~水無月咲也ゆるキャラ計画~
「俺は…新人勧誘も演技練習もせず…ただただ惰性に従って名前だけ劇団気取りをしている涼風において…必要なものに気がついてしまった…」
黒崎さんこと現団長さんは中途半端な気温でいつも以上にゆるゆると、アイスをくわえながら談笑していた団員たちにむかって語りかけました。
まぁ、そんな状態になってしまった原因は思い当たりすぎてもはやカウント仕切れない。
「…気がつかない方がよいことのほうが多い世の中において…不幸なことでしたね。」
「ぐっ!?」
明らかに、渚さんの期待はしていないオーラ満載の返事に言葉をつまらせる黒崎さん。
「はぁ~やる気とか言うなら、それ相応のキャッシュバックがないとやってけないお年頃なのよ。」
続けて亜水弥さんが手で円マークをつくって見せる。
「すっげぇ世知辛い世の中になってんな…」
と言いつつも咲也君もやる気無さそうにそのやりとりを見つめていた。
…今日が何日かも忘れて…
「とにかくだ…ここにおいて、ハローワークで『どんなお仕事をしたいですか?』と聞かれあまりの考えていなさから『ふなっしーみたいになりたいです!』と元気いっぱいに答えてしまった七海から提案がある!!」
「ちょっと待て…今の本当にあった話なら七海、お兄ちゃんの前に正座しなさい。」
「あぃ!」
盛大な前ぶりのあとに登場した七海ちゃんは、素直に咲也君の前に正座した。
本気と書いてマジと読むやつだったようだ。
「…何に憧れてもいいんだ…でもな、ハローワークの方を困らせるのだけはやめなさい。」
「…逆に言えば、ななは確かにあの瞬間めちゃくちゃ答えに困っていたのです!!」
「だからと言って小学生の答えのような回答をするな!!」
「…意外と小学生って公務員とか言い出しますよね」
えっへん、と胸を張ってみせる万年モラトリアム娘。頭を抱えそうになるのを、必死にこらえながら咲也君はどこら辺から育て直すべきだろうと悩んでいた。
「ところで、七海?涼風において足りないものってなんすか?」
助け船がはいった。
というよりは、太陽君の純粋な疑問のお陰で一時休戦という感じだ。
「それはですね…」
よくぞ聞いてくれました!!とばかりに胸を張り、どや顔をする七海ちゃん。
「ズバリ、ゆるキャラです!!天下のふなっしー様や千葉ットマンのような…一目で涼風をあらわすような」
「なるほどっす…と言いつつも気になるのは千葉びいきっすね」
「しかも千葉ットマンはゆるキャラなのかな、かな?」
「個人的にはシュールで好き、あんなバイクの乗り方できないよね」
「ナイス筋肉!」
ちなみに千葉ットマンについて分からない方はググってください。
七海ちゃんも研究室の先生が持ってきた衝撃的な写真から彼を知ったのですから。
ちなみに、涼風ないでの知名度は千葉でもないのに異様に高いのだった。
「そこで…涼風といったらメインキャラは水無月咲也!つまりは…咲也兄さんをゆるキャラ化するわけです!!今の時代の流行にのらなくては生き残れません!!」
その昔、涼風にはなんとも暑苦しいこたつむりんという天然記念物がいたことを時々でいいから思い出してあげてください。
「じゃーじゃん!!全身タイツ~桜模様バージョン!おまけに光輝きます!!夜の道路には欠かせませんね☆」
「んなもんを普通に取り出すな!!色々突っ込みたいところはあるが、ゆるキャラならデカイぬいぐるみならまだしも…それただの全身タイツじゃねぇか!?」
「兄さん…今時普通のゆるキャラで生き残れるほど、ゆるキャラの世界は甘くないのですよ?」
「甘く見てない、甘く見てはいないが…それは完璧にただの変質者だ!!」
「これを着ながら、アクロバティックに駅前で踊って歌うのです!!」
「確実に警察に職質うけるわ!?」
「可憐なトークもお忘れなく!」
この全身タイツがかっこつけていたら…苦笑いしか浮かばないのではないだろうかと咲也君は震えていた。
しかし、そんな拒絶を無視して団員たちの妙に一致団結した瞳は怪しい輝きを帯びているのだった。
「咲也君の全身タイツ姿なら、みんな写メ撮りに並んじゃうよ~」
「遠巻きにですよね!!絶対に近寄りたくないやつナンバーワンですよ!!」
じーっと見つめて、渚さんの口が小さく動く。
「…変態…」
「えー、すいません!団員内ですら不評がでているんですがー」
真っ白なタイツに張り巡らされた桜模様がピカピカと光を放つ姿が…とてもじゃないがキレイとは言いがたい雰囲気を醸し出していた。
…咲也君は気がついていなかった。
その桜模様の数が、自分の年齢と同じことに。
「ったく…なんでこんな年にもなって黒歴史を上塗りしなくちゃならないんだよ!!」
「…歴史は…更新するためにこそ…あるのだ…」
「きひひ、兄さん、兄さん、ところでこんな年?って何歳?」
「はぁ…お前とは二つ違いなんだからニジュウ…あっ」
どうやら気がついたらしくため息をつきながら、回りに視線をむける。
みな、待ってました!!とばかりに拍手を開始し、誰からともなくハッピーバースデー♪を歌い始める。
「ったく…こういうときの結託具合は変わらない…いや…変わらないのがいいのか。」
咲也君も思わず力が抜けてしまい怒ることもできずに笑い出す。
こんな…こんな優しい笑顔に包まれて誕生日をみんなに祝ってもらえるなんて、幸せ者なんだよな。
「水無月咲也、いつまでたっても未熟者ですが、27歳も宜しく頼みます!!」
わぁーと巻き起こる歓声に来年も、その先も…こうしていきたいなと誓うのだった。
ただし、暴走して新たな黒歴史を更新するのだけは勘弁いただきたいとも。
…余談として、まさかせっかく準備をした特注全身タイツをはかせないようなあまったれた涼風ではないことも変わりようがない確かな事実であり、彼は大量のカメラに囲まれながら
『すずさっくん』
という未知過ぎるゆるキャラ?として誕生日をむかえて初めての写真を撮られることとなったのだった。
そして、その背中に書かれたメッセージに気がつく日が果たしてくるのかは…彼のみぞ知ることであった。
ハッピーバースデー、咲也(*´∀`*)
どうか、彼の一年がこれまで以上に笑いに満ち溢れ、幸せなものになりますように☆
「俺は…新人勧誘も演技練習もせず…ただただ惰性に従って名前だけ劇団気取りをしている涼風において…必要なものに気がついてしまった…」
黒崎さんこと現団長さんは中途半端な気温でいつも以上にゆるゆると、アイスをくわえながら談笑していた団員たちにむかって語りかけました。
まぁ、そんな状態になってしまった原因は思い当たりすぎてもはやカウント仕切れない。
「…気がつかない方がよいことのほうが多い世の中において…不幸なことでしたね。」
「ぐっ!?」
明らかに、渚さんの期待はしていないオーラ満載の返事に言葉をつまらせる黒崎さん。
「はぁ~やる気とか言うなら、それ相応のキャッシュバックがないとやってけないお年頃なのよ。」
続けて亜水弥さんが手で円マークをつくって見せる。
「すっげぇ世知辛い世の中になってんな…」
と言いつつも咲也君もやる気無さそうにそのやりとりを見つめていた。
…今日が何日かも忘れて…
「とにかくだ…ここにおいて、ハローワークで『どんなお仕事をしたいですか?』と聞かれあまりの考えていなさから『ふなっしーみたいになりたいです!』と元気いっぱいに答えてしまった七海から提案がある!!」
「ちょっと待て…今の本当にあった話なら七海、お兄ちゃんの前に正座しなさい。」
「あぃ!」
盛大な前ぶりのあとに登場した七海ちゃんは、素直に咲也君の前に正座した。
本気と書いてマジと読むやつだったようだ。
「…何に憧れてもいいんだ…でもな、ハローワークの方を困らせるのだけはやめなさい。」
「…逆に言えば、ななは確かにあの瞬間めちゃくちゃ答えに困っていたのです!!」
「だからと言って小学生の答えのような回答をするな!!」
「…意外と小学生って公務員とか言い出しますよね」
えっへん、と胸を張ってみせる万年モラトリアム娘。頭を抱えそうになるのを、必死にこらえながら咲也君はどこら辺から育て直すべきだろうと悩んでいた。
「ところで、七海?涼風において足りないものってなんすか?」
助け船がはいった。
というよりは、太陽君の純粋な疑問のお陰で一時休戦という感じだ。
「それはですね…」
よくぞ聞いてくれました!!とばかりに胸を張り、どや顔をする七海ちゃん。
「ズバリ、ゆるキャラです!!天下のふなっしー様や千葉ットマンのような…一目で涼風をあらわすような」
「なるほどっす…と言いつつも気になるのは千葉びいきっすね」
「しかも千葉ットマンはゆるキャラなのかな、かな?」
「個人的にはシュールで好き、あんなバイクの乗り方できないよね」
「ナイス筋肉!」
ちなみに千葉ットマンについて分からない方はググってください。
七海ちゃんも研究室の先生が持ってきた衝撃的な写真から彼を知ったのですから。
ちなみに、涼風ないでの知名度は千葉でもないのに異様に高いのだった。
「そこで…涼風といったらメインキャラは水無月咲也!つまりは…咲也兄さんをゆるキャラ化するわけです!!今の時代の流行にのらなくては生き残れません!!」
その昔、涼風にはなんとも暑苦しいこたつむりんという天然記念物がいたことを時々でいいから思い出してあげてください。
「じゃーじゃん!!全身タイツ~桜模様バージョン!おまけに光輝きます!!夜の道路には欠かせませんね☆」
「んなもんを普通に取り出すな!!色々突っ込みたいところはあるが、ゆるキャラならデカイぬいぐるみならまだしも…それただの全身タイツじゃねぇか!?」
「兄さん…今時普通のゆるキャラで生き残れるほど、ゆるキャラの世界は甘くないのですよ?」
「甘く見てない、甘く見てはいないが…それは完璧にただの変質者だ!!」
「これを着ながら、アクロバティックに駅前で踊って歌うのです!!」
「確実に警察に職質うけるわ!?」
「可憐なトークもお忘れなく!」
この全身タイツがかっこつけていたら…苦笑いしか浮かばないのではないだろうかと咲也君は震えていた。
しかし、そんな拒絶を無視して団員たちの妙に一致団結した瞳は怪しい輝きを帯びているのだった。
「咲也君の全身タイツ姿なら、みんな写メ撮りに並んじゃうよ~」
「遠巻きにですよね!!絶対に近寄りたくないやつナンバーワンですよ!!」
じーっと見つめて、渚さんの口が小さく動く。
「…変態…」
「えー、すいません!団員内ですら不評がでているんですがー」
真っ白なタイツに張り巡らされた桜模様がピカピカと光を放つ姿が…とてもじゃないがキレイとは言いがたい雰囲気を醸し出していた。
…咲也君は気がついていなかった。
その桜模様の数が、自分の年齢と同じことに。
「ったく…なんでこんな年にもなって黒歴史を上塗りしなくちゃならないんだよ!!」
「…歴史は…更新するためにこそ…あるのだ…」
「きひひ、兄さん、兄さん、ところでこんな年?って何歳?」
「はぁ…お前とは二つ違いなんだからニジュウ…あっ」
どうやら気がついたらしくため息をつきながら、回りに視線をむける。
みな、待ってました!!とばかりに拍手を開始し、誰からともなくハッピーバースデー♪を歌い始める。
「ったく…こういうときの結託具合は変わらない…いや…変わらないのがいいのか。」
咲也君も思わず力が抜けてしまい怒ることもできずに笑い出す。
こんな…こんな優しい笑顔に包まれて誕生日をみんなに祝ってもらえるなんて、幸せ者なんだよな。
「水無月咲也、いつまでたっても未熟者ですが、27歳も宜しく頼みます!!」
わぁーと巻き起こる歓声に来年も、その先も…こうしていきたいなと誓うのだった。
ただし、暴走して新たな黒歴史を更新するのだけは勘弁いただきたいとも。
…余談として、まさかせっかく準備をした特注全身タイツをはかせないようなあまったれた涼風ではないことも変わりようがない確かな事実であり、彼は大量のカメラに囲まれながら
『すずさっくん』
という未知過ぎるゆるキャラ?として誕生日をむかえて初めての写真を撮られることとなったのだった。
そして、その背中に書かれたメッセージに気がつく日が果たしてくるのかは…彼のみぞ知ることであった。
ハッピーバースデー、咲也(*´∀`*)
どうか、彼の一年がこれまで以上に笑いに満ち溢れ、幸せなものになりますように☆
