羽生結弦が今季世界最高点で首位発進、貫禄の全着氷
フィギュアスケート:GPシリーズ第3戦フィンランド大会>◇3日◇フィンランド・ヘルシンキ◇男子ショートプログラム(SP)ほか
男子で五輪2連覇の羽生結弦(23=ANA)が、SP今季世界最高の106・69点で、12-13年スケートアメリカ以来6季ぶりにGP初戦で首位発進した。9月の初戦オータム・クラシックから演技構成を変更。連続ジャンプを後半に入れた攻めの演技で、GP初戦初勝利へ前進した。
王者の貫禄だった。最後のジャンプだった4回転-3回転のトーループ。羽生は2つめのジャンプで腰が落ちかけたが、ぐっと耐えて体勢を持ち直した。これですべてのジャンプを着氷。今季初実戦のオータム・クラシックで0点になったスピンもきっちりとクリア。SP今季世界最高となる106・69点をマークした。
初戦のオータムクラシックを終えると、羽生はすぐにある人にメールを送った。相手は信頼する音響デザイナー矢野桂一氏。SP「秋によせて」の内容を変えるためだった。SPでは1分25秒を過ぎた時点からジャンプの得点が1・1倍になる。流れを重視し3つのジャンプを続けて跳ぶのはそのままに、得点アップのため、最後の4回転-3回転トーループを少し後にずらすよう編曲を頼んだ。
音には徹底的にこだわる。五輪フリーで使用した「SEIMEI」でも、羽生は矢野氏に「無理なことを言っているのは承知の上ですが…」と言葉を置いたうえで、冒頭に自分の息を入れる、イナバウアーの箇所で金切り音を入れるなど細かく指示。33度も作り直して完成形に至った。矢野氏は「今回も(指示は)相変わらず細かいです。腕が試されます」。10月はじめ、数秒単位の調整を加えた新バージョンを受け取り、それに合わせて準備してきた。
GP初戦は、シニアデビューから8季連続で優勝を逃してきた。しかも、ソチ五輪金メダルの後の14-15年中国杯では衝突事故で流血するなど、嫌なイメージも残る。ヘルシンキは17年世界選手権でフリーの歴代最高点を出した場所。今季、中国杯から代替開催となった縁起のいい地で、GPのジンクスを破る。
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羽生結弦、SPで今季世界最高106・69点で首位!今季GPシリーズ初戦
羽生、SP今季世界最高点で首位発進「100点を超えられてホッとしている」
羽生「きょうはプルシェンコさんの誕生日なので」 首位発進で皇帝祝福/フィギュア
羽生との一問一答は以下の通り。
--首位発進
「完璧ではない。反省点がある。100点を超えられたので、少しはホッとしている」
--今季はルールで変更点が多い
「いろいろなルールの中で勝てる演技を考えていた」
--4回転サルコーは
「納得できるジャンプだった。フリーへしっかり調整したい」
--「秋によせて」は
「自分がやりたいと思ってやったプログラム。自分が表現したいことができた。きょうはプルシェンコさんの誕生日なので、気を引き締めてがんばりたい」
--フリーへ
「いい調整をしてきたので、自分のことを見つめ直して、地に足をつけて氷に足をつけてがんばりたい」
フィンランド大会、羽生SP首位
【ヘルシンキ共同】フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第3戦、フィンランド大会第2日は3日、ヘルシンキで行われ、男子ショートプログラム(SP)で冬季五輪2連覇の羽生結弦(ANA)が106.69点をマークして首位に立った。ルール改正後の世界最高得点。
ミハル・ブレジナ(チェコ)が93.31点で2位につけ、田中刑事(倉敷芸術科学大大学院)が80.60点で7位。
ペアは須崎海羽、木原龍一組(木下グループ)が合計145.65点で最下位の8位に終わった。
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絶対王者・羽生結弦、世界最高得点あっさり“奪還” 新ルールで記録リセットも
男子ショートプログラム(SP)が行われ、五輪2連覇の羽生結弦(23)=ANA=は、今季世界最高得点となる106・69点で首位発進を決めた。
冒頭の4回転サルコーをほぼ完ぺきに決めると、トリプルアクセル、4回転トーループ-3回転トーループの連続ジャンプもしっかりと決めきり、SP「秋によせて」を見事に演じきった。演技後は表情は崩さず、フッと息を吐いた。「完ぺきではなかったし、反省点もあるSPでしたけど、100点の壁みたいなものを超えられて、ちょっとホッとしてます」と、自身の演技に及第点を与えた。
あっさりと世界最高得点を“奪還”した。国際スケート連盟(ISU)は、今季、出来栄え点(GOE)をこれまでの7段階からマイナス5~プラス5までの11段階にするなど新ルールを導入したことを受けて、昨季までの得点記録をリセット。2017-2018年シーズンまでの記録は「historic records(歴史的記録)」の扱いとなり、羽生が持っていた世界最高得点、SP112・72点(17年オータムクラシック)、フリー223・20点(17年世界選手権)、総得点330・43点(15年GPファイナル)はすべて「歴史的記録」の1位として、永遠に残ることになった。
8月の公開練習では「もうあの(自分が持っていた)記録たちとは戦えない」と、少し名残惜しそうにも話していたが、まだSPだけとはいえ、新ルールでもしっかり“頂点”を“奪還”。再び自分の記録に挑む日々が始まりそうだ。