ー告解ーいつか何処かで 124 | ユンジェとトンと私

ユンジェとトンと私

奇跡の5人の中から生まれた
もう一つの奇跡の花 ユンジェ
윤재곁에있을거야

「そうなの?残念だわー仕方ないわ仕事だもの。もちろんオッケーよ。じゃー明日ね」

 

キョンミに急な取材が入った為今日のディナーはキャンセルとなった。

 

 

「楽しみにしていたけど仕方がないわねー」

 

ヤンスンは韓国に来て暇を持て余していた。 

 

日本にいる時は休日でもゴルフや食事のアフターや、店舗のママ達の交流、新しい店舗の物件調査等1日ゆっくり休んだ事がなかった。

 

韓国では時間を気にせずにまったりと過ごそうと楽しみにしていたが結局2日で飽きた。

 

今旧友で唯一交流があるのはキョンミだけだった。

しかし仕事もして家庭もあるキョンミにそう毎日付き合わすわけにもいかなかった。

 

「おじさんの所へ何度も行っても気まずいしなー」

 

ヤンスンは人並み以上の生活が出来るようになった頃、昔お世話になった叔父達へ定期的に仕送りするようになった。

 

特別可愛がられた事もなかったが決して裕福ではなかった叔父が、自分を引き取って育ててくれた事がどれだけ大変だったか大人になって身にしみた。




 

「せっかくおしゃれしたのにこのまま脱ぐのももったいないなー」

 

ヤンスンはそのままロビーへ向かった。

 



ロビーではミレが1人で花の修正をしていた。

 

「こんにちは」

 

ヤンスンがミレに向かって声をかけた。

 

「こんにちは!先生先程まで一緒でしたが急に撮影が入ってしまって現場に向かわれました!」

 

ヤンスンは相変わらずハキハキして愛らしい子だと思わず笑みがこぼれた。

 

「キョンミから聞いたわ。仕方ないわよね。私みたいな暇人と違うから」

 

そう言って笑うヤンスンを見て本当に華があって綺麗な人だな。とミレは思った。

 

(先生が高貴なオリエンタルリリーだとすればヤンスンさんは豪華な咲き姿と圧倒的な存在感を放つダリアのよう。花言葉も「華麗」「優美」「気品」まさにぴったり。職業柄どうしても花に例えてしまう。だけど私の周りの30代後半アッパを先頭に綺麗な人多すぎ、私もこんな素敵な30代になりたいわ)

 

「暇人だなんて・・・娘さんを探しに韓国にやってきたと先生から聞きました。あ、もちろん詳しい話は全然聞いてないです」

 

(キョンミに気をつかっているのね)

ヤンスンはそう思いクスっと笑った。

 

「今はそうかもしれませんが娘さんが見つかったら忙しくなって暇人じゃなくなりますよ!あ、すみません!暇人だって言ってるんじゃなく、、あー!私ったら本当に一言多くて、気をつけなさいと先生にもいつも注意されてるんです」

 

 恐縮しているミレを見てキョンミがガサツな所があると言ってたのはこういう所かな?と思いつつもヤンスンはむしろ若いなーと好ましく思えた。

 

「いいのよ。まだ若いしそんなの可愛らしいものよ。そういえばこうして話す事もなかったわね。あなたお名前は?」

 

「あ、はい。ミジュンです」

 

ミレは仕事で使う名前を伝えた。

 

ミレのミとジェジュンのジュンを取った名前だった。

 

ファザコンだと自分でも思ったがミレはこの名前を気に入っていた。

 

ジェジュンに名前の由来を伝えられた時、呆れた顔をしたがまんざらではなさそうな表情を見た時、嬉しいくせに素直じゃないなーとジェジュンをからかった。 

 


 「ミジュンはまだお仕事?」

 

「いえ、今日はこれで終わりです」

 

「そう。いつも綺麗に飾ってくれてありがとう。ここ通るのいつも楽しみにしているのよ」

 

「本当ですか?嬉しいです!幼い時にアッパの店に花を生けた時アッパがとても喜んでくれてその顔が忘れられなくて、それからずっとみんなに癒やしとパワーを与える花に関わる仕事をしたいとずっと思ってました!」

 

自分がキョンミのように有名になった時、名前の由来を絶対話したい。そしてジェジュンがどれだけ自分を愛し育ててくれたか自慢したい。そのために頑張りたい。いう熱い想いが今のミレのモチベーションになっていた。 

 


「いいわね!それくらい情熱を持って仕事しなくちゃ!気に入った!ミジュン今から食事行きましょうよ!一人でご飯食べるのやっぱり味気ないのよねー。私も片付け手伝ってあげるから!エプロンあったら貸してくれる?」


戸惑うミレを尻目にヤンスンはテキパキと片付けはじめた。