『天麩羅車掌』砂田ガロン・・・70点
<あらすじ>
持ち帰り専門の天麩羅屋をやっていたオヤジが、義母の面倒を見ながらの生活に嫌気がさして、家出をする。転がり込んだ友人の家で出会ったイディという娼婦と河原に逃げ込み、浮浪者みたいな生活をする。そんな中、昔、車掌になりたかった夢を思い出し、屋台で天麩羅を売ることと、電車の車掌をすることを合体させ、天麩羅車掌をやることを決心する。
やがてその屋台がテレビ局の目にとまり、宣伝され、屋台は売れはじめる。そして、いつの間にか姿をくらましていたイディに、自分が車掌になって電車に乗っけてやるという約束を果たす。
語り口が関西弁で、おもしろいです。
町田康を思い浮かべると、そんな感じですね。
語り口がおもしろいので、表現の幅がひろがっている感じです。
ただ、内容は、あらすじを読んでいただけると分かるのですが、なにこれ?
って感じで。
私は、いまいち、笑えなかったです。
この作品は、85回文學界新人賞の島田雅彦、山田詠美奨励賞になっています。
出版化されていないようなので、この小説は文芸誌でしか読めません。
しかも、けっこう前のものだから、普通の図書館には置いてないと思います。
新人賞をもらっても、次回作を書いていない人ってけっこういます。
せっかく2000分の1とかのチャンスをもらったのに、それを生かせなかったのは、残念だと思います。
たしかになかなかOKを出してくれない編集者や出版社は厳しいと思います。
でも、その前に、良い作品を書くことっていかに大変か、ということですよね。
それは私も書いていますので、よく分かります。
前回、文芸誌に応募したものは、夏休みを使って書いたものですが、さんざんな作品です。落選は確実でしょう。
でも、前回は応募することに意味があった。いちおう、作品を仕上げることに意味がありました。
今回は、今、書いていますが、テーマは自分で言うのも何ですが、おもしろいと思います。今、やっと20枚くらいまで書きましたが、前まえから、作ってはつぶし、また新しい別のもので同じテーマのもので作ってはつぶしてきたものです。
おそろしいくらい美しくて、悲しい話を書こうと思っています。同時にそれがおもしろいものでなくては、私の中では満足できません。
わたしの中では、3年くらいあたためてきたものなので、期待はできるはずです。
出版社に応募するので、ネットには公開はしませんが。
つれづれなるままに、書いてしましました。レビューとは全然関係がありませんが。