小説。作者は舞城王太郎。
恋人が死んでいくという、せつない話。笑いもあり、楽しんで読める。
本作品で芥川賞候補に。
中編です。
第一章は幻想的な話。
恋人の体内にASMAという寄生虫が巣くう。
ASMAは人体を少しずつ食べていくので、手術して除去しなければならないが、何度か手術しても、ASMAが恋人の体内を逃げ惑うせいで、恋人の体が無茶苦茶に荒らされるばかりで、50匹くらいいるASMAの数はあまり減らない。
「僕」は病院へ向かう道すがら不良3人組に襲われるが、逆に不良を退治する。警察に不良を引き渡してみると、そいつら不良が何人も通りすがりの人を襲ってきた連中だと分かり、「僕」は調布でちょっとしたヒーローになる。
不良のアジトである公園の公衆トイレを捜索してみると、そこは不思議な光景になっており、上下が普通の世界とは逆になっている。
天井から草が生え、地面に向かって花が咲いている。
病院の恋人のもとへ遅れて行くと、僕は何故こんなに遅刻したのかと恋人になじられる。
恋人が眠り込んでから、知らない女の子が勝手に病室に入ってくる。
女の子は天井に足をつけて歩いてきたので、僕はその女の子が不良のアジトで発見された女の子だと思う。
女の子はふわりと天井から降りてきて、不思議な言葉で僕の質問に答えたあと、恋人に体に手をかざす。
女の子が出て行ったあと、恋人の体内にいたASMAが全部光りだす。
ASMAが光を出すようになって、それまで居場所を探すのに大変だったが、ASMAが体の何処に潜んでいるのか容易に分かるようになる。
第一章はそこで話が終わっている。
第二章以降では、すでに「僕」の恋人は病気で死んでいる。
だけど設定が微妙に違っていて、恋人はASMAという寄生虫によって殺されたのではなく、体内で光る移動する蛍光灯により殺されたことになっている。
第一章が夢の中のデフォルメされた出来事のように読める。
第五章くらいまで話があるが、どれも女の子が死ぬ話で、それもおそらく僕が好きな女の子が死ぬ話になっている。
中にはエヴァンゲリオンのパロディみたいな話もあるし、そこでは僕が女の子を操り、神と戦わせる設定になっている。
またある章では僕は「夢荒らし」と対峙する。
夢荒らしが破けた夢から出て来て、人殺しをはじめるので、僕はそいつと対決する。
第二週 リアリズム基本訓練
志馬さち子『うつむく朝』、井岡道子『次ぎの人』、
高倉やえ『ものかげの雨』
ファージョン『ムギと王さま』、『天国を出て行く』
フィツジェラルド『冬の夢』、『お坊ちゃん』、
ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』
井上靖『死と恋と波と』、『考える人』、『結婚記念日』、
『波紋』、『楼蘭』、『平蜘蛛の釜』、『しろばんば』、
『信康自刃、』、『補堕落渡海記』