『クリスタル・ヴァリーに降りそそぐ灰』今村友紀・・・78点(文藝)
新しい文藝賞の受賞作です。
前に読んだ、『トロンプルイユの星』 米田夕歌里(集英社)(2010年すばる文学賞受賞作)と、なんだか似ていなくもないです。トロンプルイユには78点をつけましたが、今から思えば、トロンプルイユの方がすこし面白いかな。
突然、爆発のようなものが起こって、人を切り刻む化け物が出現する。女子高生は逃げ惑うが、死んだと思っていた友人が鏡の向こうの世界では生きている。壊されたと思っていたオートロックが別の世界では壊されていない。
そんな設定です。
しかし、物語はない。描かれているのは状況だけです。化け物が襲ってきて、それから逃げる、とか。どこかのスーパーマーケットで食料を調達するとか。
その爆発のようなものに対しても、結局、説明はなされない。
そういうことが評価されて、文藝賞、ということらしいです。
私はいまいち、面白くは思わなかったのです。どうして、物語を作ってはいけないのでしょう? 誰か教えてください。