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フィギュア演技後の投げ込み禁止で
思い出す、無良崇人と一輪のバラ。
長久保さんの記事です。
最近の投げ込み、特にぬいぐるみに関しては、結弦さんへのプーさんの数の膨大さばかりが話題になりますが、過去にもプレゼントやお花の投げ込みがすごかった人気の高いスター選手はいました。
例えば、フランスのフィリップ・キャンデロロ。
人気絶頂期のロロ様の演技後は、花の雨がリンクに降り注ぎました。
あれ、ちょっと憧れでした。リンクにお花を一輪投げ込むの。
テレビで見ていて、思ったんです。
雨のように降り注ぐ色とりどりの花の真ん中に立つスケーターさんは、とても幸せそうに見えるんです。
近年、日本の試合では投げ込み可能エリアが限られている事が多く、私は日本では、過去に一度しか投げ込みをしたことがありません。
札幌NHK杯フィギュアSP、「Let’go crazy」の演技後。
「あとちょっと」の結弦さんに、花を一輪投げました。
プーさんと花が降りしきるリンクの真ん中に立つ結弦さんは、誇らしげで堂々としていてオーラを発していて、とても素敵でした。
他には、後にも先にも投げ込み可能エリアに座ったことが無く、3月の埼玉ワールドでもかなりリンクに近いお席だったにもかかわらず、アリーナではなかったため投げ込みは出来ませんでした。オールイベントはアリーナじゃないんですよね(ー ー;)
応援している大好きな選手に、「素敵だったよ!」「お疲れ様でした」「ありがとう」と伝える事が出来る素敵な儀式のようで、いいなと思っていました。
特に、全日本選手権は特別な意味を持つ試合です。
大学卒業などの節目を迎えて、全日本を最後に引退する選手も多いんですよね。
卒業後も現役を続けて行ける人は、そう多くはありません。
ごく一握りのトップ選手だけ。
フィギュアスケートは、衣装や振り付け、リンク使用料などお金がかかるスポーツです。
大学卒業後に就職しなくても、スポンサーがついて援助してくれるとか、プロやコーチなどの道に進んで食べて行けるトップ選手以外は、経済的にも大変です。
ひたすらに全日本を目指し、全日本の舞台で競技生活にピリオドを打つ選手が多いのは、そういう事なのだろうと思います。
彼ら彼女らの最後の大舞台。
一世一代の晴れ舞台の幕引きに、「お疲れ様でした」「新たな道でも頑張って」「今までありがとう」の思いを込めて花を投げ込みたい。
競技生活最後の花道を、鮮やかに美しく彩って花向けにしたい。
そう考えるファンは多いですよね。
特定の選手だけでなく、その日の演技を見て気に入った選手を称えたい、失敗して凹んでいる選手を激励したい、そんな思いで、一人で何人もの選手に投げ込むファンも珍しくない。
素敵な文化だと思っています。
確かに近年、色々とエスカレートしている感は否めないのですけれど。
やたら巨大なぬいぐるみの投げ込みに、びっくりすることもあります。
ロシアなどで、フラワーキッズより大きな熊や、巨大な金色の魚のぬいぐるみ(?)が投げ込まれるのを見てなぜ魚?!っと思ったり(⌒-⌒; )
競技進行の妨げになるとか、投げ込みのために自分の席から走って転ぶ人がいるなど、観客の安全面への配慮など、色々理由があるのでしょう。
おかしな物を投げ込む変な人がいる可能性を考慮すると仕方ないというようなことを、テレビで佐野稔さんがお話ししていました。
選手の安全のためにも、投げ込み規制は仕方がないのかも知れません。
海外では、依然として普通にプレゼントや花の投げ込みが行われていますが、日本では今後も全面禁止の方向に進むのでしょうか?
だとしたら、ちょっと寂しい。
フィギュアスケートという、技術だけでなく美しさや華やかさを競う特殊な競技ならではの、独特で優雅な文化が失われてしまうとしたら残念。
フラワーキッズたちも、憧れのトップ選手が立つリンクで滑れるというわくわくが無くなってしまうのは残念でしょう。
古き良き時代の思い出になってしまうのかしら…。