オリジナルBL小説☆「夏の訪れ」 | 海に焦がれて

海に焦がれて

タイの沼にずぶずぶにはまりまして、最近では台湾・中国のドラマにもはまっております。同じような経験をしているみなさんと交流を持てたら良いなと思っています。

GREEN SPOON ゴロゴロ野菜スープ

 

 

 

「夏の訪れ」

 

 

 

 

 

春の風の中に、少しだけ夏の訪れを感じる。

木々の葉の隙間から通り抜けた光が、アスファルトにゆらゆらと葉の影を映す。

まるで、木々が歌って踊っているような、柔らかい空間。

隣を歩いている彼は、そんな木々を眩しそうに目を細めて見上げる。

 

 

 

「田代くん、夏が近づいてるねぇ。」

 

 

 

少し鼻にかかった高めの声に、少しうきうきとした感情が含まれていて安心する。

 

 

 

 

「そうですね。」

 

 

 

僕の答えに安心したのか、彼はふわっと微笑んだ。

いつからだろう。

彼を笑わせることが楽しくなったのは。

一緒に仕事をしていて、最初は顔も見ることもできない誰かのためにだったけれど。

今は目の前にいるたった一人のために、僕は語りかけている。

彼が笑えば、きっと見えない場所で繋がっているみんなも楽しくなる。

そんな魅力が、彼にはあるんだ。

でも、当の本人はそんなこと微塵も思っていない。

そんな自信のなさもひっくるめて、今は愛おしさしか感じていない。

毎回、仕事を通して気持ちを伝えているけれど、

 

 

 

「田代くん、なんか変だよ」

 

 

 

の一言で終わってしまう。

こんなに好きなのに、どうやったら伝わるのかなぁ。

首をこてんとかしげてみても、答えはまったく見当たらない。

 

 

 

「田代くん?」

 

 

 

心配する声が聴こえて彼を見ると、少し視線の低い彼が首をちょこんとかしげている。

出会ったときよりもお互いに年を取ったなぁと思うことが増えた。

でも、出会ったときよりも、好きが増えた。

 

 

 

「なんでもないですよ、奏多さん。」

 

 

 

俺の言葉に、奏多さんはまたふわっと笑う。

ほら、この笑顔に弱いんです。
悲しそうな顔なんて見たくない。
辛そうな顔なんてさせたくない。
いつもいつも、笑顔100パーセントでいて欲しいなんて思う僕は、
この世の誰よりも欲張りなのかもしれない。

 

 


「もう少しで着きますねぇ」

 

 


僕の問いかけに、「ほんとだ」と眩しそうに目を細める。
ほら、こんな温かい日が続くのも
悪くないですよね。
これからも、ずっとずっと、隣にいられることを夢見て。
たった一人のあなたのために・・・・・・。

 

 

 

 

Fin

 

 

 

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