コラム

「三島のゴジラ」から「神宮のゴジラ」へ!急 成長するプロ3年目・松井淳

~燕軍戦記2012~VOL.4

スポーツナビ:2012年6月26日

淡口コーチ「やっと松井君に合うスイングを 見つけられた」

1カ月に及んだ交流戦が終 了し、東京ヤクルトの新たな 戦いが始まった。リーグ戦が 再開し、最初のカードとなっ た6月22日からの巨人3連 戦は1勝1敗1分けとキレイ に星を分け、これで29勝2 9敗4分けのセ・リーグ3 位。首位の中日には6ゲーム 差を付けられているものの、 11年ぶりの優勝に向けた戦いはここから本格化する と言っていい。

そんなヤクルトに新風を吹き込んでいる選手がい る。5月31日に今季初めて1軍昇格して以来、外野 の一角で奮闘を続けている24歳の松井淳(まつい・ じゅん)だ。昨年までほとんど1軍出場の機会はな かったが、今年は6月6日のオリックス戦(京セラD 大阪)で待望のプロ初安打を含む2本のヒットを放つ と、10日の埼玉西武戦(神宮)で昨年のパ・リーグ 新人王、牧田和久から初本塁打。13日には昨年の沢 村賞投手、東北楽天の田中将大からKスタ宮城のライ トスタンドにアーチを架けるなど、ここまで14試合 の出場で打率2割9分7厘、2本塁打と結果を残して いる。

プロ3年目を迎えた松井に、何が起こったのか。 ファームの淡口憲治打撃コーチが解説する。 「去年からずっと取り組んでいたんですけど、ようや く自分の形っていうものが完成したんです。それは何 かっていうと、アッパー(スイング)で打っていたの をダウンスイングに変えたんですよ。もともと力のあ るバッターなんですけど、今まではライトに引っ張る ばかりで、どうしても体の開きが早くなっていたの で、それを修正するためにダウンスイングに変えたっ ていうのが基本なんですけどね。要するに足を上げさ せて一本足にして、それで大きく振りにいくんじゃな くてコンパクトに上から斬るようにというのを意識さ せたら、今までライト方向だったのが、センターの方 を向くようになったんですよ」

さらに今シーズンに入って特徴的なのは、スラッ ガータイプのバッターにしては珍しく、わずかではあ るがグリップを余してバットを構えていることだ。淡 口コーチは言う。 「今までどうしてもオーバースイングになってたんで すけど、ああするとそんなに大きく振れなくなるんで す。コンパクトに振るようになって、大振りにならな いんですよ。でも、彼の場合は力があるので、それで 十分なんです。今までいろんな形に取り組んできて、 やっと松井君に合うスイングを見つけられたってこと ですね」

手応えをつかんでのプロの世界も昨季まで1 軍で無安打

地元・神奈川県の横浜商科大学高校卒業後、静岡県 三島市にキャンパスを置く日本大学国際関係学部に進 んだ松井は、新興の静岡学生野球リーグで2度のMV Pに輝き、豪快な打撃と「松井」という姓から「静岡 のゴジラ」、「三島のゴジラ」の異名を取った。そし て2009年のドラフトで、ヤクルトから5位指名を 受けて入団。日大国際関係学部のみならず、静岡学生 野球リーグにとっても、これが初のドラフト指名だっ た。

大学時代の思い出は「とにかくバットを振ったとい うことしか……野球しかないですね」と言うくらい野 球漬けの4年間で成長を実感し、自分なりに手応えを つかんで飛び込んだプロの世界。だが、その壁は想像 以上に厚かった。 「なかなか思うようにはいかなかったですし、アマ チュアは打ててもプロを打つのは難しいっていうのを 実感しました」 プロ1年目の10年は1軍出場なし。2年目の11 年は6月に初の1軍出場を果たすも、2度の代打出場 でいずれも三振に倒れると、再び2軍に逆戻りとなっ た。それだけに今シーズンにかける思いには、並々な らぬものがあった。 「やっぱりもう3年目ですし(オフに)結婚もしまし たし、やらなきゃいけないなっていうのはすごい感じ てました」 開幕こそ今年も2軍スタートだったものの、4月中 旬からは4番に座り、3・4月は打率3割2分0厘、 3本塁打、14打点の好成績でイースタン・リーグ月 間MVPを獲得。淡口コーチと池山隆寛二軍打撃コー チからのアドバイスを生かし、3年目にしてつかんだ 打撃の「型」は、確実に自分のものになりつつあっ た。

「憧れでもあり、目標でもある」松井秀喜を 見据えて

そこへ舞い込んできた1軍入りのキップ。ちょうど 「ポスト青木宣親」と期待された上田剛史のケガや、 昨季の本塁打王ウラディミール・バレンティンの2軍 落ちなどで外野陣が手薄になっていた時期であり、 “暫定”とはいえレギュラーとして起用されると、 しっかりと結果を残したのは先述のとおりだ。

とはいえ、その座が決して安泰ではないのは、松井 自身もよく分かっている。バレンティンは既に6月8 日に復帰しており、今後も故障や不振で1軍から離れ ていた選手たちが戻ってくれば、控えも含めた外野陣 の競争が激化するのは目に見えている。その中でまず 目指すは1軍定着。そして松井には、その先に見据え る目標がある。 「松井さんみたいになりたいんです」 「ゴジラ」というニックネームのいわば元祖であり、 現在はメジャーリーグのタンパベイ・レイズでプレー する松井秀喜のことだ。 「憧れでもあり、目標でもあります。小学校の頃から ずっと見てますし、ああいうタイプのバッターになり たいんです」

2人の松井には共通点があると言うのは、松井秀喜 が巨人でプロ入りした当時、2軍で指導した経験を持 つ淡口コーチだ。 「偶然にも苗字が同じですけど、似たところがあるん ですよ。(松井淳は)毎日のように室内(練習場)で 700~800ぐらいティー打撃をさせましたけど、 まったく音を上げませんでしたから。松井秀喜くんも 音を上げませんでしたからね」

「元祖ゴジラ」を目標に、かつての「三島のゴジラ」 から今後は「神宮のゴジラへ」──「そうなれたらい いですね」とはにかむ松井だが、その日が来るのを三 島市育ちの筆者は心待ちにしている。

<了>

筆者 = 菊田康彦


期待大!!(笑)
貴規はまだかなぁ?
西田はまだかなぁ?


後半戦、鍵を握るのはやはり打線ですね。
特にウチは。
そこそこピッチャーは揃ってるので、打てれば勝てる!!間違いない!!(笑)

愛しの上田きゅん、何してるんだろぉ??(iДi)
早くお目にかかりたいです。
カムバーーーック!!


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