゲリラ的であろうとするSUICIDEをサンプリングに使ったパンクスタイルが混在したとまどいが感じられる。世間では酷評されている本作だが、個人的にはあくまでも前作が良すぎただけで、LADY GAGA的なところを無視しさえすれば十分に面白い。


48位toe『For long tomorrow』

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インストバンド日本代表toeの四年ぶりの新作。土岐麻子や原田郁子のヴォーカル入り曲もあるなどてんこ盛り…というかインストバンドとか言いながら歌あり。ヴォーカルが入ろうが有機的な印象に何ら変化はない。土岐麻子との一曲が破格に素晴らしい。


47位七尾旅人『Billion Voices』

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ここ最近の七尾旅人の人気はすごい。本人の魅力と地道に多くのイベントに出演した活動の結果とやはりやけのはらとの『Rollin Rollin』というアンセムのたまものか。フォーマットに左右されず届くものは届く、地道に届いて行くと思わせられる珍しいぐらい正攻法で作られたアルバム。前作の3枚組が嘘のよう。


46位Jaga Jazzist『ONE-ARMED BANDIT』

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フォーマルなジャズのジャケットにごちゃごちゃとポストロックの古着を混ぜたカジュアルスタイル。上級お洒落に聴こえる一方、刑事ドラマに流れてても違和感ないダサジャズな気も。アルバム全体を聴くと常識の枠をはみだす展開が多々あってその瞬間がいちいち楽しい。


45位The chemical brothers『Further』

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2010年発売されたアルバムの中でランクインさせなかったものにUNDERWORLDの新作がある。妙にキラキラしててUNDERWORLD的には新しいけど曲郡はださかった。一方のケミカルブラザーズは新しさを捨て99年の全盛期曲まんまな曲群をリリース。10年前の自分たちに回帰するという行為自体が一見後ろ向きだが、当時のような「誰もが盛り上がれる1曲」のない2010年に改めて彼らが作るような音楽が必要であると再認識させてくれた1枚。Hey Boy Hey Girl 2はあくまでも2だが2でも全然いい。


44位Nice Nice『Extra Wow』

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WARP RECORDSの2010年の新人は頭がよすぎなエリートタイプなのか、VOREDOMSとANIMAL COLLECTIVEとBATTLESとGANG GANG DANCEのいいとこどりをしちゃえばと思って本当にそれが作れてしまう憎らしい末恐ろしい奴ら。でも上記の4バンドのアルバムのが好きなのは何故だろう。 ただ『SEE WAVES』って曲は彼らの名曲群とはれる、いいとこどりを完璧に成し遂げてる感あり。


43位Yearsayer『Odd Blood』

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フジロック10出演のブルックリン勢の一角。柔軟だ。前作はGANG GANG DANCEみたく中東路線だった音が、DIRTY PROJECTORSが昨年リリースしたアルバムあたりから影響受けてかサイケでそれでいて削ぎ落とされたポップになってるし。MGMTの1STみたいな強烈なトラックはないものの、ブルックリン勢随一のポップミュージックに。わかりやすいしカッコいい。でもなんでだか耳に残りづらい。なぜだろう。


42位Gonjasfi『A Sufi & A Killer』

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WARP RECORDSのヴォーカリスト。見た目レゲエ×インド。インタビュー読んだら「20代は何してましたか?」という質問に「ひたすらマリファナを吸ってた」だと。今はヨガの先生もしているんだと。FLYING LOTUSに作ってもらったドープな打ち込みも歌えば、そうと思えばパンクロックも熱唱。ただその両者がともにアングラで危なすぎて友達にはなりたくないタイプ。


41位Erykah Badu『New Amerykah Part Two: Return of the Ankh』


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前作が社会的なアルバムだったのに対して今作は内に向けられている。それが陰湿な方向に進むのではなくってむしろ甘ったるい方向に向かっててどうやら恋愛感がテーマらしい。凡庸なブラックミュージックになってしまわないかという心配をよそに生楽器に面白い音を加えた音楽そのものが他のブラックミュージックとの圧倒的な個性をより際立せている。


40位! ! ! (Chk Chk Chk)『Strange Weather Isn't It?』

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腰で踊れるディスコパンク!!!の新作は音数をより省きアルバム全体として落ち着いた雰囲気で、それはドラマーが死んだ事による影響なのか、じっくり流れをつくろうというという意図が働いたのかは定かではないが、これはこれでミニマルテクノのような魅力があって◎。


39位Derolean『Subiza』

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スペインの4ピースバンド。キラキラしたスケールの大きい打ち込みを取り入れたロックアンセムにDelphicと比較せざるを得ない。両者ともに大箱を意識したスケールで2010年フロアで皆で盛り上がれる事が少なくなっている今だからこそ求められる音楽。


38位Delphic『Acolyte』

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UNDERWORLDとNEW ORDERのいいとこどりのようなロックバンドだと思った。実際そんなビックネームに劣らず、2010年は彼らとともにはじまったし、2010年は彼らの年であってもおかしくなかった。しかしたった1年の中での音楽の変化が最近あまりに速すぎて、1月頃発売されたこのアルバムが風化されるのもあっとういう間。発売が昔すぎたため音楽雑誌などの年間チャートでは軒並み下に見られる始末。もっと流行るべきだった。もっとアンセムとして機能すべきだった。


37位El Guincho『Pop Negro』

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最初聴いた時は、あれ、このスペインのバンド、日本の常夏バンドBeachesにそっくり!と思ったらBeachesが日本の「El Guincho」と呼ばれているようである。日本のBeachesは解散してしまったが、世界のどこかは常夏!ということでトロピカルインディダンスロックを聴きたくなったら、ライヴを見に行きたくなったらこちら。


36位Clinic『Bubblegum』

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00年代前半はポストRADIOHEADの最右翼と言われたClinicの最新作。ガレージ色を強調するあまり近年の作品がやかましすぎる内容になっていた事を考えるとよりアコースティックで大人しく正攻法。変態とされる彼らにやはり音楽センスがある事を再確認させられた。


35位Avi Buffalo『Avi Buffalo』

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20歳そこらのメンバーで構成されたバンド。ロウファイでサイケで聴き心地の良くあまりにも地味すぎる全編だがはじける瞬間があって、大人びた天才子役もおもちゃが好きだったりとかそういうギャップをまんま全編音楽から伝わってくる。今年最も美しいアルバムの1つ。


34位THE MORNING BENDERS『BIG ECHO』

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共同プロデューサーとしてグリズリーベアのクリスが関わっているだけあって、繊細な音の強弱が心地よい。でも緻密に計算された高偏差値音楽と思って聴くと肩すかしをくらう。自然的で暖かい音楽。日本ではSnoozer誌が年間ベストアルバムに当作を選んでいた。


33位あるぱちかぶと『◎≠(マールカイキ) 』

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「ECCYの「MONOCHROME SEARCHLIGHT」への参加が印象的なラッパー」というECCYにだっこしたイメージしかなかったのだが、聴いてびっくり。自分はECCYが好きなんじゃなくて「あるぱちかぶと」が好きなんだと気付かされた。ECCYじゃない曲のがむしろ気にいる曲ある。 彼のレトロな言葉の選び方発し方は聴いてて創作意欲に駆られる。自分の主張もすれば、遊び心で言葉を使う事もある。こういう音楽と出会えるのは邦楽ならでは。


32位Charllotte Gainsbourg『IRM』

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後輩の自称サブカル女子が女優シャルロット・ゲンズブールを知らなくて驚いた。それどころか、彼女の父セルジュ・ゲンズブールも母ジェーン・バーキンも知らなかった。エルメスのバーキンも知らないとは。篠田麻里子の夢はジェーンバーキンになることだぞ。父と母はセックスしている喘ぎ声を歌に入れた「ジュテーム・モア・ノン・プリュ」で世界中の話題をさらったが、彼女はBECKとコラボ。BECKが全曲作曲・プロデュースする事であくまでもクールなミュージシャンとしての地位を確立。反則技な気がしないでもないが、アーティストに愛される魅力があってこそという意味で、女優シャルロット・ゲンズブールは一流ミュージシャンたりえるのだ。


31位Predawn『手のなかの鳥』

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今日本人で一番好きな女性ヴォーカルはと聴かれたらその筆頭に挙げられるのがPredawn。Eccyのアルバムでは同じフィーチャリングで参加したACOを食ってしまっていてびっくりした。情熱的な声質で吐息を吐くような歌声が他のアーティストを圧倒する最大の武器。


30位joanna newsom『Have Man On Me』

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思えば2010年最初に見たライヴがジョアンナだった。ビョークとたびたび比較される彼女だが、ビョークがステージ上で跳ねるのと同様にジョアンナもステージ上では常に弾ける。もちろんジョアンナはハープをひかねばならないからずっと座っているが、声が弾けるのだ。ハープがはじかれる音とともに。今作は3枚組で一見重たい内容かと思いきや聴きやすく、曲数も少ないのでMP3プレイヤーで聴けばちょうど良い。


29位Broken Social Scene『Forgiveness Rock Record』

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2010年のフジロックで友人はベストアクトの1組に挙げていた。前作に比べても感じたが大所帯バンドが別々の道を歩み再びタッグを組んだ事から起こるそれぞれの自己主張のぶつかり合いがより魅力をひきだしてくれたように思う。


28位Sleigh Bells『Treats』

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M.I.Aのレーベルからデビューした2人組。パンクのようにぶちかますビートと可愛らしいヴォーカルでひたすらカオス音楽。M.I.Aの新作はアーバンにパンクを混ぜていながらもそこにLADY GAGAのような売れ線を意識した結果、シングル曲以外が何とも上品な印象があったが、その一方でこちらは失うものが何もないからひたすらぶちかまされてて爽快!はじめて聴いた人は間違いなくなんだこりゃって思う。


27位Klaxons『Surfing The Void』

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好きです。確かに全曲シングルのような気合いの入れっぷりとゴリゴリした感じが全体を通して聴いたらうるさすぎる印象があるこのアルバム。曲自体も00年代の歴史に名を残す1stアルバムと比べたら良くない。だから世間ではいまいち評判を得ていないが、自分は逆にこれでもかってぐらいギターをかき鳴らす彼らにめちゃくちゃかっこいーと思ってしまった。頑張りすぎでくたくたになりながらも頑張るところに惹かれた。


26位Arcade Fire『The Suburbs』

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どうやらNMEによれば20メディアの年間チャートの集計結果、2010年最も素晴らしいアルバムはこのアルバムのようである、納得。インディ性を保持していながらもスケールの大きさのあるバンドではあったが、今作ではさらにそこに清々しさをかねてしまったわけだからもはや欠点がない。一度ライヴを見て本物かどうかを確認したい。


25位Foals『Total Life Forever』

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テケテケと張りのあるギターロックが日本のスパルタローカルズにそっくりなFoalsがセカンドで化けた。それまでのスタイルは一部に潜め、壮大な音楽を様々な音楽から叩き付ける。友達が前聴いた時はレッドマーキーのバンドだったがセカンドを聴いてからホワイトステージで聴きたいと思ったというのが納得。This orientが名曲。


24位The National『High Violet』

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U2あたりのスケールの大きいロックバンドが少なくなった今でこそ求められる汗臭さ。それとは反して繊細な音がからはじまったり、スケール重視のバンドもアイデアという面で相当鍛えられている昨今だなぁと感じさせられた1枚。


23位No Age『Everything In Between』

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前作が陽性のノイズ・ポップを勢いとメロディセンスで成し遂げたとするならば今作は頭を使って他ジャンルを取り込みながらも自分たちの最大の魅力を失わないようにと組まれた快作。No Ageの不思議なところは一見スノッブ的にも感じられる音楽性に反して嫌みが全くなくてかっこいい。


22位Beach House『Teen Dream』

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いわゆるサイケでドリーミーな音楽なのだが出方がアニコレと真逆で不快になる音を排除。どっぷりとこの音を味わう。家で聴くべき、外で聴きたくなる音楽じゃないと思ってたら友達が野外イベントで流した時すごい気持ちよかった記憶が未だにある。


21位Ariel Pink's Haunted Graffiti『Before Today』

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今年1番の話題作の一つ。何せアニコレやらディアハンターやらここ数年の音楽界を席巻してきた奴らの間でのカリスマだというからこれはもうどんな作品かと思ったら、意外と曲の良さが魅力の実力派宅録アーティスト。


20位Skream『Outside The Box』

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セルアウトとしたダブステップアーティストと言う事で賛否両論のSKREAMだが『How Real』という曲を聴く限りそのあり方はキャッチーで完全に才能の方向を見誤ったわけではないと思える。メインストリーム方面の才能もある。Magnegic manというプロジェクトではチャートのトップ10にもランクインしているというではないか。


19位Gorillaz『Plastic Beach』

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そもそもゴリラズのコンセプトをイマイチ理解していない自分なので、なんで架空バンドなのにゲストが多くてヒップホップなのか知らんのだが、それでも音楽を聴きながらキャラクターの世界観をイメージして膨らませてしまう妄想サウンドトラック。 音全体に可愛らしさを感じてしまうのは音のせいというよりキャラクターを妄想するからだろうか。実際そんな可愛くないしむしろ冷たい音楽なのだが。 恋してる時流れた音楽が素敵に感じるように、人は音楽を聴く時空想も足してきく事ができる。それを作品の中だけでも完結させることができている、これぞコンセプトアルバム。


18位MGMT『Congratulations』

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前作はアートにチープな音のリフを入れるだけで極上のポップソングを作る魔法そのものが主役だったが、今作は魔法で作られた世界が主役というべきか、うまくいきすぎた夢のようなサイケポップ。わかりにくいが何度も聴くと中毒になる。なんか懐かしい。果たしてMGMTじゃなければここまで注目されたアルバムなのかは疑問と言える地味な内容だが、それも名声を得たのちのリリースという確信犯だったのかもしれない。


17位These New Puritains『hidden』

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MASSIVE ATTACKやPORTISHEADみたいな暗いビートミュージックをロックバンドでやる様な感じに転換。個性的である事が求められる現代らしいというか生まれてきた新バンドには素直にその異質性に拍手をあげたい。しかし、個人的に求めているものがここ数年で一気に減ってしまったロックであって、ロックの資質でArctic MonkeysやCajun Dance Partyあたりともはれた彼らだけに完全に方向転換をしすぎてはほしくなかったかもしれない。変態な彼らには中途半端な展開は不可能かもしれないが。


16位Buffalo Daughter『The Weapons Of Math Destruction』

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今年の日本人アルバム最上位。1曲目のGravityがとにかくいい。White Stripesの「Seven Nation Army」を聴くようなずんずんテンションが上がってくる感じを打ち込みでやってて、後半ではそれを女性ヴォーカルで可愛らしく包んでしまうという。日本が世界と戦える1枚。


15位Massive Atttack『Heligoland』

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7年ぶりのMassive Attackの新作はEP聴いての予想通り、エレクトロニカ前面の前作よりもさらに前に回帰したビートミュージック。ただ、わかりやすいトリップホップにはならず毎曲ビートのパターンや質感が地味にかわってるからイチイチ印象に残るし楽しくなってくる、やばい。やはりMassive Attack最高。フジロック10のライヴも壮絶だった。お気に入りは4曲目Girl I Love You、1曲目Pray For Rain、10曲目Atlas Air。YMOの坂本龍一&高橋幸宏のREMIXも収録されている。


14位Owen Ballet『Heartland』

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Arcade Fireのストリングスも担当しているOwen Balletの新作。ストリングス職人だからといって押し付けがましい「クラシックとポップミュージックの融合」はしない。ストリングスの強弱で攻める音を扱うとテンポの遅いべっとりした音楽になりがちだが、この作品は軽い打ち込みとテンポの速さが相まって空を飛ぶように爽快で颯爽と駆け抜ける。


13位Sufjan Stevens『The Age Of Adz』

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至るところで作品の盗作疑惑が持ち上がりもする、もはやいくらでも同じような音楽は探してきようがある昨今であまりにも異彩を放つ。複数の楽器をセオリーから離れてごちゃごちゃぶっぱなす。わけわからんがとにかくすごいとしか説明できない。


12位Autechre『Move Of Ten』

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2010年に2枚のアルバムをリリースしたオウテカ。初頭に発売された『Overstep』よりも断然こちらを支持!『Overstep』はより踊れる事を想定したような心地よいアルバムで、オウテカらしい不穏な感じがなくて聴いてて億劫に感じた。しかし今作は踊りやすさを意識してはあるだろうがその心地よさが皆無な尖った音を乱発してくる。これが最高に気持ちよい。オウテカはまだまだ活躍できる。


11位Toro Y Moi『Causers of this』

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2010年話題になった新ジャンルの一つ、チルウェイヴ/グローファイにくくられるアーティスト。Animal Collectiveが流行らせたサイケな音とリヴァーブのかかったヴォーカルをとろけるようなゆったりしたBPMで聴かせてくれる感じ。その説明で全て事足りてまう、それが全てだ。09年発売のAnimal Collectiveの『Merryweather Post Pavillion』の様な音がまだまだ聴きたいと思うファン達(自分ももちろん!)の要望に答えつつ、同じじゃない。曲自体も粒ぞろいで、こういうアーティストが注目されている限りではチルウェイヴが批判の的に成る事もなかったように思うのだが。


10位Washed Out『Life Of Leisure』

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同じくチルウェイヴ/グローファイの代表格。巷ではこの音楽を聴くのが精神衛生上よくないと言われる。それはいわゆるロックンロールなどの正反対にある音楽だからだ。音に体をゆだねてひたすらに快楽を享受する。野心や向上心のかけらもない。しかし思うのが、そういった思想の最大の的は「ダサい音楽」や、「ダサくてもいいと肯定する音楽」であって、Washed Out自体スタイリッシュなクラブミュージックだ。もちろん「チルウェイヴは、クラブではなくインターネット上で起きているムーブメント」だとしてもだ。


9位Best Coast『Crazy For You』

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西海岸のローファイポップ。高樹千佳子アナが2010年の年間チャートで6位にランクインさせている事からもわかるが、これは女の子のための音楽。収録曲全てが女の子がボーイフレンドについて歌ったアルバムなのだ。歌自体で可愛らしさを売りにしてはいないのだが、曲そのものから受ける印象が女の子の魅力を最大限にひきだしていて素敵。


8位Lcd Soundsystem 『This is Happening』

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このアルバムの1曲目を聴いた時泣きそうになった。遅いBPMからはじまる冒頭。しだいにテンションが上がりってから押し寄せるのがデデデデ打ち寄せる主張した電子音。はっきりした主張する音にこれはメロディなのかと、もしくはビートなのかと思ったが、よくよく聴いてみるとその音楽が与える快感はベースとしての機能を果たしていた。やはりLCD SOUNDSYSTEMは腰で踊れる最高のダンスミュージックだ。


7位Caribou『Swim』

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数学博士でもあるエレクトロニカ音楽家Caribouがミニマルテクノに挑戦。ステレオの左右を縦横無尽にかける音、両耳から交互に囁く音が気持ちよすぎる。ヘッドフォンで爆音で聴くと頭が酔います。


6位Four Tet『There is love in you』

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Radioheadの前座やRemixで知られるFour Tet。音そのもののチョイスがエレクトロニカ出身だけに
個性的な気持ちよい物で、かつそれを反復っていう気持ち良さで攻撃してくるのがやばい。言うならば終わりなき快感。


5位Deerhunter『Halcyon Digest』

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昨年のクラコトチャート1位だったAtlas Soundはブラッドフォード・コックスのソロプロジェクト。そのブラッドフォード所属のバンドの新作。Atlas Soundが圧倒的なソングライティングにPanda Bearとのコラボなど遊び新しさを加えた渾身の一作だったが(自分の中では『Ok Computer』とも並べられる怪物作品だと思っているのだが)、今作はむしろシンプルに曲を聴かせる内容でむしろソングライティングに特化した一作。粒ぞろいの曲ばかりだが全体を通して教会にきてお祈りをしているかのような敬虔さを感じる、美しすぎる作品集。


4位Vampire Weekend『Contra』

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革新的だったトライバルな1stを裏切らず、しかし彼らはそれを人工的アプローチ(打ち込み)で作り上げる。この言葉自体がもはや矛盾でしかないように感じるが、本当にそれに成功させるセンスには素直に脱帽。しかも末恐ろしいのが曲自体も全曲シングル化可能なぐらい粒ぞろい。あまりにも理想的すぎる2ndアルバム。


3位Jonsi『Go』

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巷の「明るく幸福に向かう音楽」の大半は、現在の世相とリンクしていないから空ハッピー。例えばK-POPブームからはバブルへの回顧の匂いがする。現実逃避に近い感覚がする。そんな中、ただ一つ未来に向かうアルバム。躍動感があってポップでそれでいて聴いた事のない新しい音楽。過去を振り返らず現在を描かず、向かう先は未来。


2位Mount kimbie『CROOKS & LOVERS』

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ダブステップというジャンル自体、Burialのイメージが強くて「クールだけど地味で暗い」イメージがある。そのつまらなそうなイメージをお金に換金するため、ダブステップも華やかさを持たせようという意図がはびこっている。それこそ数年前Justiceが広げたゴリゴリなエレクトロがPerfumeやLady GaGaに向かったような、同じような事がダブステップにも起きようとしている。そんな中ダブステップをメインストリームに押し上げるのではなく、そのバリエーションを広げようという意思が働く。1枚のアルバムを通じてダブステップの面白さを存分に理解できる。ダブステップがまだまだエッジであり続けられる可能性はmount kimbieにかかっていると思えるぐらいいい。Skreamのアルバムと一緒にかりたのに聴いてるのはこちらばかり。2010年一番のダブステップアルバム、すなわち2010年の最先端音楽。


1位Flying Lotus『Cosmogramma』

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去年のクラコト年間チャートで「来年はFlying Lotusに期待」と書いてそれがそのまま1位になるだなんてつまらないとも思う。しかしそれでもこのアルバムが一番。冒頭からグニョグニョした音楽ではじまったと思ったら速いベースがうねうねしたビートミュージックに転換し、それがHudson Mohawkeのような面白い音を多様したかと思えば、トム・ヨークが歌いだして・・・と1枚のアルバムとしての展開が何度も聴きたくなる面白くて圧倒的にダントツにかっこいいアルバム。やっぱり音楽は憧れるほどにかっこ良くないと!


・・・

2010年音楽は誰もが自分の興味のある音楽ばかりを聴くようになっていて、例えばクラコトに来る仲間が聴いてる音楽もみんなばらばら。クラブに行っても大勢が一度に盛り上がれるアンセムは数年前の曲ばかり。それって本当に寂しい。ここ数年特に素晴らしい音楽が増えすぎてて困るぐらいになってるけどもそれをコミュニケーションに使えない。音楽バベル。

あと2010年はロックンロールアルバムが全然なかった。来年はストロークスが6年ぶりぐらいに新作を発表するし期待するが、願わくばロックンロールの新星が現れてほしい。新星といってもきもいのじゃなくてカッコいいやつだ。結局のところロックンロールはかっこ良くないと駄目だ。憧れるような音楽じゃないと。

かっこわるさを肯定して包み込む「救われる音楽」よりも、その音楽を聴いて「かっこわるかった自分もかっこよくなれるんじゃないか」と思わせてくれるような、ポジティブに向上心を抱かせてくれるような音楽だ。ロックンローラーはいつの時代もクソ情けないオトコがギター一つでスターになる物語だ。ティーンズをポジティブに向かわせられるような音楽がロックンロールだ。