(以下、NHK ONE記事より引用)
安倍元総理大臣が銃撃された事件から1年。
暴力はいけないとしながらも、被告の境遇に“共感”を寄せる人がいるのはなぜなのか。
暴力でみずからの主張を訴える事件が相次ぐ背景には何があるのか。
NHKは事件の真相に迫ろうと取材を続けてきました。社会に広がる波紋を追いました。
あの日から1年
2022年7月8日。
参議院選挙の応援演説中だった安倍元総理大臣が銃で撃たれて死亡しました。
現場となった奈良市の大和西大寺駅前の献花台には多くの人が訪れ、事件が起きた午前11時半すぎには黙とうする姿が見られました。
事件の動機は 山上被告に手紙で問う
殺人や銃刀法違反などの罪で起訴された山上徹也被告(42)。
捜査関係者によると、逮捕直後の調べに対し「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会に恨みを募らせた末に事件を起こしたなどと供述。
元総理をねらった理由については「政治信条への恨みではなく、教団と近しい関係にあると思った」などと話しました。
現在は大阪拘置所に勾留されていて、事件以来、接見しているのは一部の親族と弁護士だけです。
強調した家庭連合への恨み”
被告の供述や親族、それに旧統一教会によると、被告の母親は1990年代に入会した信者で、被告が奈良県内の進学校の高校生だったころに信仰を深めていったとみられています。
母親は、長年にわたり、死亡した父親の生命保険金や家族が所有していた不動産を売って得た金など、合わせて1億円以上を献金していたとみられています。
SNS上には、被告のものとみられる、旧統一教会についての投稿も見つかりました。
「全ての原因は25年前と言わせてもらう。なぁ統一教会」、「オレが憎むのは統一教会だけだ」などと投稿されていました。
被告の元に差し入れや署名も…
事件後、被告の境遇に思いを寄せる、思いがけない動きが広がっています。
山上被告の親族によると、被告の元には全国から洋服や菓子などの差し入れが届き、送られた現金は去年10月までに100万円を超えるといいます。
ことし6月12日には、奈良地裁に被告の刑を軽くするよう求める1万3000人分の署名が段ボールで送り届けられました。
被告に手紙を送った女性は
複数回にわたって被告に手紙を送ったという40代の女性が取材に応じました。
暴力は許されないとしながらも、山上被告の境遇はひと事ではないと思ったといいます
女性は、被告のものとみられるツイートを印刷したり、事件の記事をファイルしたりして、繰り返し読んでいました。
重ね合わせているのは、被告が就職氷河期世代で、高校卒業後に4つの資格を取得しながら非正規雇用の職場をたびたび変わっていたとされることです。
女性は、被告と同世代で、1年間の就職浪人を経験しているほか、非正規雇用の人が突然解雇される姿を間近で見てきて、被告の職歴がひと事だとは思えなくなったということです。就職浪人をしていたときの将来への不安を今も強く覚えているといいます。
山上被告の境遇に“共感”も
さらに、SNS上には、被告の境遇に、みずからを重ね合わせるような書き込みも見られます。
一方で、専門家 被告への“共感”に警鐘
こうした事件の影響をどう見るのか。
近現代の政治史に詳しい、政治学者の中島岳志さんは、被告への共感がうまれることに危機感を抱いています。
戦前から現代にかけて起きたテロや事件について研究してきた中島さん。
今回の事件と比較し注目したのは、2008.6.8東京・秋葉原の繁華街で起きた無差別殺傷事件です。
歩行者天国にトラックが突っ込み、通行人がはねられたりナイフで刺されたりして、7人が死亡、10人が重軽傷を負いました。
事件を起こしたのは、非正規雇用の仕事を転々としていた加藤智大・元死刑囚でした。
インターネットの掲示板に繰り返し書き込まれた内容から、格差社会への不満が事件の動機だったのではないかという見方が広がりました。しかし、本人が裁判で述べた動機は、そうした見方とは異なるものでした・・・
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