ー告解ーいつか何処かで 123 | ユンジェとトンと私

ユンジェとトンと私

奇跡の5人の中から生まれた
もう一つの奇跡の花 ユンジェ
윤재곁에있을거야

その夜を境に二人はよく会うようになった。

 

二人は高校生の時に戻ったように何時間も話に花を咲かせた。

 

 

ある日キョンミは酔った勢いで妊娠していないのにジェジュンの元へ戻ろうとしたユノを繋ぎ止めるために流産したと嘘をついたことを話した。

 

 

「え、それってヤバくない?」

 ヤンスンは驚き興ざめした。

 

「本当ヤバかったわ。一種の賭けだった。ユノは責任感の強い人だから罪悪感に駆られて韓国に戻らなかった。本当はアメリカに行ってすぐ妊娠して早産で生まれたとごまかす計画だったんだけどユノは私の身体に触れなかったのよ。どうしようと焦っていていた時期だったの。逆に好都合だったのよね」

 

(酷い。私がヤバいと言ったのはユノを二度も騙していて悪ぶれもしないキョンミの事を言ってるのに、そうよ、キョンミは自己中心的で自分勝手な人間だった)

 

ヤンスンは再会したことで許そうとしていたキョンミからのひどい仕打ちを鮮明に思いだし、この場を去りたくなった。

 

 

「そしてユノは私を選び今の子を授かった。ユノは子煩悩のいいアッパになったわ。浮気なんか心配したことない。仕事と家族一筋で今まで女の影を見たことがない」

 

(自分を選んだと本気で思ってる?ユノは仕方なく残ったんだろうな。キョンミは本当最低な人間だと思うけど私も子供を捨てた。同じ穴のムジナだ、本当だったらもう縁を切りたいけど、韓国で同じ金銭感覚で楽しい時間を過ごせる相手はキョンミしかいない。ミレが見つかって日本に戻ったらもう韓国に帰ることもほぼなくなるだろうし・・・)

 

ヤンスンは韓国にいる間割り切ってキョンミと付き合おうと思った。

 

「ちょっぴりうらやましなー。仕事柄隙あらば浮気しようと思う輩ばかり見てきたから、特にお金もあってイケメンなユノなら女も群がりそうだけどねー」

 

ヤンスンは活発で颯爽としたユノを思い出していた。

 

「あ、そうだ。ユノっていつも大きな声で笑ってたよね?今でも騒がしい?」

 

「ううん。あの弾けるように笑うのはなくなったかな?もう大人だからねー」

 

そう言いながらキョンミは少し考え込んだ。

 

「実はね…嘘で流産したって事今でも懺悔しながら生きてるの。だからかな?あんまり大声で笑わなくなったのかも」

 

「え、そうなの!?」

 

「うん、私もつい最近知ったの。嘘をついた日、ユノにとってはお腹の子の命日ね。その日を覚えていてその日はずっと気持ちが落ち込み一人その子を思いながら祈りお酒飲んでるって…驚いたわ…私日々の生活の中ですっかり忘れていて、ううん。忘れたかった。落ち込んでるユノを見ているのが辛かったから…忘れようと思っているうちに息子が生まれてユノ本当に喜んで・・私は心底安心して嘘ついてる事自体本当に忘れてしまっていた」

 

(何てこと…ユノがかわいそすぎる…)

ヤンスンは心からユノに同情した。

 

「今からでもユノに本当の事話してあげれば?ずっとその嘘を引きずって生きていくなんてかわいそうじゃない」

 

「無理よ今更。嘘だってばれたらいくら温厚なユノでも怒り狂うはずだし、離婚するとも言いかねない。このことは墓場まで持っていく。ユノには今まで以上に尽くすわ。それが私にできるつぐない。来年から存在しない子の命日を一緒にお祈りすることにしたのよ。なんだか憂鬱…だけど仕方ないわね、あ、ヤンスン!この事は誰にも言わないでね、特にユノには!」

 

「誰に言うのよ。私もう誰とも付き合いないし、ユノに会う機会なんていつあるのよ」

 

「そうよねーうふふ」

 

そう言って笑うキョンミを見てヤンスンは「嘘は一生隠し通せないわよ」という言葉を呑み込んだ。

 

 

 

 

ーエピローグー

 

いつの頃からだろう。

 

心の底から笑えなくなったのは…

 

友達や兄から「そういやお前笑い声けたたましかったよな」

 

と昔話になるほど長らく声を張り上げて笑う事がなくなっていた。

 

 

 

理由はわかっていた。

子供を自分の衝動的で身勝手な行いの為に失い

心の底から恋焦がれたジェジュンと会う事も許されないこの世で

何が楽しくて笑えるんだ?

 

俺の幼稚なワガママで喧嘩をした後でも俺がごめんね~と言いながらわざと大声で笑うと、いつでもその手が通じると思うなよ、と言いながら口元が緩んできて

 

「お前の笑い声聞いているとなんだかつられて笑っちゃうし、幸せになっちゃうんだよなー腹立つー、」っとよく怒っていた。

 

お互い好きで好きで仕方がなかったあの頃。

 

もうあれ以上好きになる人はいない


だけどもう会えない


家族の為だけに生きていこう


そう誓った人生だったのに

 

その愛しい人が今俺の横で軽い寝息をたてている。

 

なんて幸せなんだろう。

 

眠っているジェジュンの髪にそっと触れた。

 

自分は幸せになることなど許されないと思っていた。

 

息子が健やかに成長することだけを糧に生きていこうと。

 

しかしジェジュンと再会して男としての欲が出た。

 

神様

お許しください 

そして

ジェジュンだけを生涯愛し共に歩んでいく勇気を

 

俺に与えてください。