①
「佐野・・・つきあって・・くれるかな」
「・・・ごめんね。」
そういいあたしは足早に去った。
―あれから早二年。小6のアノ出来事がきっかけで、あたしは変わった。
勉強しまくって、お洒落にも気ィ遣って。
それからはいい友達もいるし、なぜか沢山告られるし。
部活でも上手くいってるから、何の不満もない毎日。
でも、なんかが足りない気がする。
何かは分からないけど。
「有彩、あれって超イケメン桐谷景吾じゃん!フッちゃうなんて勿体無いよ?」
一緒に歩いているのは同じクラスの友達、宮崎瑛真。
「だってイマイチ、ピンとこないんだもん・・・」
「ふ~ん?ま、有紗がいいならそれでいいんだけどね」
教室に戻ると、チャイムが上手い具合に鳴った。
この学校はなぜか知らないけど、朝30分の読書時間がある。
その時間、先生達は会議をしていて、いわゆる「自習」という奴である。
で、その時間は今「休み時間」と化している。